七話/平和

 

 

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「遠坂、起きてないのか?」

士郎がドアをノックする、ドアは七宮邸での凛の住んでいる客間のドアである

「・・・・・・ん・・・あさ?」

部屋の中から声が聞こえる

「あ、起きたか?」

「うん・・・」

眠そうな凛の返事

「じゃあ飯の準備できたから早く来いよ?」

そういって、士郎が凛の部屋を離れる

 

 

「おはよう」

士郎が次に見た凛の姿は幽鬼だった

「「「「「「「・・・誰?」」」」」」」

士郎、志貴、アルクェイド、イリヤ、セイバー、アサシン、ランサーの八人が同時に言う

「いや、一人しかありえんだろう・・・」

アーチャーがぼそりと呟く

「士郎〜牛乳ある?」

凛がふらふらと士郎に寄る

「あ、ああ・・・あるけど」

「ちょうだい」

それを聞いて士郎が冷蔵庫から牛乳を取り出してコップに注ぐ

「ほら」

「ありがと」

凛が士郎の差し出したコップを受け取り飲み干す

「ふぅ・・・どうしたの皆?」

そして、スッキリとした様子の凛がそこにいる全員の様子を見て首をかしげる

「・・・凛・・・君の豹変に驚いているだけだと私は思うのだが?」

そして、アーチャーの呟きに・・・凛が固まる

「・・・・・・しまった、身支度忘れてた」

身支度しなきゃいつもこんな感じなんだ・・・

凛の意外な一面を見た士郎達であった

 

 

「へぇ、随分もてるのね?七宮君達は」

周りから怪しい目で見られながらも三人で学校に登校すると、士郎と志貴の下駄箱に、数通ずつの手紙、外見から見て女子からの手紙、つまりラブレターであることが分かる

凛が、面白そうに笑いながら二人をからかう

「・・・振るのって、結構辛いんだけどな」

「・・・はぁ」

二人が溜息をつく

何気にこの二人は女子からの人気が高い

「まぁ、せいぜい頑張ることね」

そういって凛が自分の下駄箱に向かう

「・・・あ」

そして、凛の下駄箱から数枚の手紙が落ちた

「・・・もてもてだな?遠坂」

「さすが我が校のアイドル」

そして、凛に二人がやりかえす

「ふん、いいのよこんなの適当に断れば!」

凛が二人をおいて歩き始める

「ひどい・・・」

「・・・あれが普通なんじゃないかな?ていうか俺達もそうだし」

魔術師というのは本来他人とのかかわりを極端に持たないもの

学校に来ていること自体、珍しいことなのだ

「そうだけどさ・・・」

士郎がばつの悪そうな顔をする

「さて、そろそろ行こう」

志貴が歩き始める

「ああ・・・」

士郎もその後に続いて自分の教室に向かう

その後、いつもと同じように授業を終え、昼食を終えて、さらに午後の授業を終えて、それぞれラブレターの相手に断りの言葉を入れた

 

 

家への帰り道、夕日の中三人は並んで歩く

「そういえば・・・食材買わないとな」

士郎が思い出したように言う

「・・・あれ?もうそんなに食べたっけ?」

「いや・・・最近なんでか家の住居者が急増したからな」

「あ・・・」

士郎の言葉に凛がしまった、という顔をする

「そういでば・・・私士郎の家に住み着いてる・・・」

何をいまさら・・・

士郎に聞こえるはずの無い霊体のアーチャーとアサシンの声が聞こえたような気がして、凛が宙を睨みつける

「とりあえず・・・食費とか入れたほうが良いの?」

「いや、別にいいけど・・・」

「そう?」

「いいんだよ、遠坂さん・・・なんたって士郎の財産は約○○○○億だからね・・・」

志貴が呟く

「・・・なんですって?」

「!?」

その言葉を聞いた瞬間、凛から殺気が溢れる・・・主に士郎に対して

「・・・・・・・・・いや、だから士郎は協会なんかの仕事を先生の代わりに請け負ったりしてその報償を貰ってきたんだけど今まで金を使うことなんてなかったから○○○○億も溜まったんだよ」

志貴が一歩はなれて言う

「・・・・・・ふぅん、そうなんだ?」

凛が士郎を睨みつける

「!?!?」

士郎が汗を一筋流す

「遠坂、そうやって人を脅かすのはよく無いとおもうぞ?・・・・・・それに、志貴だって○○○○億くらい持ってるんだからな」

今にも崩れそうな笑顔で士郎が言う

そして・・・その瞬間世界が凍った

「ば・・・か」

志貴が後退りする

「ふん、死ぬならお前だって巻き込んでやる」

同じように士郎が後退する

「・・・あんた達、そんなに私に嫌がらせして楽しいの?私がお金に困ってるからって馬鹿にしてるのね?」

そして、凛は・・・・・・悪魔の微笑を浮かべていた

死んだ・・・その瞬間、ソレを見たとき士郎と志貴は死んだ

サーヴァントと渡り合う程の力を持つ二人が圧倒されている

「「グッバイ!」」

そして、志貴と士郎はすぐさま逃げ出した

まるでライオンを目の前にしたウサギの如く

「待ちなさい!」

そして、家に着くまで三人のおいかけっこ・・・追いかけているの本当の鬼なのだが・・・は続いた

「あ・・・買い物忘れた」

そして、士郎が呟いた

 

 

「間抜けね、買出しを忘れるなんて」

隣を歩いている私服の凛が言う

「俺か・・・?」

士郎が凛を見る

「当然でしょ?」

そして、凛はさも当然といったふうに答える

「・・・さいですか」

二人はすでに買い物を終え、帰路の途中だ

士郎はビニール袋を両手に二つずつ持ち凛は右手に一つ持っている

なんでもないような話をしながら歩く

「あ・・・」

ふいに士郎が道の向こう側にある公園を見て足を止める

「?・・・どうしたの?」

凛が声をかける

「・・・いや、懐かしいと思ってさ」

公園で遊ぶ子供達、それを見て士郎は微笑む

「ふぅん・・・」

・・・やっぱ、憶えて無いんだろうな・・・

ふと先日の志貴とアルクェイドの言葉を思い出す

自己を削れば・・・飲みこまれる、ね

士郎だってその事は十二分に理解している

だが・・・疑問だった

あの事を言わないからといって・・・自己犠牲になるのか、と

確かにあれは自分の根本にある大切なものだ・・・だが、それは凛が憶えている憶えていないでそこまで大変なものと成りえるのだろうか・・・と

確かに自分は志貴より鈍いと思う・・・

だが、だがしかし自分は自分が誓った約束を守るれれば良いんじゃないかと思う

故に・・・凛にはあの事は話さない

きっと凛の性格だ・・・知れば負い目でも感じるに違いない

それも、理由の一つ・・・

だけど一番の理由は、単純な事・・・あの事を知った凛が、自分を軽蔑するのではないかという不安

「ほんと・・・俺は弱いんだな」

小さく、呟く

「なにか言った?」

凛が首をかしげる

「いや、なんでもないよ・・・じゃあ帰ろうか」

「ええ・・・・・・あれ?」

凛がふと視線を下ろす、そこには士郎の手首が少し見えていた・・・そこにある銀色の腕輪も

「ねえ、その腕輪も魔具よね?」

「ん・・・まぁな」

士郎が腕輪を隠す

「?・・・何の魔具なの?」

「・・・いや、まぁ・・・遠坂が気にする事じゃないよ」

「・・・?」

士郎は、そう笑顔でごまかして夕焼けの帰路を急いだ

 

 

「ねぇ、志貴」

「ん?」

屋根の上、志貴が最も好むこの場所に志貴とアルクェイドはいる、アサシンはどうやらマスターをほったらかしにして、町を散歩しているようだ

「士郎・・・大丈夫かな?」

アルクェイドが尋ねる

「・・・心配するな、大丈夫さ・・・士郎は」

志貴がアルクェイドの髪を撫でる

「・・・ん」

少し恥ずかしそうに、頷く

「・・・まあ、遠坂さんが士郎の力になってくれれば安心できるんだけどさ」

すこし困ったように志貴が言う

「本人があの事を忘れている上に本当に魔術師らしく育っちゃってるからね」

「ねえ、あの事って何なの?」

アルクェイドが尋ねる

「む・・・それは士郎の大切の物だからな・・・そう簡単には教えられないよ」

「・・・ふぅん」

それで納得したのか、アルクェイドが空を見上げる

「凛が士郎の力になったら・・・か」

「ん?」

アルクェイドの呟きに、志貴が首をかしげる

「ねぇ志貴・・・・私は、志貴の力になれてる?」

今にも崩れそうな笑顔で、そう尋ねる

「・・・・・・馬鹿女」

そして、志貴は呆然としていたかと思うと、いきなりそう言う

「なんでそうなるのよ・・・?」

それを聞いた瞬間、アルクェイドが不満の色を浮かべる

「ふん、当たり前のことを聞くんだ・・・そんなお前が馬鹿じゃなくて何なんだ?」

それを聞いたアルクェイドが眼を丸くする

「・・・・・・そっか、確かに私馬鹿かも」

そう言って、笑顔で志貴に抱きついた

「うぉ!?危な!落ちる、落ちるって!アルクェイド!」

「えへへ〜」

 

 

道場の方からセイバーとランサーが歩いてくる

そのランサーのボロ雑巾具合に士郎とイリヤが哀れみの眼を向ける

そんなランサーをアーチャーとアサシンが小馬鹿にし、イリヤはそれを見て面白がる

そんな中士郎が夕食を準備し、皆を集めて団欒を飾る

そして、何事も無いまま・・・全員が自室へと戻り各々の時間を過ごす

士郎と志貴も例外ではなく、二人はそれぞれ自室に戻るとすぐに布団に潜る

そしてなる前に、二人は同じ事を考えていた

こんな平和がいつまでも続けばいいのに・・・と

 

 

 

 

 

感想(後悔)

今明かされる衝撃の事実・・・なんてのは数話先です(多分

この話は閑話みたいなものでしょうかね・・・

てか志貴と士郎資産多すぎですね・・・このブルジョワめ