「こちらが志貴さまのお部屋となっております」

「え?でもここは・・・・」

翡翠ちゃんを慌てて見てみた。

「秋葉さまの乱入を許さぬためです。家具の入れ替えから部屋全体の殺菌、消毒も終えていますので問題はないかと思われます」

「えっと・・・うん。ありがとう」

ねえ、四季。翡翠ちゃんになにしたの?ここまで嫌われているなんて・・・

そう言えば、四季はどうしたんだろ。

僕は思いきって聞こうとしたけど、

────何だか翡翠ちゃんの気配が「聞くな」と言っている気がした。

だって、僕が声を出そうとした瞬間に翡翠ちゃんは首を横に振ったから。

僕の考えを読むなんて、本当に翡翠ちゃん・・・変わったね。

 

 

 

 

 

PANIC

 

 

 

 

 

「えっと・・・あのね、翡翠ちゃんに言っておかなくちゃいけない事があるんだ」

少なくとも僕の体の事、翡翠ちゃんには話しておいた方が良いかも知れない。

翡翠ちゃんは小さく首を振る。

「この屋敷内は姉さんが防犯ビデオと盗聴マイクを仕掛けています。特にここと秋葉さまのお部屋は他より多くのカメラとマイクを設置しています」

─────え?

「重要な話や他の人間に聞かれて困るような話は」

「・・・うん。でも」

「声を出さずに用件を仰っていただければ充分です」

僕は声は出さずに『大丈夫?』と翡翠ちゃんに聞くと翡翠ちゃんは頷いた。

「明日中にはこの部屋より盗聴マイクの類は一掃しておきます」

翡翠ちゃんはそう言って僕の台詞を待った。

「───、──、──────────────」

「畏まりました。その件につきましてはご心配には及びません。わたしは志貴さまを見間違える事はありません」

通じてる。結構早口だったと思ったけど・・・

「志貴さま。原則的に深夜の外出は禁止されていますが、外出の必要があるのでしたら鍵を用意しておきます」

「・・・一応、お願いしておこうかな・・・」

「では夕食後にお部屋にお持ちいたします」

「え?でも今から鍵屋さんの所に行ったら・・・」

「ご心配なく。スペアキーはわたしが作りますので」

「・・・・・・」

もう驚きすぎて疲れちゃった・・・・

 

 

その後翡翠ちゃんは仕事が残っているからと部屋を出ていった。

うにゅ・・・暇になってしまった。

とりあえず今日の事を書いておかないと・・・

あ、でもここ監視カメラがあるから書かれている内容を読まれたら・・・

「あうぅぅぅ・・・・」

今日変わっちゃったりしたら大変だ。

どうしよう・・・

「志貴さんちょっと良いですか?」

ドアがノックされた。

「え?あ、どうぞ」

「失礼しますね〜」

入ってきたのは琥珀さんだった。

「どうかしたんですか?」

「夕食はもう少しお待ち下さいね。えっと、志貴さんはカメラとかの事ですが」

「はい。翡翠ちゃんから聞きました」

「・・・あの、本格的に外すのは明日、志貴さんが学校に行った後にしますが、志貴さん。何もいじってませんよね?」

「いじってませんよ」

「ですよね〜・・・・点検した時はちゃんと機能してたのに・・・」

琥珀さんはブツブツ言いながら部屋のあちこちを見る。

「壊された形跡も触られた形跡もありませんね・・・おかしいな〜」

「・・・何かあったんですか?」

「え?───言っちゃいますけど、志貴さんがお部屋に入られてからカメラ等の電子機器が志貴さんを映さなくなったり、声を拾わなくなってしまったんですよ」

あ・・・・そう言う事か。

「あの、ご免なさい。それ僕のせいです」

「ほぇ?」

「僕、僕の許可無くカメラとかで撮られた時、画面がおかしくなったりするみたいなんです」

先生や橙子さんのカメラは大丈夫みたいだけど・・・学校で隠し撮りされた時に心霊写真だって大騒ぎされたなぁ・・・

その人、その後すぐに怪我して学校暫く休んだし・・・

「そうですか〜・・・なら異常なしですね。明日取り外しますからもう少し我慢してくださいね」

「うん、我が侭言ってスミマセン」

「いえいえ、ちょっと残ねゲフンゲフン・・・ではお夕食の用意が出来次第翡翠ちゃんが呼びに来ますからそれまでお休みくださいね」

琥珀さんはそう言うと何故か慌てて部屋から出ていってしまった。