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ゆっくりと頭からジワジワと感覚的な何かが広がってきた。
僕は目を開けてぼんやりとした視界の中、辺りの様子を伺った。
「?・・・っぁ」
とても眩しい光。
視界がよく見えない。
「ぁ――――――え?」
目が慣れてきてそこが知らない場所で知らないベッドに寝かされていることにビックリした。
でもその部屋は清浄な感じがしたので少し安心した。
「?・・・??」
僕はぼんやりと周りを見る。
部屋は広くってベッドがいくつも並んでいる。
そしてどのベッドにも人がいてみんなケガをしているようだった。
だけどみんな元気そうだった。
だから―――安心した。
ここにいる人達はもう死ぬことはないのだと分かったから。
それから何日か経ってようやく何が起きたのか少しくらいは分かった。
思い出したというのが正解かも知れない。
とても酷い火事だった。
火事場から助け出されて気が付いたら病室にいた。
両親は僕を助ける為に死んでしまったんだ。
僕は―――独りになったんだとようやく自分の状況が少し分かった気がした。
周りにいた子達も似たような子達しかいなかったから順応できたんだと思う。
でも、そんな子達と決定的に違うことがあった。
それは、自分が殆ど無傷であるということ。
傷らしい傷を一つも負っていない僕が何故ここで寝ているのか。
考えて分かる事じゃないとは思ったけど考えた。
でもやっぱり分からずに僕はこのベッドの上で寝ていた。
それから数日後、僕は何故か個室に移された。
大きな部屋。その端にぽつんと置かれているベッド。
今日から僕の部屋はここになると言われて凄く不安になった。
「僕、みんなと一緒がいい」
そう言ったけれど、お医者さんは残念そうに首を振った。
「君は個室にしてくれと言われたのでね・・・」
そう言って先生は部屋から出ていった。
誰がそんなことを言ったんだろう・・・
僕のことが嫌いなのかな・・・
僕はみんなと顔を合わさないようにしながら個室へと移った。
個室に移った僕にお医者さんに「この部屋から出来るだけ出ないように」と言われた。
だから僕は一日中部屋の中。
ものすごい殺風景。
僕はベッド入って天井を見た。
「天井だけは変わらないなぁ・・・」
思わずそう呟いた。
何もない天井。絵が描かれているわけでも字が書かれているわけでも色が塗られているわけでもない天井。
床と同じタイルの貼られている天井。
飽きたから外を見た。
外を見たらとても外に出たくなった。
人の言いつけを守らない子は悪い子だとお父さんにもお母さんにも言われていた。
だから外に出たいのを我慢する。
お医者さんも看護師の人も偶にしか来ない。
ずっと一人で病室にいる。
考える時間はたくさんあった。
でも、
考えれば考えるほど怖くなってくる。
誰もいない。
病室の外に出てみんなと一緒に遊びたい。
寂しい。
泣きたくなった。
そんな時、
病室の外で喧嘩する音と声が聞こえてきた。