―――柔らかい。

「んっっ・・・」

―――温かいぬくもり

「っ、ぁ・・・・」

―――まるで、先生と一緒に眠っているみたい・・・え?

僕の意識は急速に覚醒した。

そして覚醒と同時に、

「志貴・・・」

抱きしめられた。

 

 

「ぅ・・・ぁ・・・」

僕の頭は真っ白になった。

どうやら僕はお姉さんの胸に顔を埋めて眠っていたようだ。

「ぁ、あの・・・」

僕はお姉さんの胸に顔を埋めたままお姉さんに声をかける。

「っんっ・・・何?」

お姉さんはすごく優しい顔で僕を見る。

こんな体勢、すごく恥ずかしいけど・・・でも、何故かとても落ち着いた。

「済みません・・・もう少し、このまま・・・」

「ああ・・・志貴がそう望むなら好きなだけこうしてあげるわ」

お姉さんはそう言って僕を抱きしめた。

「お姉さん・・・」

「ん?なに?」

「どうして僕が来るって分かったの?」

僕は抱きしめられたままお姉さんを見る。

「宝石の翁から連絡があったのよ・・・志貴のサポートをお願いするって」

「あう・・・ご迷惑おかけします」

「こら、そんなに畏まらなくても良いのよ」

お姉さんは微笑んで僕のおでこを弾いた。

「でも・・・協力してくれるのは嬉しいから・・・」

「その場合は『ありがとう』じゃないの?」

「ぁ・・・ごめんなさい」

顔が熱くなる。

「でも・・志貴は凄いわね」

「?」

僕が言葉を発する前にお姉さんが僕の顔を胸に埋めて言葉を封じた。

「何でもないわ」

僕はそれ以上聞かずにそのまま夜まで寝ることにした。

 

 

「―――では真祖の姫の事は何一つ聞いていないということか」

お姉さんは眼鏡を拭きながら小さく溜め息を吐いた。

「うん・・・おじいちゃんは『詳しくは現地にいる教会の奴に聞いた方が良い。お前の知り合いじゃ』って」

「知り合いって・・・教会関係者に知り合いがいるのか?!」

どうして驚いているのか分からないけどお姉さんは信じられないって顔をした。

「うん。五人だけだけどお友達だよ」

「―――お友達・・・部署は分かるか?」

「う〜ん・・・三人は埋葬何とかってところ」

「!!!」

お姉さんの顔が強張った。

「埋葬・・・機関か」

「多分そこだったと思うんだけど・・・そこで司教さんしてるって」

「────参った。君がどんな子なのか忘れていたようだ。拙いな・・・横槍が入るか」

「?」

首をかしげた僕にお姉さんは小さく呻いた。

―――なにか変なことでもしたのかな、僕。

コンコンッ

ドアを誰かがノックした。

僕はお姉さんを見る。

「大丈夫だ。私の事務所の職員だ」

お姉さんはそう言って僕の頭を撫でた。

「は〜い開いてますよ〜」

僕が返事をすると、

「失礼します」

「・・・・・・」

二人の男女が部屋に入ってきた。