裏路地・・・

そこは俺にとって色々な意味で思いのある場所だ。

アルクェイドから逃げて、ここ逃げ込んでしまったり弓塚をこの手で・・・

そうだ・・・初めてこの手で知人を・・・

って──────

俺は小さく溜め息を吐き、軽く頭を振る。

こんな姿でそんなことを考えてもな。

「こんな姿でそんなことを考えたら彼女が浮かばれないよ・・・・・・」

そんなシリアスなことを言っていても───

ピコピコ

───耳は動く。

物音を聞きつけ、その方向を探ろうと耳は動く。

自分の意志とは全く関係なく・・・

──────ああ。シリアス台無し・・・・・・

ハラハラと流れる涙は何のためか・・・・・・本気で虚しくなってきた。

「と、遠野君?!」

聞き覚えのある声がした。

──────何故。だ?

ベタベタなネタを使われたような気分で振り返るとそこにはやはり弓塚が立っていた。

彼女は何でもないように振る舞っているが、太陽光の下には余り出たがらないようだ。

「遠野君・・・その恰好・・・・・・」

そう言う彼女の顔は、真っ赤だった。

「───弓塚こそ・・・何故・・・」

流石に『生きているんだ?』とは聞けずに言葉を切る。

しかし、彼女は何でもないようにある禁句を口走りかけた。

「私は遠野家ルートでッ!!」

俺は素早く弓塚の点を拳で突いた。

「───その話は禁句だ・・・」

「──────迂闊・・・だったよ・・・」

某ボクシングモノのクロスカウンターの時のように交差した瞬間、そんな会話を交わしす。

俺はそこから走って逃げた。

吸血鬼化した弓塚ならあの攻撃は多少の時間稼ぎにしかならないだろう。

俺は走りながら行き先を必死に考えた。

──────1.2.3.4以外・・・選択肢は・・・残っていない・・・・・・

いや。学校は・・・休日の学校なら!!

俺はそう判断し、学校へと進路を変えた。