「変なことに巻き込まれることには慣れた。猫になったりもした。夢の中でだけど・・・だけどな・・・・・・」

これはちょっと・・・酷いと思わないかっ!?

「たいへんお似合いで・・・・・・」

翡翠が口元だけ笑みを浮かべながら迫る。

「兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん・・・・・・・・」

息を荒くしながら秋葉も迫る。

「ふ、ふふふふふふふふふふふふふ・・・志貴さんが悪いんですよぉ〜そんな挑発的な格好をしているから・・・・・・」

逝ってしまった目をした琥珀さんが退路を塞ぐ。

「ひいいぃぃぃぃぃぃっ!!」

三方からの追っ手に逃げ場のない俺はそのまま・・・・・・

「いい加減に目を覚ましなさい!」

ズビシッッ!!

「グハゥッ!?」

鋭い衝撃を首に受け、視界が反転した。

――――――そして意識は現世に戻ってきた。

 


ウサ耳ファイト2002冬


「やっと目を覚ました・・・・・・寝てしまったから耳が生えてきてるじゃない!」

「は?」

ウサウサ・・・

「〜〜〜〜〜っっ!!」

「・・・覚醒した?」

「・・・・・・はい」

「今回は私だけではどうしようもなさそうだから助っ人を呼んでおいたから大船に乗った気でいなさい」

その船の材質は何で出来ていているのだろうか・・・それよりもイヤな予感がするのですが?

何故だろう・・・益々不安になってきた・・・・・・

「先生・・その助っ人って・・・・・・」

先生はニッコリと笑い、

「志貴の良く知っている人よ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やっぱり?

「はい、やっぱりです。夢ネタから入る遠野君は悪い子ですね〜」

「そうだよ志貴〜夢ネタはしちゃいけないんだぞ〜」

「・・・先輩、心を読まないで下さい。アルク、その台詞の意味を分かって言っているのか?」

「ぜ〜んぜん」

うっわ〜殴りてぇ・・・

殴りたい気持ちをグッと押さえ、先生の方に向き直る。

「先生。秋葉達はどうしたんですか?」

「地下牢があったから放り込んでおいたけど・・・問題はないでしょ?」

―――イヤ、地下牢には先住人が・・・・・・

「すぐに出られないように結界もはっておきましたから安心です」

「いや、あのね・・・」

「ロアが先に入っていたけど妹入れたら大人しくなったよ?」

「あ、やっぱり?」

流石四季。シスコンも此処までくれば立派だよ。ツーかロアを凌駕するその精神が怖いよ・・・・・・

「心配事はなくなった?」

「はい。多分思い残すことはありません」

「・・・そう。死ぬ気で私達の手当を受ける・・・と」

「手、当て・・・?」

イヤな予感がする。

なんだか物凄くイヤな予感が・・・・・・

「志貴、少し待っててね。着替えてくるから」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

みんな着替えに行ってしまった。

みんなナースに!?

それは見たい!・・・けど、見た後は逃げられないような気が・・・

ツーかバッドエンド確定っぽいし・・・・・・

どのみちそうなるならそのまま寝ておこう!!

そう決心し、俺はそのままソファーにもたれ、惰眠をむさぼった。

 

のが間違いだった!!

「はい、手当完了」

俺は先生の声と軽い衝撃で目を覚ました。

「ん・・・?」

ゆっくりと起きあがり目を開ける。

―――座高が低い?

「志貴・・・少し手違いが起きてね・・・・・・」

―――先生、顔がニヤケてます。目が座ってます。

「志貴〜可愛いよ〜」

「遠野君・・・小さい頃から罪作りな・・・・・・」

???

二人が少し大きく見える・・・・・・っえ!?

「小さく・・・え?」

「今日から1週間はこのままだから・・・」

先生は俺を見てニヤリと笑った。

わざと!?

「時の循環の理論が完全じゃなかったみたいね・・・よりにもよってあの時の志貴に・・・・・・」

―――分からないけど・・・先生、確信犯でしょ。

「その間我々3名が遠野君を守りますから」

先輩は涎を拭っている。

「志貴〜ちっちゃくて可愛い〜」

アルクェイドはさっきからそれしか言わない。

 

俺の新たなる試練は1週間という期限付きで始まった。