「女の子の感覚初体験ってやつ?」

「最後までやられてないから大丈夫だけど・・・汚されちゃったよ・・・」

「志貴、それは違うよ?」

「?」

「好きだから愛したい。好きだから挿れたいの」

(激イヤな予感)

「シエルがアレを買いに行っているから何も問題なしよ!問題なくぶち破りましょう!」

タイトル!タイトルを早く!!

「泣き叫ぶ志貴も絶品よ・・・さあ志貴・・・お姉さんと永遠の幸せを・・・」

「吸血衝動とより悪化してねぇか!?ハアハア言うの止めてぇ!!」

「志貴が可愛いからいけないのよ・・・私を惑わせて・・・」

「あはーしんぼーたまりませんよー」

「琥珀さんの声がッ!?」

「チッ!ココはわたしと志貴の愛の前フリなのに!」

「前フリ違う・・・」

 

 

 

 

 

年齢不詳の女性達の思考回路の考察

 

 

 

 

 

「志貴、寝ちゃったね・・・」

「気を失ったとも言いますが・・・」

「さて、これから打ち合わせだが・・・遠野の連中が復活したようだがどう処理する?」

「生きてたの?」

「ええ・・・地下牢に放って厳重に封じたのに破られたわ・・・」

「今さっきの話し?」

「そうです。先程破壊されたとの知らせが入りましたので」

「ちょっと待って・・・今、知らせと言っていたけど・・・」

青子はシエルにヘッドロックをかます。

「ギ、ギブギブ!!きちんと話しますから!!」

微妙に頭蓋骨をへこまされ、のたうち回るシエル。

「さあ話しなさい!さあさあさあさあ!!」

「・・・・・・分かりました・・・しかし、この話を聞いても驚かずに聞いてください」

シエルのいつも以上に真剣な眼差しに二人も姿勢を正す。

「遠野くんは現在埋葬機関の最重要保護人物となっています」

「「なっ!?」」

「更に、教会と協会の不可侵協定の元、遠野くんは完全に監視されています」

「どうしてそれを早く言わなかったの?」

ザワリと青子から強力な殺気が放たれる。

「言ってどうなるんですか?」

「シエル・・・貴女、所詮は犬って事?」

「ンなわけないでしょ!」

スパーンッ

「い、痛い・・・どこからハリセンなんて・・・」

「アルクェイド!貴女は埋葬機関と協会全てを敵にして生き残れると思いますか!?」

「うん」

「うっわ即答ですか」

「だってブルーと私が居るんだよ?」

「・・・協会側は魔道元帥であるゼルレッチが調停役としています」

「「!!!!!!」」

シエルの台詞に二人は顔を引きつらせる。

「しかし、コレは遠野くんだけでなく私達にとってもとても良いお話なのです」

「・・・どういう事?」

「ふっふっふっ・・・初めはメレム・ソロモンでした・・・」

シエルは遠い目で語り始める。

「私が一度戻った時のことです・・・メレム・ソロモンが私に嫌がらせをしに来ましてね。私の荷物から一冊のアルバムを持ち出したんですよ。魔術書と勘違いして」

「あー・・・人をからかうの好きだからね・・・」

アルクェイドは呆れた顔でシエルの話を聞く。

「そのアルバムって・・・」

「ええ。私が写真を撮って厳選した遠野くん萌え萌え写真集です」

「「!!!!!!!!!!」」

「―――なんか、魔道元帥の時よりも驚いてません?」

「「気のせいよ」」

「そうですか?・・・で、それを見た瞬間に」

「まさか・・・」

「―――萌え狂ったとか・・・そんなタイプには感じないが・・・」

「いいえ。メレム・ソロモンは初め、舐めるように見ていましたが、やがてその目は血走り初め・・・」

「「萌え狂ったんだ・・・」」

「―――はもらないでくださいよ・・・そうです。萌え狂ってしまいました」

盛大なため息が二つ聞こえた。

「しかし未だそれだけではありません」

「まだなんかあるの?」

「もう一杯一杯よ?今度はそっちのボスを落としたと・・・・・・まさかマジ!?」

「・・・・・・はい。認めたくありませんが・・・・・・ナルバレックがその写真集を没収しまして・・・見たらしいんですよ」

ゴクリ

二人は唾を飲み、シエルの話しに耳を傾ける。

「で、どうやらマジで惚れてしまったらしいんですよ・・・殺人貴&今の遠野くんに」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ?」

「まぁ、殺人貴なら分かる気がするけど・・・」

「今の遠野くんの姿にはかなり純愛ラブらしいです」

蝦蟇の油とりのごとくダラダラと脂汗を流しながら言うシエルの表情にはよほどイヤなモノを見たのかかなりの説得力があった。

その結果、

「「ゴフッ!!」」

青子とアルクェイドは脳の許容量オーバーでショートした。

「ああっ!未だ続きがあるんですよ!」

「「未だあるのかよっ!!」」

倒れた瞬間に突っ込みのために復活する二人。

「教会側は分かりましたよね・・・次は協会側ですが・・・」

その台詞に青子はゴクリと唾を飲む。

「ブルーがここにいるおかげで協会は遠野くんを遠巻きに監視する程度だったのです。しかし・・・」

シエルはチラッとアルクェイドを見る。

「え?わたし?」

「そうです。魔道元帥はいつまで経っても城に戻らない貴女のことを調査したようなのです」

「はうっ・・・」

「そしてその結果遠野くんに行き着きました。そしてわたしのこととブルーのことも・・・」

「うわぁ・・・最悪ね」

「そしてわたしは呼び出されました・・・流石に覚悟しましたね。あの時は・・・」

「そりゃあね・・・」

青子は何か思いだしたように遠い目をする。

「しかしわたしは奥の手を使ったのです。本当は使いたくなかったんですけどね・・・」

キッとアルクェイドを睨み付け、悔しそうな顔をする。

「な、何?またわたし?」

「魔道元帥が私を問いつめる前にある写真を見せました。そして私はこう言いました。「コレはアルクェイドのもっとも大事な人です」と・・・」

「何を・・・見せたの?」

「焼き回ししてあるのでどうぞ・・・」

シエルはゴソゴソと写真を青子とアルクェイドに手渡す。

「これは!!!」

「可愛い〜〜」

そこに写っていたのはすやすやと眠る幼い志貴の姿で、横には僅かだが満足そうに眠るアルクェイドが写っていた。

「コレを見せたとたんに魔導元帥はポツリと言いました。「孫」と」

「じいや・・・孫が見たかったのね・・・」

「予想できなかった・・・・・・」

アルクェイドはしみじみと呟き、青子は本来知っている魔道元帥の姿との差がかけ離れていたためか力つきる。

「兎も角・・・魔道元帥・ゼルレッチは志貴をいたく気に入ったらしく協会側に最重要保護対象の命を発しました」

「うわぁ・・・目に入れても痛くない孫って感じね・・・」

「何も言えないわ・・・」

「従って遠野家の連中が何をしてもそう簡単には屋敷から出られません」

「・・・・・・無理ね」

「そうね・・・志貴の平和は守られたようね・・・」

深くため息を吐き、青子はグッタリと後ろに倒れた。

「精神的に疲れたわ・・・」

アルクェイドもバタリと後ろに倒れる。

「口にするだけでもおぞましかったです・・・」

シエルは俯せになるとそのまま目を瞑り眠ってしまった。

三人ともその時の夢は悪夢だったという―――