ゆっくりと・・・ゆっくりと目を開けた。

カーテン越しの朝日が心地よい。

俺は身を起こし周りを見回す。

「―――やっぱり変化無し、か」

 

 

 

 

 

残り5日と1時間15秒(推定)

 

 

 

 

 

「御免ね、志貴・・・今日はちょっと火急の用で出ないといけないの・・・」

朝食の後、先生は申し訳なさそうにそう言った。

その台詞にスープを飲んでいたシエル先輩の目が怪しく光る。

一方のアルクェイドはボーっとしながらもパンを囓っていた。

―――アルクェイド・・・最近規則正しい生活だな・・・・・・

先生の話を聞きながらそんなことを考えていると

「帰ってこなくても良いですよ」

先輩がトンデモナイコトを宣った。

「それは・・・どういうコトかしら?」

ガタン

先生がユラリと席を立つ。

マズイマズイマズイマズイ!!

周囲の空気がズンと重くなり、殺気が漂うトンデモナイ朝の食卓となった。

二人とも喧嘩しないでよ・・・・・・

俺としては喧嘩を此処でして欲しくないのだが、子供化しているだけに強く言えないし、何よりも怖い。

そこで俺はアルクェイドに助けを求めた。

「アルクェイド〜何とかしてよぉ〜」

眠そうな顔で俺を見た後、「エヘヘ〜」と緊張感のない笑顔で俺に答える。

「志貴ィーこの二人も本当は分かってるんだよー。志貴の困る顔が見たいだけなんだから〜」

「え?」

「二人ともそーだよねー?」

アルクェイドは二人にニコニコしながら声をかけた。

「・・・・・・」

「・・・・・・」

二人は無言でアルクェイドを見た後に俺を見る。

「もう一押しかな?志貴が泣くまで・・・」

「もう少しで泣きじゃくる姿が・・・」

何かロクでもないような台詞が聞こえたような気がする・・・・・・

「むー。二人とも聞いてる?」

「え?あ、うん。聞こえてる」

・・・泣きじゃくる遠野君の姿・・・

まだ言うか・・・

「あ、時間がない・・・じゃあ今日中には帰ってくるから」

先生はそれだけ言うと荷物を取りに行った。

「なぁ、アルクェイド・・・先輩を元に戻して・・・・・・」

「んー無理」

秒速で答えられた。

「それにあんなシエルに近付きたくない」

―――確かに・・・

先輩は何を妄想しているのか自分を抱きしめながら体をクネクネと動かしている。

目は何処を見ているのか定かではない。

瞳孔も開いているような気がする。

「志貴〜今日はどっかいこ〜よ〜」

アルクェイドはそう言いながら俺を抱き上げる。

「ん〜そうだな。暇だし・・・」

怪しげなオーラを纏っている先輩から逃げたいし・・・・・・

俺はアルクェイドの提案を受け入れた。