「あ、あれ?先生・・・そんな格好で何かあったんですか?」
「ああ、これ?これはお姫様専用の装備よ」
「・・・・・・・・・なんか、もの凄すぎません?」
「足りない位よ。前回前々回と美味しい思いしたお姫様にはこれくらい当然よ」
「・・・・・・」
「流石のお姫様も、今回は復活しきれないみたいね」
「そんな獲物持ち出したらそうなると思いますよ?」
「宝石剣とエクスカリバーじゃお姫様は仕留めきれないわよ」
「二刀流?!」
「残念。フルカスタムのブラックバ「わ〜〜〜!!」・・・ふふっ」
「ひゃぁっ!先生・・・?」
「逃がさないわよ・・・志貴」
「早くタイトル出して〜〜〜!!」
「やぁ、これをそのまま続けても・・・」
「早く!」
「はい・・・」
窒息するほどのお約束?!
「チイッ!」
アルクェイドは忌々しげに舌打ちをする。
「何があったのですか!」
「志貴はいたけど知らない奴に押し戻されたわ」
消えたゲートのあった場所を睨み、問いかけたシエルに吐き捨てるように言った。
「空間の歪みが発生したのも、それに志貴が飲まれたのもそいつのせい?」
「そんな雰囲気じゃなかったわね・・・でも何かが志貴を守っていたわ」
「今の遠野くんは綺麗ですから・・・」
「そうね・・・馬鹿姉貴をオトして作らせた最高傑作だし」
「しかし・・・マジでオチた時は焦りましたよ」
シエルは顔を引きつらせる。
「焼き回しの写真集と端金で懐柔されるとは思わなかったからね」
青子もその時の様子を思い出してため息を吐いた。
「それよりも問題は志貴よ」
「それはそうですが・・・遠野くんがその異世界、異空間にいるのなら」
「無理じゃな」
不意に聞こえた別の声に全員が一斉に声の方を向いた。
「ゼル爺!」
「どういう事ですか?」
「異空間へのクラックに飲まれたのなら何処に跳ばされたのか皆目見当もつかんぞ」
「でも私志貴を見たもん」
「・・・・・・それこそ天文学的な確率のうちの一つを掴んだのじゃよ。奇跡という名の、な」
「それじゃあ・・・志貴とはもう」
愕然とした表情のアルクェイド。
「嘘、です・・・遠野くんと会えないなんて・・・」
カクンと全身の力が抜けたように座り込み、呆然とするシエル。
「そうね・・・私も信じない・・・」
対して青子は険しい表情ながらもハッキリとそう言いきった。
「ほう、ガンナーよ。何か理由でもあるのかな?」
ゼルレッチは興味を示し、青子を見る。
「だって、不幸自慢世界一で悪運もマキシマムな志貴だもの。絶対にこの世界にかえってくるわ」
言い切った。
それはもうハッキリと。
そして、
「それに・・・魔道元帥。貴方こそ志貴の行き先が気になって仕方ないんじゃない?志貴に『ゼル爺』って言われたくって」
ビクゥッッ!!
大きく動揺するゼルレッチ。
そりゃもう見たら分かるほど体を震わせた。
「マジですか・・・?」
「ゼル爺・・・孫が欲しいって本気だったんだ・・・」
別の意味で愕然とするシエルとホロリと涙するアルクェイド。
バックでは何故か『もらい○き』が流れていた。