「愛の伝道師ぷりちー志貴見参〜」
「・・・・・・」
「あ、アレ?もしかして、怒ってる?」
「当たり前だろ・・・何で俺がこんな姿なんだよ」
「突然すぎたかな?」
「突然も何も・・・前フリすらなかった気が」
「あ〜・・・事情は後で話してあげるけど・・・しぃきぃ〜」
「な、何?・・・そんな怖い目で見ないで!」
「志貴の肌・・・柔らかくってスベスベしていて触るとシットリしていてわたしを誘っているみたい」
「そんなわけなっ・・・・ァ、駄目だよ・・・アルッ・・・アルクェイド!止めてよぉ!」
「ふ、ふふふふそんな誘うような顔しなくてもちゃんと・・・」
「ちゃんと・・・何かしらねぇ」
「に゛ゃっ!?ブルーっ?!」
「人誅!」
ドゴンッ
KNIGHT?
「志貴〜〜〜〜〜っ」
俺達三人の手前数メートルの空間が歪み、アルクェイドが飛び出してきた。
そしてそれと同時に、
「フンッッ!」
ジョーさんが拳を繰り出した。
「えっ?っっ!!」
アルクェイドは咄嗟にガードする。
しかし、ジョーさんの拳撃の威力はすさまじく、空間の歪みの中に押し戻されてしまった。
「嬉しいような戻りたいような複雑な心境だ・・・」
そんな事をいっても無駄だと分かっている。
言ってみただけだからいいぢゃない。人間だもの。
ちょっと悟った気になった。
「・・・確かに、あの一撃でダメージを与えられぬとは」
少し驚いたような声のジョーさん。
や、あなたも十分に規格外の強さです。
歪んでいた空間が元に戻り始める。
拙い。
このままここにいるのはイヤだ。
かといってあの腐女子の群がる中に戻ると言う事は───────────
ガタガタブルブル
「む、空間が・・・少女、イヤ、志貴よ。今はあるべき空の下へ帰るがよい」
「え?え?」
ジョーさんがそんな事を言って俺の首根っこを掴んだ。
「私もいずれその世界に降臨する予定だ。もし会ったら助けてやる」
「降臨って・・・それよりも予定って何?!」
「うむ。ここにある人物のネタ帳があってな・・・どうやらどこぞの街で戦いが勃発し、そこに私が『サーヴァント』の一人?として降臨するらしい」
「イヤ!何故そこ疑問系?!」
「あくまでもネタらしいので何時そちらに行けるかはわからんが多くの者が望めばそうなるだろう」
「何故その手帳でそんな自信もって言えるの?!」
「それはな・・・これが幻のアイテム『一応神様のネタ帳』だからだ!」
「──────わけわかんないよ・・・」
諦めた。理解できない領域の事だ・・・
「因みに志貴。私が元の世界に放り出した後だが・・・このネタ帳にはかなりロクでもない事が書かれてある」
「!!!!!」
俺は慌ててその手帳の中を見ようとした。
「ほぉ・・・むむむっ・・・何という破廉恥な・・・」
───僅かな差でネロに取られてしまった。
しかし、頬を赤く染めるネロってかなり怖い・・・・・
「小僧、イヤ、小娘!貴様なんて羨ましい真似を!!」
しかも怒っているし・・・
「もてない歴が生きた時間と同じな私にとって貴様は絶対に駆逐せねばならぬ相手だ!」
うっわ、めっちゃ殺意もっているよ・・・
「そう思うだろう?!同士!!」
ネロが泣きながらジョーさんに話を持ちかける。
「・・・・・・・志貴よ。時間がないので私も行くとしよう」
あ、逃げた。
「まさか!貴様彼女が居るのか?!裏切ったのか!?私の事を裏切ったのか?!!」
錯乱しているのか訳の分からない事を言うネロを無視して、ジョーさんは俺を掴んだまま今にも消えそうな歪みに飛び込んだ。
「どぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜し!カムバァァァァァァッッック!!」
背後でマジ泣きっぽいネロの絶叫が聞こえた。