「ん〜〜〜っ誰もいないって開放感あるなぁ」

「酷いよ志貴ぃ・・・・・・」

「だって最近みんな俺を玩具にして俺という人間を見てなかったし」

「うっ・・・志貴は志貴だもん・・・・・・」

「その台詞は嬉しいけどな・・・やりまくった後に言うのはこれ如何なモノかと」

「だって吸血衝動よりも志貴への想いが強いんだもん」

ケッ、あんな事言ってやがりますよ

それよりも今回出番あるのかしら・・・

「・・・・・・そう言えば台本では三人とも今回出番無しって」

「えっ!?」

殺す!

消す!

「あ〜あ行っちゃった・・・あれ?」

「わたしはここで志貴と楽しむから良いのよ・・・ふ、ふふふふふ・・・」

「助けて〜〜〜っっ!!」

「追いつめてあげるわ・・・」

 

 

 

 

 

白紙に戻そう拳闘士!?

 

 

 

 

 

俺が選んだ選択肢。それは───

4と2だった。

赤い家は本能が拒否した。つまりそれはロクでもない結果になるということ。

そしてこの世界が一体何なのか分からないうちにこの世界を壊せばどうなるか・・・予測もつかない。

従ってこの世界をもう少し見回る必要があったために草原の果てまで行こうと考えた。

でも、何故4.召還を選んだか・・・・・・こんな選択肢が浮かんだこと自体おかしい。

何をどう呼び戻すのか疑問だ。

呼び戻すって事は多分、知り合いか誰かだと思う。そう思いたい。

そして俺の姿を見たところで俺のことが誰だか分からないだろう。

少し寂しい気もするが襲われるよりはきっとマシだと思う。

でももし別の何かを呼び出したりしたら───

「そっか・・・最悪、闘う覚悟決めないとなぁ」

そんなことを考えながら真っ直ぐ草原の果てまで歩いていく。

召還方法知らないし。

「そう言えば久しぶりだよな・・・こうして一人で行動するのって・・・」

「そうなのか?」

「うん。外歩くのもアルクェイド達と一緒だったし」

「ふむ、なかなか大変なようだな」

「そうなんですよ・・・ここで暫く息抜きできれば良いんですけどね」

「案ずるな。ここは異世界。奴等とてそう簡単に介入出来ん」

「常識ぶち破っている三人ですから絶対とは言えませんよ・・・」

「むう・・・確かに姫と前代のロアのキャパシティーをもつ小娘、そしてマジックガンナー・・・いずれも最強揃いだからな」

「ほう・・・貴様がそう言うか」

「うむ。我が混沌をもってしてもあの三人は如何ともし難い」

「楽しみだ」

「─────────って貴方誰ですか?それにどうして死んだはずのお前が居るんだ!?」

「諸般の事情だ」

「転送サービスだ」

俺の背後にはいつの間にかネロと虎頭の人が現れていた。

───もしかして、召還されたのって此奴等!?

呼び戻す違うし・・・

「呼び戻されたぞ。別から」

「私はすぐそこでこの漢と会い、行動を共にしているだけだ」

「──────で、どうして俺が志貴だと分かった?」

「何を言っている。背中に張り紙がしてあるぞ」

「迷子札とは古風な・・・」

「!?」

俺は慌てて背中に手をやると

カサッ

「今時小学生でもこんな悪戯はしないだろ・・・」

俺の背中には俺のプロフィールが貼り付けられていた。

「遠野志貴・現在女性・身長170センチ・スリーサイズ88.57.86」

「・・・・・・・・・」

誰が書いたかは知らないがこれはこれで誰かを殴らないと気が済まない。

しかしそこはかとなくあの三人が書いたような気がしてならなかった。

だとすれば何故彼女たちが居ないのか。

何故このような場所に俺一人で居るのか。

酷くイヤな予感がした。

「・・・もしかして、ここってあの世?」

「貴様の直死は絶対的なものだ。死という概念すら消し去る消滅なのだぞ?」

ネロが不機嫌そうにそう言った。

「じゃあ何で生きているんだよ・・・そう言えば別って何なんだよ」

「別とは別セーブのことだ」

「は?」

セーブデータ12以降はまだ倒されてはおらんのでな」

「・・・・・・」

「安心しろ。台本通りに倒される予定だ」

「台本!?って言うよりも倒されても良いの!?」

「大体の敵役は捨て台詞集とセットで持っているぞ」

そう言いながらネロは二冊の本を混沌から取り出す。

「捨て台詞集はちょっと欲しいかも・・・」

「私は悪役ではなかったので捨て台詞集は持ってはいないが・・・確かに欲しいな」

俺と虎頭の人は捨て台詞集を読みながら聞いたことがあるものと書かれているものを照らし合わせる。

「───ところで、貴男のお名前を聞いていないのですが・・・」

「ああ、自己紹介が遅れたようだ。私のことはジョーと呼んでくれて構わん」

「ムエタイチャンプの?」

「アレと一緒にして欲しくはないのだが・・・」

ジョーさんはネロに捨て台詞集を返すと周囲を見回した。

「む?どうかしたか?」

「いや、巨大な力を一瞬だけ感知したのだが・・・む!?」

ジョーさんはビクリと肩をふるわせると戦闘態勢を取った。

「来るぞ!」

「この力は・・・姫君か!」

ネロも警戒を強め、油断無く周囲を見る。

───と言うよりも何故ネロはこの日の光の中でも平気なんだろうか・・・

そんなことを考えていると、

「志貴〜〜〜〜〜っ」

俺達三人の手前数メートルの空間が歪み、アルクェイドが飛び出してきた。