部屋で暫くくつろいでいると翡翠が着物を持ってきた。
一応着方は分かっているので数分後に呼びに来て欲しいと言って翡翠を下がらせる。
そして着付けが終わった頃に翡翠が呼びにやって来た。
俺は導かれるままに応接間へと向かう。そして応接間の前に来た時、
「あれ?」
翡翠はそのまま調理場の方へと姿を消した。
首を傾げながら俺は応接間の扉を開き───
年の初めの───
「「「「「新年おめでとうございます」」」」」
「・・・あ、おめでとうございます」
ビックリした。
まさか全員和服での挨拶なんて思わなかったし、何よりもこんなに仲良く揃っているなんて夢にも思わなかった。
「兄さん。今年も宜しくお願いします」
「こちらこそ。駄目兄貴だけど宜しく頼むよ・・・しかし秋葉。巫女さんみたいだな・・・清楚って言うか凛としていて」
「おだてても何も出てきませんよ」
秋葉はプイッとそっぽを向くといつもの席へと向かっていった。
「志貴。今年も強力宜しくお願いします」
「うん。シオンのその格好、とても似合うよ。三つ編みを解いた姿なんて見たこと無かったし・・・うん。凄く新鮮だ」
「そ、そんな・・・」
あ、シオンが照れてる。
「志貴〜あけおめ〜ことよろ〜」
「・・・お前はどこからそんな情報を仕入れてる?つーかその和服はどうした」
「え?これ?・・・後で教えてあげる」
アルクェイドは着物を自分の着物を見た後ニンマリと笑った。
「ふ〜ん・・・ま、いいけど」
「遠野くん、今年も宜しくお願いします」
「今年も宜しくお願いします。先輩・・・?表情が強張ってますけど、何かあったのですか?」
「いえ、何でもありません」
「あけましておめでとうございます」
「今年も宜しく、弓塚さん」
「秋葉さんから着物借りたんだけど・・・似合うかなぁ」
「うん。とっても似合うよ、弓塚さん」
「はう〜遠野くんに褒められたよぉ・・・」
「ゆ、弓塚さん?」
「さつき、しっかりしてください」
シオンが弓塚さんを捕まえて席へと引っ張っていく。
「アレ?琥珀さんと翡翠は?」
「特別ゲストと共に登場予定です」
「・・・え?特別ゲスト?」
その台詞にシオンとアルクェイド。そしてシエル先輩の表情が硬化した。
何故だろう・・・何かイヤな予感がする。
「新年おめでとうございます」
「はいは〜いあけましておめでとーございま〜す」
翡翠と琥珀さんが勢い良く扉を開けて入ってきた。
そしてその後ろには
「新年おめでとうございます・・・で、良いのかな?」
和服を着た知らない初老の外国人と、
「志貴、あけおめ〜」
「・・・せん、せい?」
先生が居た。