「今度はどこに行ってきた?」
「聖杯争奪戦をしていたのでな。参加しようとしたら全員に泣きながら止められた」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何かしたろう・・・・・・」
「少し仕掛けただけだ。彼女と」
「衛星軌道上からビームを撃っただけですが」
「物理障壁を周囲に張って無限連撃を撃っただけだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・真祖でも泣くぞそれは」
もし自分がその立場にたったらと仮定し半泣きになるヴァン=フェムだった。
「しかし・・・良くもまぁそれを買えるだけの金があったな」
ヴァン=フェムはメイドロボットを見ながらため息を吐く。
「ああ・・・そんなことか」
ゼルレッチは何でもないことのように言うと
「鉛筆1ダースをダイヤに錬成した」
「ちょっと待て!」
「何だ?」
「錬金ではなく宝石だと!?」
「ああ。何の接点もないようなモノを金に変えるよりよほど効率が良い」
「・・・・・・本気か・・・・・・」
「炭素系素材を利用すればもっと変えられる」
「ゼルレッチ様、検索終了いたしました」
「そうか・・・さて、古来より日本の決戦に必要不可欠な装備は何だ?」
「まて、アレで闘うのではなかったのか?」
「うむ。最初はそう考えていたのだがな・・・あの店の男に止められた」
「ほう・・・止められたからといって止めるような奴か?」
「『同キャラ対戦格好悪い』と言われてはな・・・」
「それだけで!?」
「言われると辛いモノがあるのだよ」
フッと寂しそうに笑うゼルレッチにヴァン=フェムは見知らぬ緑髪の青年に勇者の称号を与えた。
「日本では合戦の際には革や木、竹、そして鉄製の鎧兜を着けていました。」
「しかしそれでは相手と対等に闘うという意義が無くなるのだよ」
「――――――?」
「どうした?」
「いえ、このようなデータが・・・」
「フム・・・ミスターカラテ・・・これも日本独自の文化と言えなくもないか・・・」
「いかがなされますか」
「まずはそれを着てみよう」
「本気か!?」
「服装としては空手着ですがオプションとして天狗の面を着けるそうです」
「ほう・・・いかにも謎に満ちているではないか」
「いや、そう言う次元の問題では・・・」
「そしてもう一つは戦闘という面には特化しています」
「もう一つだと?」
「はい。ミスターカラテと共にデータが上がってきたものですが・・・」
「どのような服だ?」
「軍服です。オプションとして眼帯を着けるという・・・」
「却下却下却下却下ぁぁぁっっ!!」
「煩いぞ」
「だったらもっとまともなものを選べ!!」
「貴様が着るのではないから構わんだろう」
「一緒にいるだけで充分痛いわ!!」
「我が儘だな」
「お前がな」
その後明け方まで服について論議しあう二人と一体だった。