「―――遅かったなゼルレッチよ」
「ああ。別の小説の所で打ち合わせがあってな」
「・・・・・・言っている意味が分からんぞ」
「気にするな・・・」
ゼルレッチの普通の応対にヴァンヘムはホッと安堵のため息を吐いた。
「ところでヘムヘムよ」
「―――ヴァンヘムだ・・・何だ?」
「秋葉原と言うところは実に楽しいところだったぞ」
「――――――――――――――――そうか」
「向こうでは語尾に『ニョ』と付けるようにと言われたが・・・」
―――ヴァンヘム脳内映像―――
「そこのマシン一式貰おうかニョ」
「ありがとうございました〜お会計○○になります」
「カードで頼むニョ」
―――脳内映像終了―――
「―――グフッゴフッ・・・そ、そうか・・・頼むからここでは付けて話すなよ?」
「分かっている。しかし・・・HMX12も欲しかったな・・・持ち合わせが僅かに足りなかったために購入を断念したのだが・・・」
「HMX?なんだそれは」
「メイドロボットだ」
「あったのか!!??」
「うむ。緑髪で独特なサングラスをした青年のいた店だったが・・・どうやら独自で開発したらしい。日本は・・・いや、あの地は世界の頂点に位置するやも知れん」
「―――動いていたのか?」
「ああ。『はわわ〜』と言いながら店内をモップがけしていた」
「―――悪いがその店の住所を詳しく教えてくれ」
「イヤ、店主曰く『この店を見つけ、尚かつ足を踏み入れることが出来たまい同志のみにしか売らん』とのことだ」
「―――いくらだ!?金なら出す!買ってきてくれ!!」
「明日から店主は旅に出るそうだ」
「そうか・・・・・・くっ・・・」
「そんなに欲しかったのか?」
「い、いや・・・見てみたいと思っただけだ」
「そうか・・・」
コンコンッ
「ゼルレッチ様、マシンのセッティングが整いました」
「ああ。わかった」
「・・・・・・今のは・・・」
「HMXシリーズ13型だ。先にアレを買ったために12型の金が無くてな」
それだけ言うとゼルレッチはヴァンヘムの府屋を後にした。
閉めた直後、ヴァンヘムの部屋から妙な叫び声がしたのは一体何故なのか、知るものはいない。