C666回殴りつける!!

志 貴「どうイメージしてもタンデムアタックだよなぁ…」







D待たせた代償

シエル「遠野君、一緒にお昼ご飯を食べませんか?」

秋 葉「いいえ、兄さん、昼食は私と一緒に…」

志 貴「ごめん、二人とも!待ってくれてる人がいるんだ!」

シ&秋「あっ…」


          教室から駆け出す志貴。

          その背中を見送る二人。


シエル「あ〜あ、遠野君、行っちゃいましたね」

秋 葉「しかたがありません。兄は、遠野志貴はあの人に決めてしまったのですから」

シエル「……寂しい、ですね」

秋 葉「そっ、そんなことは…」

シエル「強がってみても、私は自分の心は否定できません。私は遠野君が好きでしたから。貴女もそうですよね?」

秋 葉「……ええ」






























―――その人は、ずっと待っていてくれたんだ―――





―――それは僕等が中学生のときから―――





―――その人は、こんな俺をずっと笑顔で見ていてくれたんだ―――





―――それは僕等が恋に恋焦がれていたような年頃だったときから―――


























―――だから、俺はそんなあの人のために―――





―――自分にあるもの全てを費やしたいと思ったんだ―――


























志 貴「ごめん!待った?」

有 彦「ったく、オマエはいつも遅せぇんだよ(微笑)」



さつき「私じゃないの!!?」







E一人の男として、一人の女として

都 古「お兄ちゃんはわたしとおうちに帰るの!」

志 貴「あ、あのね、都古ちゃん…(汗)」



琥 珀「あは〜、志貴さんはどちらへ行かれても人気者なんですね〜」

秋 葉「と、当然よ!私の兄なんだから、人気があるのは当然のこと!」

琥 珀「なんせ秋葉様にも大人気ですからねぇ(ニヤニヤ)」

秋 葉「琥珀…あなた何が言いたいワケなのかしら…?」

翡 翠「若い女性には三倍のスピードで優しい志貴様ですから、

     このまま都古様に"押されて"というよりも寧ろ"引かれて"行く破目にもなりかねません…」

秋 葉「!? そ、そんなと……

琥 珀「? …秋葉様?」

秋 葉「…それで良いのかもしれない…

翡&琥「―――え?」

秋 葉「そう、兄さんは有間家で暮らしていけたなら、私がこんなところに呼び戻したりしなければ、ずっと普通に暮らしていけたのよ。

     それを私が自分の我侭で呼び戻したばかりに……今ならまだ間に合うかもしれない…」

琥 珀「秋葉様……」

翡 翠「……」



志 貴「ごめん、都古ちゃん。俺の家は他でもない、ここなんだ」

秋翡琥「え!?」

志 貴「たしかに、俺は有間家で過ごしたときもあった。

     でもね、ここにはもっと前から、俺がほったらかしにしちゃった人たちが居るんだ。

     そして、その人たちは八年間もの長い間、ずっと俺を待っていてくれたんだ。

     だからさ、俺はそれに応えなきゃいけないんだ」

秋 葉「兄さん…」

翡 翠「志貴様…」

琥 珀「志貴さん…」

志 貴「ごめん、都古ちゃん。俺の家は他でもない、ここなんだ」

都 古「そんな…わ、わたし…わたし…

志 貴「都古ちゃん……」

都 古「わたしの"初めて"だったのにっ!!

志 貴「!! なっ!!?

秋翡琥「!!?

都 古「わたしにとって("お兄ちゃん"は)"初めて"だったのに!!

     (あまりに嬉しくて、技のオンパレードかましてズタボロになっちゃったぬいぐるみの)責任とってよっ!!」

志 貴「み、都古ちゃんっ!!」

秋翡琥「………」

志 貴「うわっ!?何だよ、三人ともそんな何かを諦めたような顔は!?

     言っとくけど誤解だぞ!これはっ!!」

都 古「ご、誤解だなんて…お兄ちゃんのばかあぁぁぁぁぁあ!!

     あの子(ズタボロになっちゃったぬいぐるみ)はもうお兄ちゃんには関係ないんだからぁぁぁ!!」

志 貴「ちょっ、都古ちゃん! 待って!!

     …って、何で三人とも今度はそんなに晴れ渡ったような清々しい笑顔なんだよ!!?」

秋 葉「そんなことはどうでもいいんです。兄さんは早く彼女を追ってあげてください(清々しい笑顔)」

琥 珀「ほらほら、ぐずぐずしてると行っちゃいますよ?(清々しい笑顔)」

翡 翠「志貴様を"お父さん"です(清々しい笑顔)」

志 貴「三人とも、絶対誤解してる! 特に翡翠! 何だよ? その"お父さん"ってのはっ!?」

秋翡琥「兄さん! / 志貴様! / 志貴さん!」

志 貴「ああっ! もう、チキショー!! 追ってやる! 追ってやるよぉぉぉ!!」



 次の日、学校では「お兄ちゃんのばかぁぁぁ!! わたしの"初めて"だったのにぃぃぃ!!」と泣き叫びながら走っていく

 "有間の妹"こと都古ちゃんと、それを必死で追いかける志貴を見たという話が広まっていた。

 志貴はクラスのみんなはおろか、シエル先輩にまで蔑むような眼で見られ、その誤解を晴らすのに一月かかったという。

 尚、この時、有彦だけはしっかりと事の真相に気付いてはいたが、面白いのでしばらく志貴をからかっていたそうだ。