十九話/登場

 

 

 

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家の中に、インターホンの音が響き渡る

「はいはい・・・」

玄関に一番近かった志貴がそういいながら玄関の戸を開ける

「・・・あの、誰ですか?」

そこには、どこからどう見ても神父な男が立っていた

「こちらに、七宮 士郎、七宮 志貴、遠坂 凛、葛木 宗一郎、イリヤスフィール・アイツンベルン、セイバー、アサシン、アーチャー、キャスター、キャスターが召喚したアサシン、バーサーカー、ランサー、及び4名の女性は全員ご在宅か?」

そして、そんなことをのたまった

「・・・・・・いたら、どうする?」

「いやなに、そんなに敵意を向けることは無い。私は監査役の者だ」

そういって男が口元を少し、吊り上げる

「監査役?たしか名前は・・・・・・」

「言峰ぇええええええええええええ!!」

「うぇえええええええええええええええええ!?」

志貴が名前を思い出そうとしたその瞬間、志貴の背後から何本もの黒鍵が投擲される。そのうちの数本は志貴を掠めた

「む・・・」

言峰はソレにキ気付くと共にそれの軌道から自分の身体をずらす

外れた黒鍵が玄関の戸を突き破り、家の門まで飛んで行き、突き刺さる

ボォオオオオオオオオオオ!

そして、門が燃え盛った

「火葬式典かよ!?」

「あ、外しちゃいました。えへ」

「えへ。じゃなーい!アサシン!?アルクェイド!?士郎でも誰でもいいから水!水を!」

その志貴の声で家中の者が玄関に集まる

「綺礼!?ってか火災!?」

凛が綺礼に驚き、門を見て叫ぶ

「うわぁ!?ウチの門が!」

士郎が、痛烈な叫びを上げる

「なんだ?祭りか?」

ランサーが何故そうなるのかも分からない結論を口にして

「そんなわけないだろう?火災だぞ、あれはどうみても」

アーチャーがつっこむ

「たまや〜」

青子が全然違うことを言えば

「花火なんて何処にも上がってないぞ」

橙子が冷静に指摘する

「キレイだね〜」

イリヤが微笑むと

「む、私か?」

綺礼が反応して

「違うわよ」

それをアルクェイドが軽く・・・でも人間にとっては強力な蹴りで蹴り飛ばす

他の面子もギャアギャアと騒ぐ

「「とにかく消火だろうがーーーーー!」」

そして志貴と士郎の叫びが木霊した

 

 

その後、真昼間から魔術を使うのは拙いだろうということで、どこかに消えた青子と橙子除く七宮邸に滞在している者全てによるバケツリレーが行われ、門は真っ黒な炭になりながらも消火された

「で、何の用よ?綺礼」

凛が、ころまた青子と橙子さらに士郎とアーチャー、ランサーを覗いた全員が集まった居間で言峰に恨めしそうに尋ねる

「何、監査役として、現状を見過ごせなかったというだけのことだ」

言峰がそう言うとともに、家の燃えた門の方から何か言い争う声が聞こえる。

その声の主達は士郎とアーチャー、そして何故かアーチャーが支援を頼んだ何か言いたそうなランサー

門の修繕をするために、現在日曜大工的なことを行っている筈なのだが、やはりあの三人では上手くいかないのだろうか

「現状?」

「説明する必要もないと思うが?」

凛が、居間を見渡す

ぶっちゃけ、異常

ちょっとだけ頭が痛くなってきた

「・・・なるほどね、確かにこれじゃあ聖杯戦争なんて機能を果たせていないわよね」

「そのとおり」

言峰が続ける

「よもや貴様らは聖杯戦争を止めるなどとは言うまいな?」

・・・あ、ごめん。結構マジメに止める気なんだけど

そんなふうに、志貴が心の中で呟く

居間にいる大半も、ちょっと汗を一筋流している

「・・・ふむ、よもはと思い尋ねてみたが、まさか本当にそうであるとはな」

そんな居間の者達の反応を見て言峰が口元を歪める

「しかし、凛よ。一族の悲願である聖杯を諦めるというのか?」

びくん、と凛の方が跳ね上がった

「っ・・・ふん、別に遠坂が欲しかったのは万能の杯である聖杯よ!良く分からないけど今の聖杯は汚されてるんでしょ?そんなのいらないわよ」

そして、すぐに態度を戻し、そう告げる

その言葉に言峰が笑みを消す

「ほう、そこまで知ったか・・・ふむ」

そして、少し考えるような仕草をして

「ならば・・・」

立ち上がり

「そうだな」

縁側へと歩いて行く

「貴様らに聖杯を手にする資格などあるまい」

そして、指を鳴らした

その音と共に、強大な何者かの気配が空気中に満ちる

「フ、言峰よ。やっと我の出番か・・・待ちわびたぞ、数刻の間だけとはいえ貴様の願いを受けてやった我に感謝するがいい」

そして次の瞬間、塀の上には黄金の甲冑を纏った一人の男

「サーヴァント!?」

凛が、他の今の者も同様に驚愕の色を浮かべる

「やはり、あなたは監査役などやってはいなかったんですね・・・言峰」

しかし、すぐにシエルは黒鍵を手に取る

「そんな事はないぞ、第七司教。私は私でちゃんと監査役の仕事は果たしているつもりだよ」

「サーヴァントを手にしてなにがっ!」

いつのまにか、庭へと移動した言峰にシエルの手から、無数の黒鍵が投げられる

「騒がしいぞ、雑種」

そして、それらは全て、どこからか飛翔してきた同じ数の武器によって砕かれた

「なっ!?」

シエルが後ろに大きく飛ぶ

そして、次の瞬間にはその場所に数本の剣

「どうゆうつもりよ、綺礼!」

凛が叫ぶ

「どうもこうも、聖杯戦争に参加をしないなどという愚か者達を排除するだけだが?」

「なんですって・・・!」

その言葉に凛が憤怒の形相を浮かべる

「・・・そう、分かったわ・・・・・・サーヴァントを持ってるんだから、アンタも負ける覚悟は有るんでしょうね?」

「ふん、雑種の娘・・・何を言うかと思えば、言峰はこの我の一応はマスター、故に負けるなどという事は有り得ん・・・それにしても、久しいなセイバー」

「・・・アーチャーなのですか?」

アセイバーが男を見上げる

「ふん、他の誰に見えるというのだ?」

「何故だ・・・あなたは前回の聖杯戦争で」

「そんなことよりも・・・先程からの我に向けられるこの殺気は何だ?」

男が居間を見回す

「さっき、負けはありえないって逝ってたわね?じゃあ私も勝てないかな?」

そして、そんな男の周りの空間から複数の鎖が伸びる

しかし、男はそれを普通ならありえない動きでかわす

「何のつもりだ?吸血鬼」

「吸血鬼?あはは、私の正体が分からないんだ?最悪、減点〜」

そういって、アルクェイドが庭へと降りる

「・・・あー、皆さん?避難非難〜」

そして、さきほどの殺気はどこへやら。シエルが居間の全員を下がらせる

「な、なによ?」

凛が尋ねる

「・・・・・・・・・いやね、最近アルクェイドはストレスが溜まってるようでしたから」

シエルが苦笑いを浮かべて答える

その答えにアルクェイドの正体を知っている居間の者達はなんとなく理解した

つまり、ちょっとスゴイコトになるんだろう・・・と

「さよなら、言峰。最後だから言うけど、アンタ・・・最低だったわ」

そういって、凛が笑顔を小さく浮かべていた

 

 

一方そのころ

「アーチャー、なんで俺を言峰から離した!?」

「あの男には奥の手が有る、だから冷静に事を進めなければいけない。先程答えたはずだが?」

言峰の正体を知る元言峰のサーヴァント、ランサーと未来の英雄エミヤが言い争っていた

「ま、とにかく言峰は反則を犯してる最低な奴って事か?」

「そうだ。小僧、おまえはやっぱり話が分かるなぁ」

そして士郎が今までの話を纏めて言うとランサーがアーチャーに対する態度から一変して軽い口調で士郎の肩を叩きながら言う

「あと、アーチャーとランサーさ」

「なんだ?」

「ん?」

士郎の掛けた言葉に二人が尋ねる

「庭のほうでなんか戦闘してるけど、いかなくていいのか?」

「なにっ!?」

「なんだと!?」

「ああ・・・そっか、気付かなかったんだな?まあこの家はいたるところに結界やら何やらがあって気配なんかが変な感じになってるんだよ」

慣れてないんだから気付かなくても当然だな、と士郎が呟く

「それを早く言え!」

「早く言いやがれ!」

そして、二人が日常の服から赤の外套と青の皮鎧に身を包む

そして、その二色は庭のほうへ

「・・・これでいいですか?」

そして、士郎は庭とは逆の方向に尋ねる

「ああ・・・それと志貴」

「はい?」

そこには、橙子と青子、そしていつのまにか居間を抜けてきた志貴がいた

「貴方達も気付いてるでしょ?この町の異常」

「・・・ええ、この町を満たす魔力がゆっくりとですが、町のどこか一点に流れ込んでいます」

志貴が答える

「そうだ・・・どうする?」

「俺たちが行っても悪くはなっても良くはならないでしょう?コレは」

「確かに、ね」

橙子の問いへの志貴の答えに青子が同意する

「それに、多分、俺たちの近くにいる遠坂さんや他の人にも被害が及ぶでしょうから・・・」

「今はなるべく、遠坂達を強くしたい」

そして、そんな決意を士郎が口にする

「そう・・・」

「せいぜい、足掻くがいい。どうせ私たちは手伝えない」

「「はい」」

次の瞬間・・・庭で光が溢れた

 

 

 

感想(後悔)

うむ!なんていうか・・・うん!

あのお方がやっと出てきたっていう感動は拙い文章のせいで微塵も沸きません!

ゴメンナサイ

次回はアルクェイド?あれ?アルクェイドのマトモな戦闘って、初めて?