十五話/神封

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「が、がぁあああああああああああああああああああああああああああ!!」

士郎の凄惨な悲鳴が響く

「っ、ちょっと!なによ、あれ!」

凛が燈子に向かって叫ぶ

セイバーなどは既に走り出している

「まぁ、止まりなさいよ」

そんなセイバーを青子が立ちはだかり止める

「っ、貴様!そこを退け!」

セイバーが見えない剣を構える

「駄目よ」

「ほざけ!士郎を人とも思わぬ貴様のような輩の言葉など、聞く耳もたん!」

「・・・・・・」

そんなセイバーの言葉を聞いた瞬間、青子の雰囲気が変わる

「っ!?」

次の瞬間、いきなり現れた光の球体がセイバーを吹き飛ばす

「―――何?貴女、ここで消されたいの?」

どこまでも澄んだ氷のような声で青子がセイバーを見下す

「貴女は何も知らない、貴女は教えてもらわなければ何も理解できない、貴女は士郎を支える事なんて出来ない・・・・・・そして、貴女は士郎の何も知らない。そんな貴女に何が出来るの?」

まるで、呪いでも唱えるかのようにセイバーに言い放つ

「なっ・・・なんだと、貴様っ」

セイバーの眼に、明らかな殺意が宿る

「止めとけ、セイバー」

それを、ランサーが制す

「何を、ランサー!」

「お前じゃ何も出来ないよ、そこの姉ちゃんの言うとおりだ」

ランサーが真剣な顔で言う

「そんなことっ!」

「ないと言えるのか?」

ランサーがセイバーの言葉を遮る

「お前だけじゃない、俺だってここにいる志貴やそこにいる姉ちゃん達以外、士郎を救うすべを知っている奴はいない、誰もな」

「っ・・・」

セイバーが唇をかみ締める

「とにかく、俺らは見てることしか出来ないんだ、せめて祈ってやれって」

ランサーはそういってまた口を閉ざす

「ですが・・・」

セイバーが拳を握り締める、自分に何も出来ないという事実が悔しくて

「ほら、セイバー。そんな顔しない」

と、その肩を再び叩く者がいた

「リン・・・」

「大丈夫よ、きっと・・・なんたってあの滅茶苦茶な衛宮君よ?簡単には死なないわよ」

そう、凛が笑ってみせる

「・・・はい」

凛の笑顔、その内に隠されている悲しみを見て、セイバーが頷く

自分だけが、甘えている事は出来ない、と

「シロウ・・・」

そして、その視線は士郎に

「っ!?」

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

暫く眼を離している隙に、その場所はまったく別の物になっていた

士郎の胸には白く淡い光を放つ文字で描かれた魔法陣

そして、その周囲にはあらゆる者を拒むように地面から突き出している刃の群れ

「・・・これは」

凛が呆然と呟く

「固有結界の暴走発動、が完璧には発動していない・・・この陣には固有結界発動妨害も組み込まれているからな」

燈子が告げる

「だが恐ろしきはやはり士郎の力だな。これほどの抵抗を見せるとは」

そして、その頬を一筋の汗が伝う

「これが、固有結界・・・」

凛と、そしてキャスターまでも息を呑む。

魔術師である二人がソレを見て息を呑むのも当然だろう。

圧倒的な存在、圧倒的な力を秘めたソレに驚愕しない者など、この世に数えるほどだろう

「見るのは初めてなの?キャスターまで?」

青子が尋ねる

「ええ・・・夢で存在は知っていたけど・・・」

「当然でしょう、固有結界など、神代においても使えるものなどそうはいませんでした」

そんな会話の最中にも、士郎の固有結界は・・・

「先生、そろそろです!」

志貴が叫ぶ

士郎の周りから生えていた剣がひび割れ、砕け、数を減らしてきたのだ

「ん・・・オッケー、行くわよ!」

「はいっ!」

青子が両手を士郎に向ける

「我、破滅の担い手、この場この時をもって剣の神を奈落へ落とさん!」

それにあわせて、志貴も同じように言葉を紡ぐ

「吾、死神也、地の底へ吾が盟友たる剣の悪しき神を舞い戻す」

二人の詠唱が鍵となっていたのか、部屋に赤い光が満ちる

「この血をもって、神を封印せん」

そして、その光の中、橙子が自分の指を噛み切り、そこから出た血を士郎の胸元、光の魔法陣に血を込める

光が士郎の身体に吸い込まれていく

そして、光が完全に消え、志貴と青子、橙子の溜息の音

「終わった・・・」

志貴が呟く

「お疲れ様、志貴・・・それと、士郎」

青子が優しくそう言う

「さて、では上に戻ろうか・・・士郎は起きたら説教だな」

そういって、橙子が士郎を担ぐ

「ちょっとぐらい、手加減してあげてくださいね?」

「却下だ」

志貴の言葉を切り捨てて、橙子が闇に消える

「・・・士郎、俺はかばったんだからな?」

志貴のその呟きに、凛やセイバー、他の者達も何か哀愁のようなものを感じた

「志貴も、のまれたら、ああなるかもね?」

「・・・!」

その後、青子の言葉を聞いた志貴がしばらく足を震わせていたのは言うまでもない

 

 

「それで・・・結局これからどうなるわけ?」

居間に戻って一番最初に口を開いたのは凛だった

ろ言っても、現在居間には凛と志貴とアーチャー、アサシンしかいない

他の者達は全て凛が追い払ったり、勝手に寝てたりしている

「どうなるって?聖杯取るんだろ?」

志貴が首をかしげる

「・・・災厄をもたらす聖杯なんていらないわよ」

凛が苦虫でも噛み潰したかのように言う

もともと、聖杯の獲得は遠坂家の悲願である、それが穢れてるとなればこの態度も普通なのかもしれない

「ふうん・・・・・・それだけかな?」

志貴がぼそりと呟く

「なんですって?」

その呟きが聞こえたのか、凛が志貴を睨みつける

「いや、なんでもないよ?」

志貴が立ち上がる

「ただ・・・君は本当は何が欲しくて、どう在りたいんだろうね?」

そして、そういい残してアサシンと共に居間を出て行く

「・・・どういう意味よ」

「さあね、私に視線をむけたからといって答えなど出るまい?」

凛に視線を向けられたアーチャーが口の端を吊り上げる

実際、アーチャーにも分からなかった

・・・生前が生前であるからだろう

 

 

「っと」

屋敷の屋根に上る、とそこには

「以外だな、おい」

「・・・同じく、だ」

何故か、アルクェイドと青子が並んで座っていた

「・・・なんでさ?」

思わず志貴の口から士郎の口癖が出る

「しらん、居るから居るんだろう?」

アサシンがそっけなく答える

「いやそうだけどさ」

「あ、志貴―!」

「ん〜?」

そこでアルクェイドと、そしてその声を聞いた青子が志貴達を見る

「今晩は、アルクェイドに先生」

志貴が右手を軽く上げて挨拶をする

「・・・・・・」

青子がアサシンを見る

「・・・なん、ですか?」

「「!?」」

青子へのアサシンの言葉に志貴とアルクェイドが心底驚愕する

「アルクェイド!」

「志貴!」

そして、互いの名前を叫ぶ

「明日は戦闘しちゃいけないぞ!」

「明日は戦闘しちゃだめよ!」

そう、同時に言った

「・・・ほう?それは吾のこの言葉が不吉な事の前触れとでも?」

「実際そうだ!」

志貴が即答する

「だって、貴女よ!?アサシン!それが・・・敬語ですって!?」

志貴ですら見たことのないくらい慌てているアルクェイド

「そうなんだ?」

そこ二人の言葉に青子がアサシンを見る

「よしっ、先生を敬う別世界の志貴未来バージョンの力量を見てあげましょう!」

そして、そう笑顔でいった

「!!!!!?????」

「「!?」」

アサシンが無言で滝のような汗を流し始める

そして、それに再び驚愕する志貴とアルクェイド、どうやら言葉もないらしい

「い、いえ・・・遠慮しておきます」

そう、アサシンが屋根を去ろうとして

「じゃあ地下室へゴー」

そんなアサシンの肩を掴んで青子が笑顔で引きずっていった

「いやだあああああぁぁぁぁぁぁぁ.....」

夜空にアサシンの断末魔が響き渡った

「・・・アサシン、座に還っちゃうかもな」

「志貴、これは避けようのない事態だったわ」

自分の可能性の一つの惨状に憂鬱になりかけている志貴の肩をアルクェイドが優しく叩いた

 

しばらくして、地下室から戻ってきた青子の言葉を聞いた志貴はさらに沈んだ

ちなみに、その言葉は「ダメね、全然ダメ、役立たずもいいところだわ」だそうだ

先生、あなたがアサシンを超える規格外なだけです

そう志貴が心の中で叫んだ

 

 

 

 

  感想(後悔) ・・・なんじゃこりゃ?(吐血 デタラメな部分が多いです、すみません。 正直・・・連載を続けてもいいものかと? それと、前に募集した武器はもう少ししたらまたランダムで登場します。