十一話/創造

 

 

 

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あたりには誰も居ない

柳洞寺の人達はアルクェイドに命令口調で指示されたキャスターが渋々と操って避難させたし自分と士郎以外の仲間もすべてキャスターとそのマスターである葛木と共に七宮邸に避難した

ここに立つのは七夜 志貴と・・・・・・衛宮 士郎、否、破壊を創造する紅蓮の剣神のみ

「どうした・・・構えているだけでは俺は倒せんぞ?」

剣神が構えず、ただ立っているという姿勢のまま挑発するように言う

「・・・黙れよ、お前・・・・・・」

志貴が殺気のこもった視線を剣神に向ける

「くくっ、見苦しいぞ、志貴・・・・・・何を恐れている?」

口元をゆがめながら、剣神が志貴に歩み寄る・・・と、剣神の背後から泥が襲う

「ふん・・・そういえば、こんなのも居たな」

剣神は歩みを止め、泥を見上げる

―――そして、飲み込まれた

泥が次々に剣神の居る場所に押し寄せる

「っ・・・!」

そして、志貴が一瞬で剣神の居る場所から離れる・・・と同時に剣神の周囲に剣が突き立てられる

「壊れた幻想(ブロークンファンタズム)」

剣神の声が泥の中から響く、そして無数の剣が一斉に爆発、爆発の余波が志貴を襲う

「か・・・はっ!」

志貴が吹き飛び、木に打ち付けられる

「は、くだらない・・・・・・この程度で俺は倒せんよ」

辺りの泥はそれで吹き飛び、跡形も無くなる

「しかし・・・・・・どうした、志貴?」

爆発によって巻き上げられた砂煙の中から、いつのまに移動したのか志貴の目の前に剣神が現れる・・・・・・その手には、長さ180cm程の一本の槍

目標の何処に攻撃を加えようとも致命傷を与える、本来の所持者と同じ名を与えられたその槍の名を―――

「聖人殺せし大罪の槍(ロンギヌス)」

槍が、志貴を貫かんと迫る

「っ!」

志貴は避ける行動と共に、その手にもつ七夜の短刀でその槍の点を突き、消滅させる

そして、剣神から十数メートル離れる

が・・・その頭上には、再び無数の剣が迫っている

志貴が咄嗟に避ける・・・しかし、避けきれずに左腕を貫かれる

「くっ・・・!」

志貴がその剣を急いで引き抜く

「壊れた幻想(ブロークンファンタズム)」

剣を引き抜き、それを投げ捨てた瞬間、それが爆発する

「が・・・はっ!」

志貴の身体が宙に浮ぶ

「ああ・・・本当にくだらない・・・・・・」

志貴が地面に叩きつけられ、剣神が歩み寄る

「早く『あれ』を使ったらどうだ・・・志貴」

一歩、また一歩と確実に寄ってくる

「どうせお前は士郎のようになってしまうかもしれない、と恐れているのだろう?」

志貴が身体を起こす

「っ!」

その眼には・・・怒り

「誰が・・・っ!」

「ならば使え」

いつのまにか、志貴の目の前には剣神が立っていた

「・・・・・・」

蒼と紅・・・志貴の眼が剣神の眼と交差する

「がっ・・・!」

ふいに、志貴の身体が剣神の蹴りで吹き飛び

「くあっ・・・」

数十メートル吹き飛ばされた志貴が立ち上がる

剣神は動かない

「・・・馬鹿が」

志貴の口から罵倒の声が漏れる

それは、本気を出すのに供する自分に対して

「だけど・・・」

志貴が眼を瞑る

 

吾は全てを破却する

「――――I kill the world and people.」

 

そして、紡がれる詠唱

 

破滅は必然であり  誕生もまた必然

「―――The universe kill ,and soul of arise.」

 

大地に、魔力が迸る

 

絶対の死を与える蒼眼を宿し  戦場を駆ける

「―――I have ultimate death.World to sink down.

 

あらゆる生の儚さを知り

Life is blessed.

 

あらゆる命の脆さを知る

All life of brittle.」

 

志貴の影が蠢き、辺りに広がる

 

死をその身に纏い

「―――Death is rampancy.

 

ただ己の意味を求め続ける

Only bearing is ask.」

 

世界が影に染められる

 

そして、それを見つける事が出来たならば

「―――Geezil is understand.This is the cause.」

 

そして

 

この身は 死者の影を従えた

「―――My whole amenability ”distortion balor”」

 

ここに、一つの『死』が形作られた

あたり一面に広がる暗闇

まったく見えないわけではないが、しかし視界は狭くなる

「たしかに、恐ろしいさ・・・・・・でもな、剣神・・・俺は、お前には負けない、負ける事なんて出来ない!」

闇の中に、志貴の言葉が響き渡る

その言葉には、決意

「やはり『あれ』は使わんか・・・・・・ふん、まあ良い・・・・・・これでも、少しは楽しめるだろう」

剣神の声色が変わる

それは・・・歓喜

「さあ・・・・・・お前に破壊を創造してやろう」

志貴が死地を駆け手にいれた力・・・・・・固有結界『歪なる死の影(ディストーションバロール)』

その中で、狂気の宴が幕を開けた

 

 

 

「っ、どういうつもりよ!」

新都の公園、柳洞寺から遠く離れた人気のない其処に逃げてきた十二人、その中で凛が叫ぶ

「まったくだ!いきなり説明もないくこのような所まで逃げるとは、しかもシロウやシキを置いて!」

セイバーも同じように叫ぶ

ちなみに柳洞寺の人達は皆柳洞寺の階段の下に倒れたまま置いてきた

「「「・・・・・・」」」

アルクェイド、シエル、イリヤの三人は答えない、ただ・・・俯いているだけ

「なんとか言いなさいよ!」

凛がよりいっそう大きな声を上げる

「黙ってなさい」

アルクェイドが顔を抑えながら凛の方を向く

指の間から見える瞳の色は金色

それには、どうしようもない憎しみと悲しみがあった

「「っ!!」」

凛とセイバーが一歩、思わず後ろに後退する

「何も知らない『外野』がわめかないで」

そういって、アルクェイドが凛達に背を向ける

「「・・・」」

そして、アルクェイドの言葉に、凛とセイバーはショックを受けていた

『外野』つまり自分達は結局何も知らないという事に

「―――気にするな、今から知ればいい事だろう?」

その凛とセイバーにアーチャーが声をかける

「・・・アーチャー・・・・・・」

凛が、眼を大きく開いてアーチャーを見る

「そうだ、確かに・・・・・・」

セイバーが叫ぶ

「アルクェイド・ブリュンスタッド、真祖の姫君よ、我はマスター、衛宮 士郎の剣だ、どうか私にマスターの事を教えて欲しい!」

セイバーのその言葉を聞いて、凛は驚きと・・・そして、嫉妬を感じていた

自分は士郎の剣でもなく、盾にすらなれず、ただの同盟相手というだけ・・・そして、同盟すらもアーチャーの力を貸すわけであって自分の力など必要ないことに

「・・・・・・・・・」

アルクェイドがセイバーを睨みつける

「アルクェイド!」

シエルが叫ぶ

その手には、黒鍵

「・・・・・・わかってるわよ、八つ当たりなんてしないわ・・・それに、そんなことをしたらそれこそ志貴や士郎にきらわれちゃうしね」

金から赤い瞳に戻ったアルクェイドが自嘲の笑みを浮かべる

「アルク・・・」

イリヤはそんなアルクェイドを辛そうに見つめ、葛木やキャスターを含める他の者達も今が危険な状態である事を理解し、沈黙を守っている

「いいわ・・・教えてあげる」

「いいえ、アルクェイド・・・それは私達の役目よ」

アルクェイドが公園の闇に視線を移す

「・・・・・・そうね、私よりも・・・貴方達の方が志貴達を理解しているわ」

暗闇から現れたのは・・・・・・志貴と士郎の先生と師である蒼崎 青子、そして、蒼崎 燈子の二人だった

 

 

 

 

 

 

感想(後悔)

でました、志貴さんの本気

ちなみに、詠唱は一応オリジナルです(ちょっと無限の剣製に影響されたかな?

まぁ・・・戦闘シーンぐらいは、楽しんでやってください