十話/感染

 

 

 

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「うああああああああああああああああああああ!」

士郎の叫びが、此処・・・柳洞寺の境内に響き渡る

「拙い・・・来たぞ・・・・・・最悪の展開だ」

「・・・・・・士郎」

「これが・・・」

志貴とアルクェイド、そしてシエルが士郎に対して構える

「・・・バーサーカー、シロウを・・・・・・・・・殺す気でやりなさい」

「■■■■―――!」

それどころかイリヤもバーサーカーにそんな指示を下す

「なっ、何やってるのよ!貴方達」

凛がそんな五人に駆け寄ろうとする

「・・・来るな」

だが、志貴のその一言で凛の体が固まる・・・それは恐怖

志貴は本当に士郎を殺そうとしているのだ、と否応無しに理解させられた

「待ちなさい!あなた方はシロウをどうするつもりだ!」

「殺す」

セイバーの叫びに志貴が即座に答える

「なっ・・・何故だ!貴方とシロウは兄弟のような間柄ではなかったのか!?それをこんな少しの異常で殺そうとするのか!?シロウは苦しんでいるだけではないか!」

「・・・・・・分かってるだろ?セイバー・・・士郎とラインが繋がっている君なら・・・・・・・・・あれは、もうすぐ士郎じゃなくなる」

「どうゆう意味だ?」

尋ねたのは驚愕するセイバーでは無く、アーチャー

「・・・あれは―――」

どうして、こんな事になっているのだろう

 

 

 

学校を終え、七宮邸に帰宅した士郎達は今後のことについて話し合っていた

「とりあえず、後はキャスターとライダー・・・だけか」

「サーヴァントは殆どここに居るからな」

志貴の言葉に士郎が溜息をこぼす

「とりあえず、どちらを攻めるにしろ潜伏している場所が分からないからな」

士郎が難しい顔をして言う

「そうね・・・」

凛が頷く、とイリヤが口を開いた

「シロウ、キャスターなら柳洞寺にいるわよ」

「それ、本当か?」

士郎が聞き返す

柳洞寺といえば学校の生徒会長が住んでいたはずだ、あまり深い中ではないがやはり心配である

「ええ、しかもキャスターは何故かシキとは別のアサシンを呼んでるわ、いえ・・・あれはサーヴァントではなくただの使い魔かな?」

「なんですって!?」

凛が驚きの声を上げる

「多分、キャスターは本当にアサシンを呼ぼうとしてたんだろうけど、反則だからかな?英霊ではなく、ただの強力な霊をサーヴァントの器に入れただけの使い魔になっちゃったんでしょうね」

イリヤが凛の叫びを無視して話を続ける

すこし凛が不機嫌そうな顔になるがすぐにまたイリヤの話を聞き始める

「残念だけどライダーは分からないわね、ごめんね」

「いや、謝る必要はないよイリヤ、十分すぎる情報だ」

「そうだぞ、イリヤがいなかったら俺達は無駄な巡回しなくちゃいけなかったんだからさ」

しゅんとするイリヤを志貴と士郎が慰める

「でも、これで攻める場所が決まったわね」

凛が立ち上がる

「?・・・どこ行くんだ、遠坂?」

士郎が尋ねる

「どうせ今夜にでも攻めるんでしょ?相手は昏睡事件を起してる犯人だもの、あなたが黙ってられる訳ないものね・・・だから準備」

そういって自室となった客間の方へと消えていく

「・・・凛って」

「むぅ・・・」

何故かアルクェイドがどこか嬉しそうに、イリヤが不満そうにしていた

「・・・じゃあ、晩飯食うか」

「そだな」

その後、いつものようにボロ雑巾となったランサーとセイバー、それに何故かシエルも一緒に戻ってきて、凛とアーチャーもくわえ食事をとった

 

 

 

そして、夜

七宮の家の全員で柳洞寺の階段を上る

「・・・・・・キャスターのアサシンは門を守ってるのか?」

「ええ、そうよ」

そして、柳洞寺の門が見える

そこには・・・群青の侍

「ふむ、何ということか・・・このような大人数で攻めてくるとは、我がマスターは何か怨まれるような事でもやったのかな?」

その侍が軽口を叩く

「アサシン」

「ああ」

志貴の声で、アサシンが前に出る

「ふむ、その本当のアサシンが相手か・・・」

「ほう、分をわきまえているではないか」

アサシンの口元がつりあがる

「なに、この身は英霊に敵うようなものでは無いのでな・・・」

「ふん、まあいい・・・いくぞ」

「・・・・・・佐々木 小次郎、参る」

そして、二つの影がぶつかった

 

 

 

「いいの?」

「ああ、アサシンなら大丈夫だ」

アサシン達の戦闘の横を通り、志貴達は境内に入る

「あら、アサシンは何をしているのかしら?こんなにも大勢の侵入を許すなど」

そして、空に現れた影

ローブに身を包んだそれは、いかにも魔女

「申し訳ありません、マスター・・・このような者共を」

キャスターが上空から本堂の影に居る人物に声をかける

「いや、構わん・・・侵入したのなら倒せばいいだけだ」

その人物が影の中から月光の下に現れる

「・・・・・・葛木・・・教諭ですか」

志貴が短刀を構える

「うそ、魔術師・・・?いえ、全然魔力なんて・・・」

凛が同様を露にする

「気をしっかり持て、遠坂・・・街から魔力を吸い上げてるんだ、マスターなんて関係ないんだよ・・・」

その凛に士郎が声をかける

「・・・では、始めましょう、葛木先生」

士郎がそう言って、剣を手にした

 

 

 

 

「ふむ、簡単にいかせてしまったが、良かったのか?」

アサシンが門番に問う

「構わん、というより・・・止める事などできぬよ」

佐々木小次郎が構える

「確かに、止めてたら・・・死んでたろうな」

アサシンも構える

そして、二つの刃が交じり合う

剣戟の音はまるで鈴の音のように聞こえる

おしているのは、アサシン

「ふむ・・・」

佐々木小次郎が一歩、退く

「その身はよほどの強者か・・・」

感心したように呟く

「なに、佐々木小次郎・・・貴様とて正規のサーヴァントでもないのによく吾とここまで打ち合えるものだ」

アサシンの言葉は世辞などではなく、純粋な意見

「くっ、その身に誉められるとは、この身も捨てたものではないな」

佐々木が愉快そうに・・・いや実際に愉快なのだろう、笑みを浮かべてそう言う

と、境内の方向から光が走る

「ふむ・・・あの魔女も始めたようだな」

まったく興味のなさそうに光を見上げる

「キャスターか、あいつは結局聖杯に何を望むんだろうな?」

アサシンが口元を吊り上げる

「ふ、別にそのようなこと関係あるまい?」

「それもそうだ・・・だが、実はそうじゃないんだ・・・吾のマスターは偽善者の味方でな・・・誰一人、サーヴァントすら殺すなというのだ」

「・・・・・・」

アサシンの言葉に佐々木が目を見開く

「なんと・・・主のマスターは気でも違っているのか?」

「いや、そういうわけじゃないんだがな・・・愚かなだけだろうよ」

「違いあるまい」

アサシンである二人が笑みをこぼす

「・・・・・・さて、では佐々木小次郎・・・マスターの命で殺し合いは出来ぬが・・・戦り合おうか・・・」

「ふ、其方が手を抜こうとも此方は手を抜かぬぞ?」

「いいハンデだ!」

そして、ふたたび剣戟の音が響き渡る

 

 

 

「っ・・・」

葛木が士郎に吹き飛ばされる

「マスター!」

上空から魔術で援護していたキャスターが降り立つ

「・・・・・・」

その様子を奇妙そうに、今まで静かにしていたランサーが見る

「・・・おい坊主、そいつ・・・マスターの事がすきなんじゃねぇか?」

「「なっ!?」」

「「む」」

こえは凛とキャスター、士郎と志貴のもの

ほかの者たちはランサーと同じように気付いたのか、黙っている

「だってよ・・・あのマスター、魔力配給も出来ないで、体を強化して戦う事しか出来ないだろ?そんな奴を心配して普通は降りてこないぜ?」

ランサーが続ける

「宗一郎様を侮辱する気!?」

キャスターが叫ぶ

「確かに、そうだよな」

知ろうが一人頷く

「どうすんだ?坊主、つけこんで引き込むか?」

ランサーがニヤリと笑う

「・・・?」

キャスターが士郎を見る

「どういうことよ?」

「いや・・・まぁ、お前は聖杯を諦めて受肉する気はないか?」

「・・・へ?」

士郎の言葉に、キャスターが間の抜けた声を漏らす

「なによいきなり?」

信じられない、といった風にキャスターが士郎を睨む

「いや・・・ただ・・・な」

士郎が頬を掻く

--------------------その瞬間、世界の空気が変わった

「!?」

その場にいる全員が、身構える・・・・・・士郎以外は

明らかに士郎の様子がおかしい

「士郎!?」

いち早く以上に気付いた志貴が士郎によろうとして、寄れない

志貴の足元から黒い泥が噴出し、行く手を阻んだのだ

「っ!」

志貴が後ろに飛ぶ

それと同時に、黒い泥が大量にあふれ出す

「志貴っ!」

アルクェイドが叫ぶ

「何が起こったの!?」

凛も同じように叫ぶ

「ぅ・・・うあ、うああああああああああああああああああああ!」

士郎の叫びが、此処・・・柳洞寺の境内に響き渡る

「拙い・・・来たぞ・・・・・・最悪の展開だ」

「・・・・・・士郎」

「これが・・・」

志貴とアルクェイド、そしてシエルが士郎に対して構える

「・・・バーサーカー、シロウを・・・・・・・・・殺す気でやりなさい」

「■■■■―――!」

それどころかイリヤもバーサーカーにそんな指示を下す

「なっ、何やってるのよ!貴方達」

凛がそんな五人に駆け寄ろうとする

「・・・来るな」

だが、志貴のその一言で凛の体が固まる・・・それは恐怖

志貴は本当に士郎を殺そうとしているのだ、と否応無しに理解させられた

「待ちなさい!あなた方はシロウをどうするつもりだ!」

「最悪・・・殺す」

セイバーの叫びに志貴が即座に答える

「なっ・・・何故だ!貴方とシロウは兄弟のような間柄ではなかったのか!?それをこんな少しの異常で殺そうとするのか!?シロウは苦しんでいるだけではないか!」

「・・・・・・分かってるだろ?セイバー・・・士郎とラインが繋がっている君なら・・・・・・・・・あれは、もうすぐ士郎じゃなくなる」

「どうゆう意味だ?」

尋ねたのは驚愕するセイバーでは無く、アーチャー

「・・・・・・記憶が蘇ったんだ」

志貴が呟く

「・・・何?」

「・・・・・・士郎は、士郎と俺はあるモノに感染しているんだよ・・・アーチャー、それはいつも俺達の内から俺達の身体を奪わんと暴れまわっている・・・そして、士郎は今、あの泥・・・恐らく聖杯となんらかの関係のあるあれを感じて、感情の押さえがきかなくなったんだろうな・・・」

志貴が言い終わった瞬間、士郎の叫びがやむ

「・・・来たぞ」

その場にいる何人かの歯軋りの音がする

----------------ザワリ----------------

空気の色が、変わる

もはや泥など関係ない・・・・・・

そんなものはまったく関係なく、全員が恐怖した

其処に立つのは・・・絶対なる破壊の創造者

「ク・・・ク、ククク・・・・・・アハハハハハハハハ」

士郎の声でそれが笑う

「・・・すまないが、アルクェイド、イリヤ、先輩・・・皆を・・・避難させてくれないか」

志貴が、二人に告げる

「・・・・・・わかったわ」

「・・・・わかりました」

「・・・うん」

三人が頷く

三人は分かっているのだ・・・アレに対するのに、自分達が志貴の足かせになる事を

「いきましょう」

「いくよ、バーサーカー」

「・・・さぁ、皆さん」

三人が他の者達を誘導する

「貴方達も」

アルクェイドがキャスターと葛木を持ち上げる

「な、なにを!」

「おとなしくしていなさい」

葛木はあまり抵抗しなかったがキャスターは抵抗する、しかしアルクェイドの金色の瞳に睨まれて黙る

「ほら、貴方達も!」

「私はアサシン達を」

シエルが一足先に門まで走って行き、イリヤとバーサーカーがその場のものを避難させる

凛やセイバーなどは抵抗していたが、イリヤの説得とアルクェイドの瞳に勝てず、避難する

そして・・・残ったのは二人

「・・・・・・さぁ、殺し合おう・・・紅蓮の剣神!」

志貴が眼鏡を外して短剣を構える

「・・・・・・・・・ククク、いいだろう・・・さて、貴様の心に絶望を創造してやろう」

紅蓮の瞳となった士郎が、口元を吊り上げて、剣を手にした

 

 

 

 

感想(後悔)

進展がはやすぎるですね?

次回、募集した武器の一部を使おうと思っています

士郎と志貴は何に感染しているのか!?次回、明らかに(?