六話/姉弟

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皆が夕食を賑やかに食べている

そして、半分の物が夕食を食べ終わり、残りの物もあと少し食べれば食事も終わる

・・・・・・そんなとき、庭から轟音が響いた

「「「「「「「「!」」」」」」」」

八人の間に緊張が走る

「志貴・・・」

「分かってる・・・」

士郎と志貴が少し言葉を交え、一瞬で音も無く駆ける

その二人の後をセイバーとアサシン、さらにそのあとをアルクェイド、凛、アーチャー、ランサーが追う

「■■■■■―――――――!!」

そして全員が庭に出るとそこには鉛色の巨人が咆哮を上げていた

「バーサーカーかっ」

アーチャーがそう言って干将・莫耶を手にする

それに続いてセイバー、アサシン、ランサーもそれぞれ武装する

凛はその四人の後ろで腕、魔術刻印を輝かせている

「ほら、バーサーカー・・・暴れないでよ」

そして、その巨人の影から・・・小さな赤い瞳に銀の髪の少女が出てきた

「「「「あ・・・」」」」

一番前で構えていた士郎、志貴、アルクェイド、そしてアーチャーが声を漏らす

その声に少女がこちらを向く、そして笑顔を浮かべて

「あ・・・シロウ!」

そういいながら士郎の胸に飛び込んだ

「「なっ!?」」

凛とセイバーが驚きの声を上げる

「「「イ、イリヤ!?」」」

抱き疲れた士郎と志貴、アルクェイドが驚きの声を上げる

「ど、どうしてイリヤがここにいるんだ!?」

抱きついているイリヤを慌てて引き剥がして士郎が尋ねる

「え〜?だって最近シロウが会いに着てくれないんだもん」

イリヤが少し不機嫌そうに言う

「いや、忙しいから行けないって手紙送ったろ?」

「でも〜」

「いいじゃないか士郎、これで戦わなくていいマスターが一人増えたんだから」

イリヤに志貴が助け舟を出す

「そうだよ、ね〜?イリヤ」

アルクェイドもイリヤの前に屈んで笑顔でそう言う

「そりゃそうだけど・・・」

だが、それでも士郎は納得しない

「も〜、シロウってば頑固なんだから」

「それが士郎の良いところなんだけどね」

「あ、やっぱり?でもそれじゃあ士郎は一生女性にもてないよ」

「あはは〜、そうだね」

イリヤが真剣にそう言ってアルクェイドがそれを笑って肯定する

それを呆然と見ていた他の五人、その中で凛が肩を震わせている

そして凛が士郎の傍に歩いて行く

「・・・ん?どうした遠坂?」

そして、凛が

「あらあら?随分とかわいい子ね、衛宮君・・・いえ、ロリコンさん?」

その瞬間・・・硝子が割れたような音がした

「・・・大丈夫、大丈夫、遠坂は勘違いをしているだけさ、ああそうだとも、俺がロリコン?違うぞ?絶対にそれは違う、絶対にその言葉だけは偽りなんだから、そうさ、違う、勘違いだ、俺はロリコンじゃない、これがロリコンなんて言うなら志貴はレンでとっくにロリコンなのさ、ははは・・・」

庭の端で膝を抱えて雑な人形のような姿になってすごい早口で士郎が呟く

「「「「「・・・・・・」」」」」

それ哀れみの目で見つめる志貴とアルクェイド、イリヤ、バーサーカーを除く五人

「ふっ、あれは私などではない」

アーチャーが悲しそうにそう呟いた

「あ〜?士郎・・・大丈夫さ」

志貴が士郎の肩を叩く

士郎が志貴を見る

「ロリコンだからって、捕まるわけじゃないんだからさ」

「ふ、ふふ・・・ふふふふふふ・・・」

それを聞いたとたん士郎が肩を震わせる

「ふ、ふ、ふ・・・ふざけるなぁああああああああああああああああ!」

そして、士郎の怒声が響き渡る

その声に肩を一瞬震わせるバーサーカー以外の七人

バーサーカーは戦闘体制をとっています

「しまった、からかい過ぎた・・・」

汗をだらだら流しながら志貴が後退する

「・・・あ〜と、イリヤ・・・皆連れて逃げようか?」

「そうねっ!」

アルクェイドが凛を抱える

「なっ・・・貴様、凛に何を」

「なにするのよ!」

アーチャーと凛が叫ぶ

「皆っ!早く逃げなさい」

だがアルクェイドはそう言って家の塀を乗り越えて夜の空に消えていく

「バーサーカー、追って!」

「なんなのだっ!?」

イリヤとバーサーカー、アーチャーがそれに続く

「・・・マスターを置いて行くわけには・・・」

「・・・まあ、そうだよな」

「俺も気になる・・・」

ただ、その場にセイバー、アサシン、ランサーだけが残った

「・・・は、あははははははは」

そして、士郎の背後に大量の剣が現れ

「殺される・・・殺される・・・士郎に俺が殺される!?」

志貴のとんでもなく慌てた声が響き渡った

そして、士郎や志貴には日常茶飯事である、兄弟喧嘩が始まった

 

 

「ふぅ、危なかったわね・・・」

新都のの公園、十年前の災害の現場にアルクェイドが降り立つ

「・・・離してくれない?」

そして、アルクェイドに抱えられた凛が呻くようにそう言う

「あ、ごめんごめん」

「も〜、何なのよ?」

アルクェイドが苦笑を浮かべながらそう言うと凛が不機嫌そうにそう言う

「まったくだ・・・どうゆうつもりなのだね?」

アーチャーが降り立つ

「そういうつもりって言われても・・・」

アルクェイドが困ったような顔をする

「もう、べつにアルクが悪いわけじゃないじゃない」

そして、バーサーカーが轟音を立てて着地する

そして、その肩からイリヤが降り

「初めまして、トオサカの当主・・・私はイリヤスフィール・フォン・アイツンベルン、貴方がロリコンと侮辱した衛宮 士郎の姉です」

そういって華麗に御辞儀をした

「・・・姉!?」

凛がアーチャーを見る

アーチャーが士郎の1つであるなら知っているだろうと聞こうとしたのだが

「・・・・・・」

アーチャーは悲しそうにイリヤを見ていた

「それにしても、貴方アルクにどういうつもりって言ってたけど・・・悪いのは貴方じゃない」

そういってイリヤは凛を指差す

「私?」

「ええ、そうよ・・・貴方が士郎の禁句を言っちゃうから・・・」

「禁句?」

イリヤの言葉に凛が首をかしげる

「そうよ、禁句・・・シロウにはね、昔トウコやブルーから受けた凄惨な虐めが原因である言葉を聞くと頭の中にそのときの記憶が蘇るらしいわ・・・今回はそれが臨界点を突破したようね」

「はぁ?」

凛が肩を落とす

「虐め?」

そんな事であそこまでトラウマになるだろうか?

「・・・レンに夢を見せてもらわなかったの?」

「レン・・・?あ、あの夢魔?・・・見せてもらったわよ?」

一瞬、夢の内容を思い出して凛が暗い顔をする

「なるほどね、シロウは貴方に最低限しか見せて無いんだ」

だから私の事もしらなかったのね、とイリヤが呟く

「まあ、その事はレンとシロウに頼んで夢に見せてもらうことね」

イリヤが踊るようにステップを踏む

「ところで、お話しない?」

そして凛の目の前で笑顔でそう言った

「あの二人、止めなくて良いの?」

「いいのよ、あの二人はあのくらいが良いの・・・喧嘩するほど仲が良いんだから」

凛の言葉にイリヤは笑顔で答える

そして、数十分後・・・凛とイリヤはすっかり仲良くなったようで話し合い、アルクェイドとアーチャーは士郎や志貴のことで語り合っていた・・・バーサーカーはただ立っているだけであった

 

 

「・・・何?コレ」

一時間後、凛が七宮邸の庭に戻るとそこには・・・

大量のクレーターや煙の上がっている地面、木や草などの植物などには被害は出ていないがそこはまるで戦争の後のようだった

そして、そこにはズタズタになったランサーと壁に寄りかかって息を荒げているアサシン、不可視の剣を支えに立っているセイバー・・・そして夫婦剣を持った士郎と短刀をもった眼鏡をとっている志貴

「死ぬ・・・」

「・・・ぜぃ・・・ぜぃ・・・ぜぃ」

「くっ!」

サーヴァント達はそれぞれ苦しそうに凛たちの方に向かう

「早く・・・逃げてください、リン」

そして、凛の目の前でセイバーが倒れランサーとアサシンも続いて意識を失う

「これで決まりだ、志貴・・・どちらが危険人物か、今ここで証明してやる!」

「ああ、いいぞ士郎・・・貴様が危険人物だという事を叩き込んでやろう・・・」

士郎と志貴の間では何か話が進んでいるようだ

「極死・・・」

志貴が姿勢を低く構え、士郎は夫婦剣を放り捨てると次の瞬間弓を構えている

その弓に携えられているのは『赤原猟犬』という名の黒き刃

「赤原(フルン)・・・」

そして、二人の間に一瞬の静寂が流れ

「七夜!」

「猟犬(ディング)!」

志貴が黒い疾風となって士郎へと疾ぶ

士郎から放たれた赤き閃光を纏う黒き魔弾が志貴を狙う

志貴も流石に避けきれないと判断したのか短刀を赤原猟犬に投擲する

2つが正面からぶつかり、七夜の短刀は弾かれ地面に突き立ち、赤原猟犬は弾かれはしなかったものの、軌道をずらされる・・・次の瞬間、志貴の手に黒い何かが巻きついたかと思うとそれが凶悪な爪となる・・・そして、志貴のその手が赤原猟犬を捉え・・・へし折った

「残念だったな・・・士郎」

志貴がにやりと笑う

「・・・ふっ、志貴・・・お前こそ残念だったな」

士郎がその手に夫婦剣を持つ

「なに・・・?・・・!」

志貴が弾けるように足元を見る

・・・そこには、士郎が先程放り投げた夫婦剣・・・

「しまっ・・・!」

「遅い!」

士郎が志貴の頭上に夫婦剣を投げる

そして二組の夫婦剣が引き合う

地面にある夫婦剣が生きているかのように一度脈動したような錯覚

「はぁっ!」

志貴が凶爪を振るう

そして、次の瞬間・・・志貴の腕の黒い外郭と夫婦剣が相殺し、新しい夫婦剣が志貴の背後に落ちて砕ける

「「・・・ちっ」」

二人が同時に舌を打つ

「志貴七十九勝、士郎七十九勝で三十六引き分けね・・・」

そこでアルクェイドの声が響く

「最近、引き分けが多いわよね・・・私が前見た喧嘩の時は士郎六十三勝、志貴六十一勝の二十三引き分けだったのに・・・シロウ頑張ってよ〜」

イリヤがつまらなそうに言う

「む・・・しかしだな・・・」

士郎が額にしわを寄せる

「あはは〜、イリヤってば、そんなの志貴が許すわけ無いじゃない」

「そうだぞ、士郎に負けてられるかってんだ」

志貴が地面に座り込む

「・・・あ、あ、あ・・・」

「ん、どうしたんだ遠坂?口を開いたり閉じたりして」

そして、その後ろで口を開閉している凛に士郎が声をかける

「あ・・・アンタ達の喧嘩ってどんだけ破壊力あるのよーー!」

最近叫んでばっかの凛であった

ちなみに最近の士郎と志貴の喧嘩は蒼崎姉妹の喧嘩と同じくらいになってきたらしい

 

 

時刻はもう午後十一時

七宮邸では、数時間前より二人の住居者が増えた

これで・・・家の人口は十人

そしてその十人のうち、士郎、志貴、セイバー、アサシン、ランサー、バーサーカーを除く四人は軽い夜食を取っていた

「シロウ、シキ・・・貴方方は限度、という物をご存知ですか?」

「貴様等、俺にナニをしたか忘れたなんてことは無いよな?」

「テメェら・・・あれは酷過ぎるだろう!?」

そして、士郎と志貴は先程の喧嘩の被害者三名に説教を受けていた

だが、残ったのは自分達の意思である・・・

「ですから次回からは私も見て楽しめるようにですね・・・」

「流れ弾が恐ろしくてかなわん・・・」

「いくらなんでも盾はないだろう!?」

繰り返し言うが、アルクェイド達の忠告を無視して喧嘩を観戦したのは三人の意思である、しかもセイバーは趣旨がまず違う

そして、庭に立つバーサーカーと説教している側されている側五人以外の女性人はおいしそうに、アーチャーは説教を見ながら夜食を食べていた

そして・・・ドタバタとした日が終わった

寝る間際、士郎が食費などを気にしていたのは秘密である

 

 

感想(後悔)

ハイ、ゴメンナサイ

ただ書きたかったんです・・・士郎と志貴の喧嘩が(ぇ

とりあえず、兄弟なら喧嘩は付き物ですから・・・ねぇ?