四話/襲撃

 

 

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閃光が奔る

戦場は七宮邸の庭、そこを銀の鎧を纏った少女と青い獣の目をした男が人の域を超えた戦いを繰り広げている

「はぁああああ!」

セイバーが剣を振り下ろす

ランサーはそれを槍で弾いて距離をとる

「ちっ、見かけによらずやるじゃねぇか」

「見かけだけで相手を判断するな、ランサー」

ランサーが軽口を叩いている隙にセイバーが一瞬で距離を詰め胴を両断せんと剣を振るう

「くっ!」

ランサーはそれを槍で捌く

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

そしてランサーが雄叫びを上げながらセイバーに向けて次々に槍を振るう

「くっ・・・あぁああああああああああ!」

セイバーもそれを防ぎつつランサーを攻撃する

二人の攻防が続く

それはさながら嵐のよう

ランサーが全てを吹き飛ばす暴風なら、セイバーは轟音を立てて天を貫く稲妻

暴風は驚異的なスピードであらゆる物を吹き飛ばす

稲妻は驚異的な破壊力であらゆる物を貫く

ランサーが力を込めてセイバーを弾き飛ばす

「ったく・・・おいセイバー、いいかげん本気を出せよ」

そして、挑発するような口調でそういった

「ふ・・・貴様などに従うつもりなどない!」

セイバーが一息でランサーに近づき次々に剣を振るう、その速さは最早神速

だがランサーもそれに劣らず同等の速さでそれらを全て避け、弾き、捌く

「そうかい、じゃあこっちから行くぜ!」

ランサーが槍で剣の猛攻を弾き、後ろに飛んで再び距離をとる

「これでも本気が出せないなら、大したもんだがな」

「っ!?」

セイバーの顔に緊張の色が浮ぶ

「受けてみよ・・・我が必殺の・・・」

ランサーの紅い槍に魔力が込められる・・・その量は絶大

「・・・刺し穿つ(ゲイ)・・・死棘の槍(ボルグ)!」

そしてランサーの手から紅き閃光が放たれる

閃光の先には、セイバーの心臓

「っ・・・セイバー、避けろ!」

士郎が叫ぶ・・・それと同時に、士郎の左手の甲にある三画のうちの一つが光を放ち、消える

その間にも紅き閃光がセイバーに迫る

セイバーはそれを避けるべく右に跳ぶ

・・・そして、紅き閃光がセイバーの心臓を・・・

「ちぃっ!」

ランサーが舌を打つ

槍はセイバーの心臓を逸れて左肩を貫いた

「避けたか、くそっ・・・必殺ってのが売りなのによ」

ランサーに正に獣のような獰猛な雰囲気が漂う

「残念だがランサー、あなたはここで倒れる」

そして、いつの間にかランサーの背後に回っていたセイバーがランサーの首にカリバーンを突きつける

「・・・くそっ、運が無いな、もう脱落かよ・・・・・・まあ、お前みたいな強い奴とやれたし、満足したかな・・・」

「運ではなく、シロウのおかげです・・・シロウ、あなたの正確な判断に尊敬と感謝を」

「いや、気にするな」

士郎の返事を聞き、セイバーはてに力を込める

「・・・では、ランサー・・・さらばです」

そしてセイバーがランサーの首を

「あ・・・ちょっと、まってくれセイバー」

落とす寸前のところで士郎の声がかかる

「な、なぜ邪魔をするのですか士郎!」

「いや、今ランサー満足したとかそうゆうこと言ってなかった?」

「ん、ああ・・・言ったが、それがどうした小僧?」

「一つ聞きたいんだけどさ、お前・・・現界したい?」

そして、士郎はいきなりそんなことを言った

「「「「「・・・・・・は?」」」」」

そして士郎と志貴、アルクェイド以外の全員の間の抜けた声

「小僧、どうゆうことだ?」

ランサーが尋ねる

「いやな、俺の師匠に封印指定の人形師がいるからその人に体を作ってもらえば何とかなるぞ?当の本人も『英霊・・・か、欲しいな』とか言ってたし」

「ちなみに能力とかは?」

「多分、作製に時間があれば何とかなっちゃうんじゃないか?宝具とか流石に本物は無理だけど一ランク下の贋作程度なら用意できるし」

「・・・へぇ」

にやり、とランサーが笑う

そしてセイバーの剣先を手でつまんで退かし士郎に近づく

「な、待ちなさいランサー!」

「平気だよ、セイバー」

セイバーが止めようとする、がそれを士郎は笑顔で制止する

「・・・だが人形が出来るまで時間がかかるんだろ?俺にその気がなくてもそれまでに俺のマスターが令呪を使ったりしたらどうするんだ?」

「方法はあるさ・・・・・・で、どうする?」

ランサーは再びにやりと笑い

「坊主・・・・・・お前いいやつだなぁ!」

士郎の肩をバンバンと叩いた

「あ、痛、いた、痛いってランサー!」

士郎が叫ぶ

「あ、すまんすまん・・・で、どうすんだ?」

「ん、投影(トレース)開始(オン)」

ランサーの問いに士郎は歪な形の短剣を投影する

それは、あらゆる魔術を破り去る契約破りの剣

「これだ・・・」

そして・・・・・・それでランサーの胸を貫いた

「お・・・」

ランサーは指された箇所を見つめ、そして

「傷が無いし・・・・・・ラインが、切れた・・・?」

そう言った

「「「「なっ!?」」」」

今度は士郎、志貴、アルクェイド、ランサー以外の全員が声を上げる

「どういうことよ衛宮君!?」

「どうゆうことですシロウ!」

「なにをしたんだ?」

「・・・前にも思ったが何故あいつは・・・」

それぞれ四人の声

「それと・・・ランサー、これ」

それを無視して士郎は何処から取り出したのかランサーに蒼い宝石が五つ埋め込まれた腕輪を渡す

「なんだコレ?」

ランサーがそう言いながら腕輪を見る

「消えないように常時魔力を配給し続ける魔具、ちなみに三日程度に一回魔力補充する必要があるから」

士郎がそう説明する

「へぇ、便利なもんだな・・・」

そういってランサーが腕輪をつける

「さて、と・・・じゃあ、飯食うか?」

「おお、いいねぇ・・・旨い飯の用意は十分か?」

「・・・問題ない」

がしっ、と二人は握手を交わす

「・・・気が合うんだな・・・あの二人」

「そうね、長年の親友みたい」

そんな二人を見て志貴とアルクェイドが微笑みながら言う

「・・・ん?」

と、その時・・・士郎の両肩を誰か二人の手が掴む

「無視は酷いんじゃないかしら?衛宮君」

「少しぐらい説明してくれませんか?シロウ」

知ろうが振り返るとそこには・・・

赤い悪魔と青い王様がとんでもなく良い笑顔で居ました

「落ち着こう、遠坂」

だが流石理不尽な師匠達に鍛えられただけあってそれに動じない

「十分に落ち着いていますよ?」

凛はどう見ても完璧に嘘とばれる嘘を言いながら笑顔で言う

「・・・さ、衛宮君?教えてもらえるかしら?」

「・・・別に・・・・・・・・・救いたい、ただそれだけだよ・・・セイバーも、いきなりで悪かったな」

士郎は二人にそう告げて家の中に入る

ランサーや志貴、アルクェイド、アーチャー、アサシンもそれに続く

「「・・・・・・・・・」」

凛とセイバーは士郎が救いたい、と告げるとき、その瞳に深い感情があるのを見て、しばらく呆然としていた

その感情は・・・悲しみであるようで、怒りであるようで、後悔であるようだった

 

 

「・・・旨い!なんだこれは!あいつの赤とは比べ物にならねぇ!」

夕食の席、ランサーは士郎の飯を食べて涙を流した

「「・・・泣くなよ」」

それにアーチャーとアサシンがつっこむ

それにしても赤、とは何の事なのだろうか?

「さて、ランサー・・・・・・別にどうでもいいんだが、元マスターの情報をいう気はあるかね?」

そこでアーチャーが尋ねる

「ん?・・・ん〜、一応・・・一応、一応・・・一応、飯?の恩がある?しな?」

「なんだ、その大量の疑問形は?」

「・・・ん、まぁ一応秘密って事でよろしく頼むわ」

そしてランサーは笑顔でそう答える

ちなみにランサーは今、親父が着ていた黒いシャツを着ている

「ふむ、そうか・・・」

「そうですか・・・」

「ふん・・・」

その答えに英霊三人は納得したようだ

「・・・・・・?・・・」

しかし凛は首をかしげている

「・・・・・・いいのっ!?」

かなりタイミングの遅れたつっこみ

・・・遠坂につっこみは無理だな、とか士郎はふと思った

「いいんじゃないかな?一応、それも誇りだし」

「そうよ・・・それに相手は英霊、どんな拷問にだって言わないといったら言わないわよ」

それに答えたのは志貴とアルクェイド

「でも、せっかく仲間・・・でいいのよね?」

凛がランサーに尋ねる

「ん?ああ・・・どうなんだろうな?」

ランサーが士郎を見る

「なんで俺なのさ?」

士郎がセイバーを見る

「いえ、私はマスターに従いますので」

セイバーは士郎にご飯から目を逸らさずに答える

「・・・結局俺なのか?」

士郎が首をかしげる

「当然でしょ?」

「まあ、俺引き込んだの坊主だし?」

凛とランサーの言葉

「そっか・・・・・・じゃあ中立って事でどうだ?

そして、士郎は少し考えてランサーにそういう

「だ、そうだ」

ランサーが凛にまわす

「そっか・・・仲間じゃないなら情報を聞き出すのは間違えか・・・」

「物分りがいいな、譲ちゃん・・・いい女になるぜ?」

「なっ!?何言ってんのよランサー!?」

凛が叫ぶ

「でも遠坂今でも十分に綺麗じゃないか?」

「うん、性格的にもいい人じゃない?」

「それは私も同意するわ」

だが朴念仁の士郎や志貴、絶世の美女といっても過言ではないアルクェイドにそう言われて顔を真っ赤に染める

「っ、今はそんなのどうでもいいでしょーーーー!?」

そして、凛の叫びが響き渡った

ちなみにその隣では

「なんだ!?これは・・・旨ぇ!」

「おお、これも美味です」

「ぬ、この煮物・・・中々にやるな」

「・・・・・・この味噌汁、最強か?」

英霊四人が料理に舌鼓していた

ちなみに士郎の料理は師匠達のせいで命がけで作ってきたのでアーチャーを凌駕する

志貴が語るに

料理に満足してもらえなかった場合、空を飛びました・・・士郎は    

 

 

月が空に輝いている

食事の後、少し話をした後、とりあえず今日も全員、ここに泊まるということになった

そして凛も、サーヴァント達も殆ど全員寝静まった頃、三人は七宮邸の完全隔離された空間である地下にいた・・・ここからは音や魔力が漏れることも衝撃が地上に伝わることも無い

「とりあえず多分セイバー、アサシン、ランサーは聖杯を望んでないんだな?」

声は志貴の物

「ああ、だけどセイバーはまだ少しだけ迷いがあるようだ」

そして士郎の声

「そうか・・・」

「あ、アーチャーも聖杯は要らないらしいわよ・・・家の中で話しているのが聞こえたわ」

アルクェイドがそう言う

「流石、五感が鋭いな」

「まあね」

「じゃあこれでアーチャー、アサシン、ランサーの三人か・・・」

士郎が腕を組む

「とりあえずランサーは現界する意思があるようだ」

「ああ・・・残りもなるべく現界させてやりたいんだろ?」

「・・・英霊は・・・・・・悲しすぎるからな」

士郎の悔しそうな声

「士郎・・・どうせ俺達には救えなかった者達だ」

「・・・ああ」

「・・・・・・お前、それ以上行くと本当にのまれるぞ?あれに・・・」

「分かってるさ・・・」

「いいえ、士郎・・・あなたは分かって無いわ」

士郎の返事に、それをアルクェイドは否定する

「あなたはきっとまた自己を削るわ・・・それはあれに力を与えるだけよ」

アルクェイドは続けて告げる

「士郎・・・このまま行けば、貴方は凛も、サーヴァント達も、そして志貴や私すらも殺してしまうでしょうね・・・」

「それは・・・」

アルクェイドの言葉に士郎は怯む

「アルクェイド、士郎だってそのくらい分かってるさ」

志貴がそう言う

「・・・志貴、貴方もよ、あなたは優しすぎる・・・そしてその優しさも、あなたを削っていくわ・・・」

「・・・・・・」

動揺した志貴はその言葉を言い放ったアルクェイドの顔を見て気付く

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・お願い、貴方たちは、いなくならないで・・・・・・お願いだから」

そして、アルクェイドの頬を雫が伝う

何百年も、たった一人・・・吸血鬼を狩るためだけに生きてきた

・・・志貴と士郎は、そんなアルクェイドを解放してくれた、家族同然の存在

アルクェイドはただ、自分の命を失うことでは無く、それを失うことを怖れていた

「・・・・・・アルクェイド」

「アル・・・クェイド」

士郎と志貴そんなアルクェイドの姿を見て深い後悔を覚える

何故自分達はそんなことすら理解できなかったのか・・・と

だが、今更そんなことを後悔しても遅い

「・・・・・・ごめん」

「・・・すまん、アルクェイド」

「・・・・・・」

三人は、ただ深い世界の闇の中生きてきた・・・

結局三人とも、お互いが必要なのだ・・・

そして士郎には救えるものを救い、大切な人は命をかけてでも守る、という想いが

志貴にはこの世界を悔いなく、流されずに進み続けるという想いが

アルクェイドには大切な人と今ある時を過ごしたいという想いが必要なのだ

「ふむ、話はお終いかな?御三方・・・」

そして、地下に声が響く

三人が咄嗟に戦闘体制をとって声のした暗闇の方を見つめる

三人とも、感情的になりすぎて地下に入ってきた人物の気配に気付かなかったのだ

「この地下室も、私の記憶には無い・・・」

「・・・アーチャー」

地下室の暗闇から、アーチャーの姿が現れ、その名を士郎が口にする

「・・・さて、衛宮 士郎、そしてそちらの二人にも聞きたい」

アーチャーが足音を立てながら近寄ってくる

「・・・・・・貴様らは何が目的だ?そして貴様らの投影や魔眼、それ以上の力とは何なのだ?」

「ならこちらも聞こう、貴様の願いは何だ?」

アーチャーの質問に、志貴が質問で返す

「ふ、私の願いは私に成りうる衛宮 士郎・・・その抹殺だ」

「「「!」」」

三人の眼に敵意が宿る

「なに、安心するがいい・・・この世界の衛宮 士郎は私には成りえない、前にも言ったろう?」

アーチャーはそんな三人に無防備に近づく

「さあ、私の願いは言った、等価として私の質問に答え貰おうか?」

「・・・お前の答えは一つだ、こちらも一つしか教えない・・・どちらがいい?」

士郎が体から力を抜いて言う

「・・・・・・ふむ、道理だな・・・では目的を教えてもらおうか?」

「分かった・・・だが遠坂には・・・」

「分かっている、凛には言わんさ」

「・・・・・・俺達の目的は・・・」

 

 

 

 

感想(後悔)

文作力不足のため、上手く表現できなく、戦闘などが短いですが楽しめたら幸いです

ちなみに、この作品を書き始めた訳は「士郎、志貴の最強タッグが作りたかった」これですね(ぇ

流石に英霊一撃とかは。。。ないですよ?タブン