序章/召喚

 

「血潮には鉄。心には硝子。我が大源は剣。

降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

「破滅するは世界。創造するは生命。死は全てに訪れる。

 降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

 

2つの声が別の言葉を紡ぐ

 

「「閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。
  繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する」」

 

暗い地下室・・・そこに声が響く

謳うのは二人の少年

一人は赤い髪の毛をした少年

一人は眼鏡を掛けている少年

「――I am the(体は) bone(剣で) of(出来) my(ている) sword.」

「――I kill the(吾は) world(全てを) and (破却する) people.」

 

大気が生命を持っているかのように暴れ狂う

 

「「―――告げる。汝らの身は我らが下に、我らが命運は汝らの剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うなら応えよ」」

 

詠唱と共にマナが脈動する・・・

 

「「誓いを此処に。

我は常世総ての善と成る者。
 我は常世総ての悪を敷く者。
 汝三大の言霊を纏う七天。
 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ――!」」

 

暗い地下室に光が溢れる

しばらくした後、光が収まっていく

 

「問おう、貴様が俺のマスターか」

「問おう、貴方が私のマスターか」

 

そして・・・光の中から黒い外套を着た男と、銀の鎧を着た少女が現れる

「む・・・」

「っ・・・!」

そして、次の瞬間二人は離れた場所に立ち男は七夜と刻まれた短刀を、少女は不可視の剣を構える

「こいつは・・・敵か?」

「マスター!敵ですか!?」

そして二人はお互いを睨んだまま言う

「いや・・・違うよ、七夜 志貴」

そういって眼鏡の少年が言う

「なに?」

短刀を下ろして男が声を漏らす

「やめろ、アーサー・・・いやアルトリア」

そして赤毛の少年が言う

剣を下ろし、少女も驚愕の表情を浮かべる

「「なぜ真名を?」」

そして同時に口を開いた

む、という効果音が聞こえてきそうなほど不愉快そうな顔でお互いの顔を見る

「なんだ貴様、俺のセリフを真似るな」

「なんですか貴方は、私の言葉を真似るとは」

またも同時、二人の間に険悪なムードが流れる

「あはは、仲良いなぁ」

赤毛の少年が笑いながら言う

「「何処が!?」」

再び声が重なる

「もはや一心同体だなぁ」

今度は眼鏡をかけた少年が面白そうに言う

「「・・・」」

もう諦めたのか二人は反論するのを止め、お互いを睨みつけている

「・・・」

「・・・」

激しく睨み合う

「はは、凄い殺気だな・・・」

眼鏡の少年が苦笑を浮かべながら呟く

「・・・止めさせないと本当に殺し合いを始めそうだな」

赤毛の少年も頭を抱えて呻くように呟く

「はぁあああああああああ」

「うぉおおおおおおおおお」

そして、そんな二人を無視して男と少女はお互いの武器を振るう

剣戟の音が地下室に響く

「・・・うわ、本当に始めたよ」

眼鏡の少年が汗をダラダラと流しながら後退りする

赤毛の少年は頭を抱えたまましゃがみこむ

 

・・・・・・なんでさ?

そりゃ、俺らの運の無さ・・・だよ

 

剣戟が続く

「やりますね」

軽く笑みを浮かべて少女が男との距離を離す

「ふ、そっちこそやるじゃないか」

男もニヤリと口元を歪ませる

「さて・・・」

「では・・・」

二人がそれぞれの武器を構える

「これで決まり・・・だ」

「これで終わらせましょう」

そして男の眼に巻いていた包帯が解かれる

「あ、拙い」

眼鏡の少年が懐から七夜と刻まれた男とまったく同じナイフを取り出す

少女の剣が突風を吐き出す

「俺たちまで殺す気なんだな!?そうなんだな!?」

赤毛の少年が叫ぶ、その手には黒と白の夫婦剣

「直死の・・・」

そういって男が眼を少しだけ開ける

「約束された(エクス)・・・」

少女の剣が風の中から姿を現す、そしてその剣が黄金の光を放つ

そして・・・二人の『宝具』が・・・

「「そこまでだ・・・」」

少年達の言葉という名の殺気の塊で発動が中断される

「「それ以上やるなら令呪を使わせてもらうが?」」

そういって二人は眼鏡の少年が右手、赤毛の少年が左手の甲を掲げる

そこには赤く輝く三画の模様

自らのサーヴァントに対する絶対命令権

そしてサーヴァントである男と少女はそれの重大さも分かっている

それをうまく使えば力の底上げとて可能なのだ

ここでそれを使わせるわけには行かないだろう

舌打ちをしながら男は包帯を巻きなおし、少女は渋々と剣が風に包まれ消える

そして・・・

「正気か?」

「頭は大丈夫ですか?マスター」

少年達が地面に膝をつく

・・・原因は自分達なのに少年達に強烈な一言をそれぞれ言う

「今なら神とて・・・ふ、ふふふ」

「ゴッド、俺は何か悪いことでもしましたか?」

サーヴァントを従えるはずのマスター二人、サーヴァントに精神的ダメージを受ける

「えっと・・・まあ、悪かったよ」

「マ、マスター・・・冗談ですよ」

流石にサーヴァント二人も言い過ぎたと思ったのか、必死に自分達のマスターを励まそうとしている

「だ、大丈夫・・・」

「くっ・・・」

二人は何とか立ち上がった

 

 

「では貴様がマスターで間違いないな?」

「貴方がマスターですね?」

「「ああ」」

「では・・・サーヴァント・アサシン、貴様の影となり刃となることを誓おう」

「サーバント・セイバー、貴方の剣となり盾となることを誓おう」

凛、と響く契約の声

―――数分して何とか落ち着いた四人は地下室の床に座り込んでいた

「そして、マスターよ・・・俺の真名が七夜 志貴であると知っていたのは何故だ、呼び出したのなら殺人貴では無いのか?」

「私もそのことについて聞きたい、私をアーサーとして呼んだなら分かる、しかし何故アルトリア・・・私の真名を?」

アサシンとセイバーが二人の少年に問う

「ああ・・・簡単さ、これで呼び出すんだ、出てくるのは平行世界の俺の確立が大きかったからそれと確信が持てたのは顔立ちとその眼に巻いている強力な魔眼殺しかな・・・それにしても自分の顔くらい覚えてないのか?それに殺人貴って・・・」

呆れたように眼鏡の少年が懐からナイフを取り出す

「・・・記憶など掠れてしまったよ・・・それにしても平行世界の俺か・・・」

アサシンの声に驚きの感情が混じる

「ああ、そういうことだ・・・俺も七夜(ななや) 志(し)貴(き)、今は表向き七宮(ななみや) 志貴とも名乗っているけどな・・・

 それとそのマスターっての止めてくれ、志貴でいいよ」

そういって志貴はナイフをしまう

「・・・ふ、自分の名前を自分で呼べ、か・・・・まあいいさ」

そういってアサシンは溜息を吐く

「・・・では次は私だ、マスター・・・何故、私の真名を?」

セイバーがずい、と赤毛の少年に詰め寄る

「ん、簡単さ・・・俺の親父、切嗣(きりつぐ)が前回君のマスターだったからさ、あと俺もマスターってのは止めてくれ、衛宮(えみや) 士郎(しろう)・・・好きなように呼んでくれ、まあ俺も表向き七宮なんだけどさ」

士郎が詰め寄るセイバーに両手を少し上げながら答える

「む・・・ではシロウと・・・ええ、私もこちらの方が好ましい」

そういってセイバーが姿勢を元に戻す

「じゃああらためてよろしくアサシン」

「よろしくな、セイバー」

そういって志貴と士郎が手を差し出す

「ああ、よろしく頼む・・・志貴」

「ええ、よろしくお願いします、シロウ」

そしてアサシンとセイバーも二人の手を握る

「まぁ同盟って形だから仲間割れはするなよ?」

士郎が苦笑しながら言う

「わかりました」

セイバーが頷く

「アサシンもな」

「ああ・・・」

 

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感想(後悔)

初めて書いたものだけど・・・とりあえず1%でも面白がってくれたら幸いだなぁ・・・と