「こ、これはやばい・・・」

俺は、家計簿を付けながらあることに気づき絶句した。

「どうすればいいんだ・・・」

俺のバイト代や遠坂と桜の「私の生活費」と言って渡してくる金を足しても
金が足りなくなってきているのである。

「そうか、収入源を増やせばいいんだ」

しかし、収入源を増やすといっても学生である以上やれることは限られてくる

「収入源を増やすにはやっぱりセイバーにバイトしてもらうしかないか・・・」

説き伏せるのは難しいかもしれないが生きるためやらないといけないだろう。

「それに、そもそもセイバーが原因だし・・・」

そう、衛宮家の財政難はセイバーが来たからと言っても過言ではない。

「ま、明日言ってみるか」

俺は、どうやって説得するか考えながら眠りについた。

 

 


セイバーさんのバイト

 

 


「先輩、起きてください」

「ん・・・・」

俺は、いつものようにやってきた桜に起こされて目を覚ました。
どうやら、セイバーのバイトについて考えていたから寝るのが遅くなったみたいだ。

「おはよう桜。すまん、少し寝過ごしたみたいだな」

「はい、おはようございます先輩。朝ごはん作っちゃいましたから顔洗ってきてくださいね」

「ああわかった。すぐいくよ」

桜は、早く来てくださいねと言い残して居間の方に向かった。

「さて、顔洗ってくるかな」

俺は、さっさと顔を洗って居間に行くことにした。





俺が居間に着くと、セイバーはもうテーブルの前に座っていた。

「おはようセイバー」

「はいおはようございますシロウ」

俺はセイバーにバイトのことを切り出そうかとも思ったが、朝食が済んでからでいいかと判断した。

「桜、手伝うよ」

さすがにまかせっぱなしはいけないと思いそう声をかけたが、

「いえ、あとは運ぶだけですので先輩はゆっくりしててください」

と言われてしまった。
しかし手伝えることは手伝いので、

「じゃ、運ぶのをするよ」

と言ったが、

「先輩、今日は私に全部やらしてください」

と桜が言ったので俺はしょうがなく、

「わかった、今日は桜にまかせるよ」

と言うしかなかった。そこに、

「しろおぉ〜・・・牛乳もらうわよ・・・」

と寝起きの遠坂が幽鬼のようにやって来て、冷蔵庫から牛乳をとりだしラッパ飲みをした。
・・・いつも思うがラッパ飲みは女の子としてどうだろうと思う。
怖いから何も言わないが。

「おはよう遠坂」

「おはようございます遠坂先輩」

とりあえず挨拶してみる。
すると、遠坂はやっと目が覚めたのか。

「ああ、おはよう士郎、桜」

と返事を返してくれた。

「んん〜、いい匂い。ご飯出来てるの?」

「はい。ですからはやくテーブルについてください」

「ん、わかったわ」

いつもどおりの会話をして、俺達はテーブルについた。

 

 

食事も終わりみんなでお茶を飲んでいるとき、
俺はセイバーにバイトのことを話すことにした。

「なあセイバー。言いたいことがあるんだ」

「はい、なんでしょうかシロウ」

「あのなセイバー。今度からバイトをしてくれないか?」

「は?どういうことですかシロウ?」

うん、予想通り。セイバーは何のことなのかさっぱりわかっていない。

「実はいうとな。昨日家計簿を付けてたら金が足らなくなってるのに気づいたんだよ」

そう言って俺はみんなに家計簿を見せる。

「うわぁ・・・・・」

「これはひどいですね・・・・・」

「?」

遠坂と桜は家計簿を見て絶句する。
セイバーは何のことかわかっていないようだ。そこには

光熱費一万円 ガス七千円 水道一万二千円 食費二十三万円 計二十四万九千円

と支出の欄は食費だけが以上に高い値を示していた。
収入の欄には

俺のバイト代十万円 遠坂と桜から八万円 計十八万円

と収入をはるかに下回っていることを示していた。

「これが、衛宮家の状況だ」

俺は、遠坂、桜、セイバーと順に顔を見て、

「そういうことだから、セイバーにはバイトをしてもらおうと思うんだ」

と言った。

「たしかにこれはセイバーがバイトしないといけないわよね」

「たしかにそうですね」

遠坂と桜は理解を示してくれる。
しかしセイバーは、

「なっなぜです!!なぜ私がバイトをしないといけないのです!!」

と、状況がわかっていないようだった。

「あのねぇセイバー。誰のせいでこうなっているか解ってないの?」

そんなセイバーに対し遠坂はかなりあきれているようだった。

「なんですかリン!!そのまるで私が原因といってるような言い方は!!」

「じゃあ、これ見てみたら?」

遠坂の言葉に怒ってしまったセイバーに遠坂は家計簿を見せる。

「この家計簿によるとね、衛宮家のエンゲル係数は二月を境に急上昇してるの」

「それがどうしたのですか?」

ムスッとしながらもセイバーは先を促す。

「セイバー覚えてないの?二月になにがあったか」

「それくらい覚えています。その月は聖杯戦争が・・・」

そこまで言ってセイバーは何かに気づいたのか口を閉ざす。

「そう。つまりセイバーがここに呼ばれた月ってわけ。この意味解る?」

・・・そう、セイバーが呼ばれてからエンゲル係数があがった。つまり、

「私が、大量の食事をしているから・・・と言いたいんですね?」

ぶっちゃけそういうことである。
しかしセイバーは、

「私のどこが大量の食事をしているのですか!?私はタイガと同等の量しか食べていないのですよ!?
 私にお金を払えというのならタイガにもそれはいうべきではないのですか!?」

と言った。だから俺は

「ああ、藤ねえにもあとで月四万払うようには言うさ」

と言った。しかしセイバーは

「私はサーヴァントですので、シロウの剣となり盾となるのが仕事ではないのですか?」

そう言ってきた。
ふっ、甘いぜセイバー!!お前がそういうことは予測済みだ!!

「けどなセイバー、聖杯戦争が終わったんだから剣となり盾となる必要はもうないんじゃないか?
 セイバーはもう一人の女の子なんだから」

そういったとたんに、セイバーは顔を赤くして下を向き、シロウはずるいと小声で言いこちらを向いた。

「はい・・・解りましたシロウ。そういうのなら、バイトをすることにします」

そういって、セイバーはバイトをしてくれることになった。

 

 

 

あとがき

セイバーさんのバイトいかがでしたか?私がはじめて書いたやつよりはましになっていると思います。

遂にセイバーを説得することができた士郎。ちょっとずるいこと言ってますね。

他のSSでは朴念仁、トウヘンボクと言われているので少しは女の子のことを知っている士郎にしようかなぁと。

セイバーさんのバイトこれからどのような展開になるんでしょうか。

感想なんか言ってくれたら嬉しいです。
                                   2005年4月4日 ルクス