「あの・・・先輩どうかしたんですか?その顔・・・」

「これか?・・・・・・それが何も覚えてないんだ。これぽっちも・・・セイバーや遠坂に聞いてみたんだけど何もいってくれないんだ。本当に昨日何があったんだか・・・」

 

 士郎の顔には顎と右頬に湿布が貼られていた。理由は朝起きたのは痛みのせいだ。ヒリヒリではない、ズキズキと我慢のできないものとまではいかないものの気になるといえば気になってしょうがない程度。鏡で確認してみるとそこは青く腫れわたり見れたものではなかった。しょうがなく救急箱から湿布を取り出して貼ったというわけなのだ。

 それはそうとその痛みの理由がわからない。まるで記憶がどこかに吹っ飛んだみたいだった。だから昨日の夜の出来事をセイバーと凛に聞いてみたのだが何もわからなかった。それどころかセイバーはニッコリ、凛もニッコリで士郎の背筋を一気に凍りつかせた。それからというものセイバーとの稽古やら凛の講義が恐ろしくってたまらないといった感じだった。

 士郎は鍋の中を一度確認して煮物がどの程度柔らかくなったかを確認した。人参もジャガイモもいい感じで出し汁もよく染み込んでいた。いつもどおりのできばえに納得した士郎はいくつかの皿に分ける。そのあとサラダの盛り合わせ、焼き魚を着々と手際よく作業を進める。ご飯はとっくに炊けている。あとは各自の分を盛り付けるだけだ。その時に居間からのごく普通のニュースが聞こえてきて安堵した。

 なぜだろうと思う。カッターを使った通り魔であるというのに。被害者はもう十件くらいになった。それなのにそれを聞いて安堵する自分がいた。おかしいと思う。昨日、忘れてはいけないような出来事があった気がする。しかし思い出せない。少し自分に腹が立った。

 

「ねえ〜士郎。まだ〜?」

 

 だるそうに藤ねえが言った。今日はいつもよりも少し遅く朝食の準備を始めたためもう我慢の限界なのだろう。士郎は急いでテーブルに料理を並べていく。いただきますの合図で食事は始まり、十分前後でなくなった。

 

 

 

 食器洗いは士郎がやっている。その間他の人は送られてきた西瓜を堪能していた。四つに分けられた西瓜を革の境目ごとまで食べる勢いでどんどん消費していく。

最初は二つ丸々とした立派な物だった。それが半分半分に分けられている。つまりここにはセイバー、凛、桜、藤ねえそして士郎がいる。しかし切り方は四人分のみ。そう、士郎の分はない。しかも活き活きと食べているその隣で一人さびしく食器洗い。士郎にはこれがなにかの罰ゲームかといいたくなる。

 

「おいしいね〜」

「はい。このようなものははじめて口にしました」

「セイバー、種は食べちゃダメだからね」

「えっ!?」

「桜?・・・・あんたもしかして・・・!!」

「そ・・・そんなわけありません。あるわけないじゃないですか!!少し種をかんじゃたからそのまま飲み込もうなんて考えていません!!」

「そうです。少しくらいの障害など私には何の影響も与えることはできません」

「そういうことじゃなくって・・・・」

 

 士郎は少し涙ぐみながら皿洗い。空しい。虚しい。なぜこんなところで自分だけ皿洗いなんだ。などと思いながらも止めることができないのが衛宮士郎なのである。

士郎はタオルで手を拭いた後にセイバーの隣に座る。セイバーは西瓜を食べ続ける。士郎はそれを見てなにもいえない。だって一個の西瓜を二等分にしたものにかぶりつく王様など聞いたこともないからだ。スプーンを出しておけばよかったと少し後悔して、眼を疑った。目の前にはスプーンが普通に置いてあるのだ。あれっ?と思っても仕方はない。おちゃめっかな?など疑っても仕方はない。士郎はそれをとりあえず・・・・放置した!!

 

「桜、今日の昼のことなんだけど」

「はい、何ですか先輩?」

「この前がんばってくれたから今日は俺がやるよ」

「えっ!?そんな・・・いいです私がやります!」

「いいよ。この前のやつ本当に美味かったからさ」

「それじゃ・・・お願いします・・・」

 

 少ししょんぼりとした桜にすかさ安堵させる言葉を言った。

 

「でも手伝ってくれると嬉しいな・・・」

「えっ!?はい!!」

「衛宮君・・・鈍感の才能はどこにいったの?」

「なんだよそれ?俺にはそんな才能なんかないぞ!!」

「そうかしら?長年思いを寄せている人がいるかもしれないというのに?」

「俺は慎二じゃないんだ。そんな人がいるとは思わない」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・なにさ・・・・」

 

 士郎を見つめる眼は何かを求めるかのようであり怒り、恨みの類が向けられた。一瞬たじろいだものの今度は士郎も反撃をする。睨み返す。しかし、人数も違うし相手が相手だ。もちろん士郎が折れて負けた。

 しぶしぶ逃げるように道場へと向かう。簡単にウォーミングアップをしておきたいからだ。筋トレ素振りくらいはしておかないと危険があるからだ。しかも今日に限っていつも以上に入念にやっておかなければいけないだろう。セイバーがなんだか怖いからだ。

 

(遠坂もだけどな・・・)

「衛宮君?なんか言った?」

「いやなにも・・・」

 

 そういってからすぐさま道場に走っていった。

 

 

 

 天気がいいせいかいつも以上に汗がでる。士郎はタオルを取りに風呂場に向かう。少し躊躇われたがそれは傷が痛んだだけでわからなかった。

 タオルとともに水筒に熱中症対策の水分を準備してから投影を開始した。投影するのはもちろんあの干将漠耶。イメージはいつもどおりにできたし投影する時間もだいぶむらがなくなった。てごたえに納得したあといつもどおり振りおろす。独楽のように振り回す。すぐさま突き刺すように剣を動かす。何度も同じ動作を繰り返す。たまに何度か別の方法で剣を振るがどうも今はしっくりこない。

 

「はあ・・・はあ・・・・まあこんな・・・・・もんか・・・・」

 

 汗をタオルで拭いて口いっぱいに水を含む。壁に背を預ける。自分ではどのくらい強くなったのかは分からない。でもどちらにしろ意味がない気がした。この前のことでわかった。自分には今ここにいる意味がないと思っている。力も考え方も足りないからだ。力がないのを自分が一番知っている。少し悔しかった。同時に怒りがわいてくる。溜息が漏れる。

 士郎はセイバーが来るまでの間もう一度投影を試みる。次は別の回路を使う。多分すべてが固有結界を発動するためのものであり、多分意味はない。それでもと思う。士郎は一度だけやってみようと思った。

 精神を集中するイメージするは干将漠耶。再び

創造の理念を鑑定し――

基本となる骨子を想定し――

構成された材質を複製し――

製作に及ぶ技術を模範し――

成長に至る経験に共感し――

蓄積された年月を再現する――

多分別の回路を使ってはできないかもしれない。それは確信を持っていえる気がした。しかしその過程で不思議な物を発見をした。

それはこの前に言っていたあの少女とのパイプラインのだろう。投影を止める。少しだけ、そんな気持ちでパイプラインの先へと意識を集中する。その先には・・・

 

 

 

 セイバーはそろそろ道場へと行こうとしていた。士郎の準備運動も終わったことだろうしと思ったのだ。一度こちらに戻ってきたようだったのでいつもよりも少し遅くなっていた。セイバーは桜の淹れた煎茶を一気に飲み干した。

 セイバーは一言一手から席を立ち道場へと向かう。その途中少し違和感があった。それは魔術の質が違った気がしたからだ。しかしそんな些細なことは気にしなかった。なぜならセイバーはキャスターではないからだ。魔力を使っているとわかってもどの種類のものかまでは漠然としかわからない。まずは自分の目で確かめることにした。

 

「くそっ・・・・・・はあ・・・・はあ・・・・・もう一度」

 

 そこには汗も自分の体が危険信号を走っているにも関わらずに魔術を酷使する士郎の姿があった。切り傷のように開いた無数の痕。血が少し服に染み込んでいる。セイバーは慌てて士郎の下へと駆け寄る。まずは止血から。足元に落ちていたタオルを取って出納の中身を確認してからそれをタオルに染み込ませる。そんな一生懸命なセイバーには気づかないまま精神をどこかへと飛ばしているようだ。

セイバーは士郎が次に何かを呟いたら声をかけようと考えた。そしてそんなに集中しているのはなにかを聞くことにした。その後に傷の手当をちゃんとしようと思った。

士郎の身体にまた傷ができる。薄らと滲み出てきた血を軽く拭う。

それにしても何に集中しているのかが気になり始めた。こんなに傷を作っても気づかないなんてことはないはずだ。あまりにもそれはおかしいと思えた。こんなのことはいままではなかった。鍛錬の時とは別の気迫があった。しかし今はそれよりももっと気にしなければならないことがある。それは魔術のオーバーロード。

これだけの時間何度も使っているのだ。しかも投影を行っているが剣が見当たらないのが気になる。しかし失敗しているわけではないとわかる。ならただ呟いているだけかといわれても違う。ここに来る前から魔術を使っているとわかっているのだ。だから今この状況がおかしい。

 

「はあ・・・はあ・・・・はあ・・・・・またあそこで・・・・・・・もう一回!」

「シロウ!!一体何をやっているのですか!?」

「えっ!?セイバーどうしたんだいきなり・・・?」

 

 セイバーはまず手当てをすることにした。

 士郎の手に少しずつ包帯を巻きつける。道場に元から置いてあったのを使っている。士郎の顔には湿布をはがした後に絆創膏を貼り付ける。入っている分の絆創膏を全て使い切ってしまった。聖杯戦争の時は傷が治ったのだが今はない。何時ごろからか考えるとキャスターに関わったときからだろう。そお以降は何も起きない。そのせいと言っては不本意だがセイバーが心配しているからそういわれても不思議ではない。

 

「あ・・・ありがとうセイバー・・・」

「いいえ。それにしても貴方は一体何をしていたのですか?」

「えっと・・・投影魔術の練習していたときに偶然今まで見つけなかった回路があったから何かなっと思って魔力を流してみたら・・・一気に持っていかれたんだ。それで意識も別の場所まで行っていた。そこは迷路みたいな場所ででもトラップがあったから・・・」

「流された魔術を使ってそのイメージの中で投影する剣をイメージした・・・」

「そう。でも何時も同じ場所で終わるんだ。そこで失敗して・・・」

「そうするごとにまた魔力を流し込んだ・・・」

 

 はあと溜息。次の瞬間爆発した。

 

「シロウ!!貴方はなぜ危険な真似をそう平然と繰り返すのですか!!?傷つくっても気づかないなんて貴方はなんて愚かで!!無知で!!無謀で!!・・・まったくリンといった優秀な魔術師の下で・・・だからですか?凛はここぞというときに失敗すると聞きました。シロウ?貴方もそうなのですか?それても昔からそういった人なのですか!!?しかしよく考えてみればそのとおりだ!!今までこう健全としていられるのが不思議なくらいなんだからそんなその先に何があるのかもわからないものに手を出すのはやめていただきたい・・・そうしなければいつか別の形で後悔します!!断言しましょう。私は貴方がとても・・・・・・少し儚く見えてしまう。まるで・・・・・」

 

 昔の私のように――

 

 そこで言葉が切れた。最後の言葉は士郎の耳にもちゃんと届いたようだった。最初はしょんぼり、そして恐々と聞いていた。でも少しずつ様子が変化していくのがわかって悲しくなった。

 

「ごめん・・・今度から気をつけるよ・・・」

 

 士郎はそう言って血だらけのタオルを脱衣所へと持っていった。鍛錬はその三十分後から身体をほぐすかのようなもので終わった。

 終わった頃にタイミングを見計らったように電話が鳴り響いた。それに出たのは藤ねえで呼びに来たのは凛だった。

 

「あのね。今あいつから電話きたらしいの。内容は今すぐ学校に来て欲しいんだって・・・」

 

 凛は士郎の絆創膏や包帯を何事かと見ながら用件を伝えた。すぐさま去ろうとしたがすぐさま士郎に止められた。やはり士郎にはあいつでは伝わらなかったようだ。凛は少し考えてからもう一度いった。

 

「私のことを女狐って文句を言ってくる生徒会長の柳洞君からよ・・・」

 

 一瞬さっきが見えた気がした。しかし士郎は知らないふりをして聞くか聞かないか迷った。一言“何かあったのか?”と。たぶん一気に死亡フラグが立ってしまうだろう。だから考えた。そして止めた。

 

「ありがとう遠坂。じゃ、セイバー俺いってみるよ」

「わかりました。ですが先程のようなことは」

「わかってる。もうあんな危険なまねはしないからさ」

「・・・士郎が言うのでしたらそうなのでしょう」

 

 そういってにっこりと微笑んで言った。士郎はこんな顔に弱い。絶対に裏切ることができない。少しでも裏切った時にどんな顔をされるのかがわからないのが怖いのと自分の信念がそうさせない。だからこそ士郎はその笑みに必死にこたえようとする。しかしまたそれはできない。影はもう近づいてきた。ただ待っている。ひっそりと・・・

 

 

 

 制服姿に着替えた士郎は手ぶらのまま学校へと向かっていた。いつもの登下校のようにゆらりと歩く。一人で学校に行くのは久しぶりだった。いつもは桜か凛が一緒にいたからだ。それはそれで悪くはないのだがどうにもたまには一人がいいときがあるのだ。例えば今とかだ。

 士郎はイメージの世界を思い出していた。そこには矢、斧、剣、槍、短剣、剥きだしの刃がいく本も飛び出したりもした。鉄球といった物がないのは幸いだったのだがそこはまるで敵の勢力に怯えているように思えた。それと同時にそこは士郎にとって近い感じがした。無限の剣製。固有結界“unlimited blade works”の中と似ているような気がした。でもありえない。こんなに連続してイレギュラーが起こるとは思えない。だからそのことを考えるのを止めた。

 着いたときにはもう昼を少しすぎていた。昼食の準備は桜にお願いしてあるからそろそろ準備ができることだろう。朝あんなことを言いながらも任せることになってしまって少し自分が悲しくなった。

 向かうは生徒会室。今日はいきなりのことで弁当を作ってくる余裕がなかった。しかしそれを一成は承知しているだろうと考えていた。

 

「しかし一成の奴。今日は何のようなんだ?休日に呼び出すなんてことはあまりないからな・・・入るぞ一成」

「うむ。勝手に入ってきてくれ」

 

 一応ノックしてから確認をする。開けたそこには一成がパイプ椅子に背を預けてなにやらプリントを眺めているようだった。士郎はそれを見ながら目の前のパイプ椅子に腰掛ける。

 

「で何のようなんだ一成?」

「しばしまたれよ。もう少しで確認が済むのでな」

「わかった。茶でも飲むか?」

「衛宮、すまんな・・・」

 

 士郎は茶葉を急須に入れてポットの湯をいれる。なんのぷりんとかが気になったが重要書類だったら一般生徒が見てはいけないものなので何とか我慢することにした。とりあえず今はお茶を淹れる事に集中することにした。と言ってもすぐに終わってしまう作業。

 

「衛宮今日買ってきた今川焼きがあるはずだ。お茶請けにそれの準備をしてくれないか?」

「これか?」

「ああそれだっと。俺の分も頼む。そうだな・・・こしあんを頼む」

「わかった。俺はクリームを貰うよ」

 

 士郎は五個のうちから自分の分と一成の分を取り出す。すぐさま急須に茶を注ぐ。一成はプリントの山を脇にどかすと今川焼きに口を付ける。士郎はまず一口お茶で渇きを潤した。

 

「それにしても今日は暑いな」

「そうだな。窓を開けても風が入ってこなかいからな・・・」

「汗が出てきて大変だろう?プリントがくっついたりしてさ」

「その心配はない。何度か見たような報告書などだから」

「ところで今日は何のようなんのようだ?」

「今日は少し聞きたいことでな・・・」

 

 その瞬間一気に温度が下がった。士郎は気づいたが一成は気づいてないようだった。士郎は少し一成が何かをしたのかと思ったがそれはありえない。なら自然現象かといわれても違う。窓が開いていないからだ。そこで疑問に思った。最初は開いていた。いつ閉まったのだろうか。そんな問題ではない。今は別の問題。

 それは――

 

魔術、結界が張られたのだ

 

「なっ!!?」

「どうした衛宮?」

「・・・いやなんでもない・・・」

 

 士郎は焦っていた。いきなりこんな事態に巻き込まれるとは思っていなかったからだ。学校に他には魔術師はいない。しかも今は別の問題が起きようとしている。そんな状況で相手の見えない、知らない敵がまだいる。

 士郎には強化と投影、条件がそろえば固有結界も使えるが今のこの時点では全部無駄。だからこそ焦りを覚えてしまう。

 

「そうそう衛宮これを見てくれないか?」

「一成すまないが・・・・なんだそれは!!」

 

一成が持っていた紙には魔法陣が描かれていた。はめられたと思ったときにはもう遅い。敵はもう近くにいる。その前に目の前の一成をどうにかしなければならない。たぶん敵の手中なのだろうが傷つけることができない。それを解除する魔術も知らない。圧倒的に不利な位置にいる士郎はまずドアを蹴破った。

結界は学校全体を包んでいるようだ。校内ならいくらでも逃げられる。なら今は敵を追う。それが今の士郎にできることだと思った。

まずは四階を駆け巡った。そこにはなにもなかった。次に三階、そして二階を駆け巡る。どこにもいなかった。他の生徒もいなかった。ここにいるのは一成だけなのだろうと思うと安心できた。強行突破しなくって済む。それが唯一の安堵できることだったが、ここから出られないことは変わらなかった。そして敵は一階にいた。

生徒玄関の側にある窓枠に座って待つ人物は二十代前半の男性だった。士郎には見覚えのない人物だった。男性は眼鏡をずらして士郎を眺め回す。服装はどこにでもいるようなラフな物だったがマントが異様だった。手には分厚い本を握りしていやらしい笑いで口を開いた。

 

「初めまして・・・囚われの弱者よ。私の名は坂西修一という。昔からひっそりと魔術を研究しているのだから知らなくって当然だから気にしないでくれたまえ。そうそう弱者の名はなんと言うのだ?」

「弱者って何だよ・・・」

「この程度の結界を壊せんのだ。弱者だろ?簡単な答えだよ」

「一成をあんなにしたのはお前か?なら戻せよ・・・」

「君は遠坂家の当主を知っているか?なら」

「戻せ!!」

「聞き分けのない弱者でひよっこなガキは嫌いだ!!」

 

 投影ではなく強化を長ボウキにこめる。一気に詠唱が終わる前に叩き込もうとした。そこに一つの弾丸が飛び込んできた。それを反射でかわす。この半年の間にできた反射運動がありがたく思ったとはいってもこのようなときに動けるようにやってきたようなものだったが。

 

「今のは・・・ガント?」

「そう、その通りだ弱者!!」

「何でお前が・・・」

「この後こたえてやるよ・・・」

「くっくっくっくっくっはあああああはははははっはははははは」

 

 士郎はホウキを構え次の攻撃に備えた。来たのはガントとさめの背びれのような刃が無数に士郎に迫ってくる。目を瞑って息を整え、動き出した。