おると君が馬鹿を始末して上機嫌になっていた頃
 
そのおると君をこっそり見ている目がありました
 
そいつは静かに暗がりの中から姿を現したのです・・・

 

ぷらいみっつ君さいど

 

 

ぷらいみっつ君は第5位とおると君の戦いの一部始終を見ていました
 
一部始終といっても戦いはあまりにも一方的に一瞬で終わってしまったので第5位の無様な最後を看取っただけと言ったほうが正解でしょう

ぷらいみっつ君は全身の毛を逆立たせました

地球に降り立ったのがあの「某塾長」でなかったのはよかったのですが、   どうやらあの蜘蛛みたいな格好の子はそれ以上の存在のようです
 

これは本気でかからなければなりません

ぷらいみっつ君はいまだかって感じたことのない手ごたえに静かで熱い闘志を燃え上がらせました

でも沸き立つ闘志に夢中になっていたぷらいみっつ君はもうひとつを見落としていたのです・・・

 

おると君さいど

 

暗闇の中から何かが現われました
 
白い犬のような姿をした”それ”は明らかに異質な雰囲気を漂わせていました
 
相手の力量が掴めません
 
あまりにも
異質すぎてどのような存在なのかもわからないのです
 
そしてそいつはおると君の目の前で呪術のような妖しい踊りを舞い始めたのです
 
その気持悪い動きにおると君は戦慄し、ちょっとだけ後悔しました
 
”あんな決め台詞言うんじゃなかった・・・”
 
前編で自分が決めたあの”
青い新型”用のセリフです
 
あのセリフが”白い悪魔”を呼び寄せてしまったのかもしれないと思えました
 
しかしおると君にはまだまだ余裕がありました
 
よく考えてみてください
 
脚は飾りではありません
 
その脚がおると君には8本あるのです
 
つまり”
通常の”です、”シャ○専用”よりすごいのです

ぱーふぇくと・じおんg・・・じゃなくて”ぱーふぇくと・じ・おると”です!
 
全然負ける気がしません、来るなら来い!です
 
おると君は勇気を奮い立たせ、その”白い悪魔”に立ち向かいました
 

 

ぷらいみっつ君さいど

 


ぷらいみっつ君はふと足を止めました
 
ぷらいみっつ君は目の前に現われた”それ”の正体を知っていました

あまりにも相性の悪い相手です
 
”関わらないほうがいいな・・・”
 
ぷらいみっつ君はそう大人な結論を出しました
 

 

おると君さいど

 

”見えた!そこぉ!”
 
おると君の本気の一撃が決まりました!クリティカルヒットです!
 
そいつは夜空にキラッと輝きお星様になってしまいました
 
戦って見れば何のことはありません
 
そいつはただおると君にまっすぐ向かってくるだけでかすりもしなかったのです
  よく見たら”すかうたー”はそいつの戦闘力を0と評価していました

イカ以下です
 
ただその妖しすぎる動きに何度もおると君の攻撃は外されてしまっていました
 
おると君の神速の攻撃をああも何度も紙一重でかわしたことだけは誉めてやりましょう
 
もしやあれが噂に聞く”にゅーたいぷ”というヤツだったのでしょうか?

”にゅーたいぷ如き僕の敵じゃないな♪”
 
余裕しゃくしゃくになったおると君はごーまんかましてやりました

”僕が一番がんだ○をうまく操れるのさ!”  
しかしおると君はまだ異世界の常識の不条理さを知らなかったのです・・・

 

ぷらいみっつ君さいど

 

ぷらいみっつ君はおると君の勝利の言葉を聞いてやれやれと思いました
どうやらあの蜘蛛みたいな格好の子は自分の相手がどんな属性か知らないようです
世の中には強い弱いとは無関係な厄介な属性があるということを・・・

 

おると君さいど

 

それは突然の出来事でした

そいつは勝利の余韻に浸るおると君の頭の上にポテッと落っこちてきたのです
 
”そんな馬鹿な!”
 
ヤツは確かにしとめたはずです
 
しかも
ギャグまんがのようにお星様にしてやったのです
 
たとえ助かっていてもこんなに早く帰ってこれるわけがありません
 
やっぱり連邦の新型はバケモノだったのでしょうか!?
 
おると君の人生始まって以来の絶体絶命のぴんちです!
 
このままでは次の瞬間にはおると君の首はざっくりと落とされてしまうでしょう
  そしてついにヤツの口がおると君の首筋に触れたのです・・・   最後を覚悟して目を瞑っていたおると君の顔に生暖かい感触が触れました
 
何度も何度もその感触はおると君の顔を撫で回しています
 
目を開いてみるとそいつはおると君の顔を舐めていました
 
白い犬が嬉しそうに尻尾をぴこぴこ振りながら、おると君の顔をぺろぺろ舐めています
 
・・・・・・・・・おると君は犬に懐かれてしまっていただけだったのです
 
なんですか、このマヌケな展開は!?
ぷらいみっつ君が
相性が悪いと敬遠したのはこのことだったのです!  
おると君もそいつの正体に気がつきました
 
そいつも地球外生命体だったのです
 
きっとなにかの理由でこの青い星に取り残され、いままでたった一匹で寂しく過ごしていたのでしょう
そして同じ地球外生命体のおると君を見つけて嬉しくて仕方が無かったのでしょう
おると君は事情が飲み込めると優しくそれに話しかけてあげました
 
”おまえも迷子なんだね?いっしょにお家にかえるかい?”

 

ぷらいみっつ君さいど

 

おると君の優しい言葉を耳にしてぷらいみっつ君は頬を緩めました
もう大丈夫、あの子は地球に悪さをするような子ではないでしょう

そしてこの世界にとけこんで仲良くやっていってくれるでしょう
おると君の言葉には確かにそれを信じさせる暖かさがこもっていました
自分まで暖かな気持になり、そっと気配を消してその場を立ち去っていくぷらいみっつ君の耳に
 
おると君の頭の上にちょこんと乗っかった白い犬のような地球外生命体の嬉しそうな鳴き声が聞こえました
 
???「ぴこ〜〜〜〜〜♪」

 

おると君の大遭難 後編 おわり

 

作者:ギャグキャラと闘ってはいけません、自分の闘志の空振りにむなしくなるだけです・・・ギャグキャラはシリアスの天敵ですw 尚、おると君のご両親から惑星「アリカメ」派出所の駐在「カンキーチ・リョーツ」氏に迷子の捜索願いが出されているそうです(笑)