「よく、今までがんばったわね。

でも、大切なのはこれからよ。

今から、蒼崎青子流八極拳最終試験を行います」

「はい、ししょー」

「試験は簡単よ

ある建物の中にいるある人物を草原までつれてくるだけよ」

「ししょー、質問です」

「なに?」

「どこが蒼崎青子流八極拳最終試験なんですか」

「いい質問ね、もちろん障害が待ち構えているの、

だからあなたは習ったすべてを生かしてそれを排除し無ければならないの」

「なるほど、だから最終試験なんですね」

「そうよ、でも一歩間違えば簡単に命をおとすわ

そうなっても責任は取れないわよ。

辞めるなら今のうちよ」

「いいえ、お兄ちゃんを助けるために入門したその日から、覚悟は出来ています」

「そう、いい子ね。ではいってらっしゃい」

「はい、ししょー」

 

「それにしても、ものすごい天分ね

まさかたったの3日でマスターするとは思わなかった。

志貴、あなたはいろいろなものを引き付けすぎよ…」

 

かくしてわたしは遠野家にいき、お兄ちゃん救出に挑むのでした。

さあ、ぐずぐずしていられないわ。まずは門を乗り越えてっと。

「やあ」

ふう、うまくいったわ。蒔いた麻を毎日飛び越える修行の成果ね。

さあ、お兄ちゃんのお部屋まで駆け抜けるよ。

ってなに?なにかすごい音がする。

早すぎてよく見えないけど白と青の竜巻がお庭で渦巻いてる。

「この不浄物、不浄物、不浄物」

「にゃんだとー、でかしりシエル」

ーよく分からないー

「えーっと、ぴんちのときはよく考えるのが蒼崎青子流八極拳でしたよね。ししょー」

考える、カンガエル、考える…

気が付くとクロスカウンターで倒れる青と白。

「なるほど、さすがししょー。お空で見守ってくれているんですね」

 

さて、時間がだいぶたってしまいましたが今度こそ遠野家に侵入です。

お勝手口から入ろうと聞き耳をたてると…

「チョッコレ〜ト、チョッコレ〜ト、ちょこれいとはた・い・ま〜♪

チョッコレ〜ト、チョッコレ〜ト、ちょこれいとはた・い・ま♪」

○治のCMソングなのになにか違う歌が聞こえる。

こっそり覗くとフードをすっぽりかぶった人が大きな釜をかき混ぜていた。

やばい、やばい、やばい

何かわからないけどとにかくやばい。

あれに見つかったら、たぶん、無理。

 

しょうがないから表から侵入です。

えーっと、ヘアピンで鍵を空けるのが蒼崎青子流八極拳の侵入術でしたね、ししょー

よっと、かちり。

だけど、扉を開けると、そこには、たくさんのロボメイドさんがいた。

みんな同じ顔、無表情で、目からビームを打っていた。

それからのことはよく覚えていないけど、たぶん10体ぐらいは倒したけど、力尽きて倒れそうなときししょーが来てくれました。

ししょーは

「まだこんなとこにいたの?しょうがないわね」

というと、気だけでロボメイドを圧倒した。

「ししょー、それロボットです、気で圧倒できるんですか」

「できてるでしょ、それよりあなたはこんなとこで何をやっているといってるの。ちゃんと教えたとおりにやれば5分も要らないでしょう」

「えぐ、えぐ。でも、竜巻がすごくて、魔女がいて…」

「ふぅ〜しょうが無いわね。今回だけはおてほんをみせてあげる」

そういうとししょーはおにいちゃんの部屋のしたまでくると

「教えたはずよ、都古。臍下丹田の力を最大限発揮するには龍脈を見極め力をくみ上げること。蒼崎青子流八極拳士たるもの森羅万象に通じ龍脈の流れを操れること」

すごい、力が集まっていく。ししょーが歪んで見える。

「龍脈が見えるなら分かったはずよ。この屋敷の地下には空洞があることが」

ししょーが呼気を整え始めた。

「つまり、こうするの」

ししょーは無造作に「とんっ」と震脚をおこなった。それだけ、ただそれだけ。

お屋敷はきれいに地下へと沈み、眼の前にはわたしのおにいちゃん。

ううん、わたしだけのおにいちゃん♪

「すごい、すごいです。ししょー。まほうみたいです」

するとししょーはにっこりとやさしく微笑んでウインクしながら

 

「わたしは魔法使いといったでしょ」

 

そういい、寝ているお兄ちゃんをお姫様抱っこしてすたすたあるきはじめた。

すごいです、おししょー。いつかその背中にきっと追いつきます。

だけど、いまは、いまだけは半分でいいからおにいちゃんを譲ってください。

独り占めしないで下さい。ししょー。