僕はお世話になっている有間の家の都古ちゃんのお誕生日のために、プレゼントを買おうと町を歩いていた。でも、都古ちゃんには何を送れば喜んでくれるのか見当もつかなかった。聞き出そうとはしたが真剣な目でじーーーーっと見つめるばかりでまったくききだせなかった。困り果てた僕は、とりあえずいろんなタイプの女の子と付き合っている有彦にアドバイスをもらいにきた。
とんとん…やっぱりノックしても返事が無い。
「おじゃましまーす」
ガチャ…
そこには、バスタオル1枚だけの、一子さんが、いた。
「ん、ああ、有間か。寒いからとりあえず閉めてくれ」
「ああ、あの、その、えっと」
「ドアだ有間。早く閉めろ」
「はっ、はい」
ガチャン。
「有彦ならいないぞ」
「えっ」
「なんだ、ちがうのか。まあいい、とりあえず上がれ」
「はっ、はい」
一子さんから、なんだか甘い香りがする。ぼーっとしているとまた怒られた。
「さっさとしろ、ん?なにを赤くなっているんだ」
「あああ、あの、その、えっと、なんというか、その、ふふ、服を着てください」
「ふふっ、いまさら気になるのか?」
「…ははは、はい」
「わたしは気にしないからお前も気にするな」
「ででで、でも」
クスッと薄く微笑むとぽんぽんと僕の頭を軽く叩き
「わかった、わかった。着替えてくるからお茶を淹れてくれ」
そういうと一子さんはすたすたと部屋に戻っていった。
僕は勝手しったる何とやらで紅茶を淹れて一子さんをまっているとワイシャツにジーンズといういつもの一子さんが戻ってきた。でもいつもと違うのは、甘い香りと、乾ききっていない髪。なんだか、いつもの一子さんじゃないみたいで、服を着ていても目のやり場に困った。思考がまとまらない…
「で、何の用だ、おい、聞こえているか!」
いけない、聞き逃したようだ。なぜか一子さんが怒っている。なんとかしないと。何とかしないと…えっとピンチのときはまずよく考えて…でしたよね先生。
「えっと、都古ちゃんが誕生日で、有彦が女のことにくわしくて、それで、一子さんがいいにおいで、るすで、予算は5000円でえーと、それで…」
「………さっぱり話が見えんが?」
「えっ、だから、その、都古ちゃんにはどんなプレゼントがいいか相談したくて…」
「ああ、小学生の妹か。そういえばそんな話を聞いた事があったな。本人には探ってみたのか。部屋にあるぬいぐるみとか、お気に入りのかばんとかなにかあるだろう」
「それが眼が会うとものすごいタックルしてきたり腕にぶら下がったりで口も利いてくれないんですよ。嫌われているみたいなんで、なんとかここで仲良くなれないかと」
「なにかあるだろう、よく思いだせ」
「なにもないんですよ、、、あれ、そういえば家にやけに遊園地のパンフレットを見る気がします」
「なに?どこでだ」
「僕の机の上とか、トイレのドアとか、朝見る新聞の広告とか、靴の中とかです。急に最近よくみるようになったんですよ。都古ちゃんがタックルすると落としていくこともあるんで困らないように返してあげてるんですけどじーーーーっとこちらを見るばかりで、、、きらわれているのかなあ」
「なあ有間、いいか、悪いことは言わないから今から言うとうりにしろ。家に帰り都古ちゃんを遊園地に一緒に日曜に1日遊びに行こうと誘うんだ。いいな、間違えるなよ。なぜか最近よくみるパンフレットのよく見るページのアトラクションに一緒に乗りたいとさそうんだ。わかったな?」
「でも、都古ちゃん遊園地はあんまり好きじゃないんじゃ。。。」
「いいから言うとおりにしろ!分かったらさっさと行って来い!」
「はっ、はい。誘ってきます」
がたん、たたた、ばたん。
「ふふっ、鈍いやつだ。まあ、そこがかわいいんだがな。それにしても私の誘いにもう少しぐらい気をつかってくれてもいいだろうに。他の女の話をするとは無粋なやつだ。有間。わたしは、お前が、とても、きにいっているんだぞ」