特設テントの前に着くと、

「遅いぞ」

何故かやる気満々な橙子が四人を待っていた。

「遅いと言っている割には・・・楽しんでいるわね。姉さん」

「う゛っ・・・・」

その手にはいつの間にかリンゴ飴と商売繁盛の熊手が握られていた。

 

 

 

 

 

PAIC

 

 

 

 

 

「神籤だが・・・何が出ても全員見せ合うこと」

「え?!」

橙子の台詞に鮮花がビクリと反応した。

「昔やったわねぇ〜おみくじ勝負」

懐かしそうに遠い目をする青子。

「今回は負けんぞ」

何か思い出したのか闘志を見せる橙子。

そして

「見せ合って何か意味があるのか?」

「「さぁ・・・・」」

話しについていけない三人がいた。

 

 

「「「「「「・・・・・・・」」」」」」

全員神籤を引き、書かれていた文字を食い入るように見る。

はじめはやる気なさそうに神籤を見ていた式も、書かれていた内容を見て真剣に他の項目にも目を通す。

七夜も神籤に目を通し、顔を引きつらせる。

「・・・・姉さん。どうだった?」

「まさか凶が出るとは思わなかったぞ」

「まぁ、私は末吉だったけど・・・それよりも項目別の内容はどう?」

「・・・・・・複雑だな。鮮花はどうだ?」

「―――吉で難産だそうです」

「・・・そうか。式はどうだ?」

「―――凶。高いところに失せ物があるそうだ」

「・・・・幹「吉。西の方角に注意せよとのことです」・・・・・わかった」

全員が全員自身の神籤を見せようとはしない。

「七夜。君は―――――――訊かない方がよいか?」

「・・・・別に構いませんが。でも、向こうの手違いか神籤が二つあるので困ってます」

二つの神籤を持って複雑な顔をする七夜。

「手違いはないだろう・・・どれ、少し見せてみろ」

橙子は自身の神籤をポケットにねじ込むと七夜の神籤を二枚取った。

そしてそれを見ること十数秒。

「・・・・・・・・・・・・・・的確すぎて怖いな」

「――――最悪のコメントですよ」

橙子の台詞に七夜はガクリと肩を落とした。

「あ、私も見たい」

青子も橙子の後ろから神籤を覗き込み、

「―――――これ以上増えるって言うの?」

「・・・さあな。でも、これ以上萌えると我々が死にかねんな」

「理性総動員した挙げ句に感情を無理矢理そぎ落とさないと対処できないものね」

「―――よく分かりませんが僕や志貴を貶しているように聞こえるのは気のせいでしょうか」

「貶すどころか褒めているのよ」

「見せろ」

式が橙子から神籤を奪い、それを見て小さく呻く。

「・・・・・・しーちゃんは私が守る」

しかもなにか決意したっぽい。

「私にも見せて下さい」

そう言って鮮花が式から神籤を取り、内容を見、

「――――そんな・・・これ以上何があるって言うのよ・・・・」

ガクリと頭を垂れて力無く呟く。

最後に

「どれ・・・・」

幹也が鮮花より神籤を受け取って内容を一字一句逃さぬように読み、

「・・・・・・今日から君のお義兄さんだ」

満面の笑みで幹也は七夜の肩に手を置いた。

「式、やれ」

橙子の台詞に

「応」

式は躊躇いなく幹也の側頭部に手刀を浴びせた。

そして気を失った幹也を青子が肩に担ぎ、

「さ、帰るわよ〜」

何事もなかったようにそう言って歩き出した。