「さて、衣服の件も解決した・・・初詣に行こうか」
「・・・・・・」
色々諦めた顔で七夜は頷く。
「大丈夫!喋らなければ百パーセント女性と思われるから」
「そこまで力説して欲しくはありませんが・・・今はそれを祈るしかありませんね」
七夜は魂まで出そうな勢いのため息を吐き、部屋を出た。
PANIC
「―――こんなにゾロゾロと行けば嫌でも目立つな・・・」
人混みが気に入らないらしく顔をしかめる式。
「まぁ、分かり切ったことだったわね」
「そうですね。初詣ですから」
談笑する青子と鮮花。
「初詣どころかこんな所に来る事自体何年ぶりか・・・・」
ここに来て既に疲れた顔をしている橙子。
「だったら誘わないで下さいよ・・・」
そしてそれ以上に疲れた顔をしている七夜。
「まぁまぁ・・・・夜だからまだマシな方じゃないか」
フォローを入れる幹也だったが、
「―――ライトアップしている状態だからむしろ状況は不利です」
僅かに頭痛のする頭を押さえて七夜はそう答えた。
「確かに―――」
七夜の台詞に幹也はわずかに表情を曇らせる。
「だが、その方がより映えるな・・・」
「むしろ闇に隠れていたいんですって・・・」
ボソリと呟いた式に素早く突っ込んだ七夜だったが、
「剥きたい・・・」
「不穏当な発言だが・・・確かに」
「・・・・・・・・・・・・恐ろしい発言は止めて下さい」
七夜は少し泣きそうな顔をしていた。
「一応祈ったし・・・周りの目も気になるからおみくじ引いてとっとと帰りましょう」
周囲の目と携帯のカメラのシャッター音などが鬱陶しく感じ始めた幹也が提案する。
「そうだな───私達を撮ってもまともに写る事はないと言うのに無駄な事を・・・」
橙子は不適な笑みを浮かべるとおみくじの置かれてある増設されたテントの方へと歩いていった。
「「「また何かしたんだ・・・」」」
呆れたと言うよりも『ああ、やっぱりか』と言った表情でハモる式・鮮花・幹也。
「もちろん。姉さんと私でバッチリ弄らせて貰ったわ!電子機器は障害起こしまくりよ!メモリー壊れまくっているでしょうねぇ・・・あとオーブとか写りまくり」
満面の笑みで親指を上に突き立てグッドマークをする青子に式と幹也がげんなりとした顔をする。
「だからさっきからあちらこちらで悲鳴が上がっているのだな?」
「そうみたいだね・・・」
「とても嫌な写真になりそうですね。それはそこらの低級霊とかそういった類ですか?」
「どういう訳か妖精やら各属性の精霊が志貴の写真に集まっちゃってね・・・」
「・・・・・・・恐ろしく無敵状態じゃないですか」
「そ。今の君は対魔術・ラック共に最強よ」
『だから迂闊に襲えやしない』と言葉を続ける青子に突っ込みを入れる。
「───まぁ、この姿を不特定多数に写真で撮られたくなかったので嬉しいですけどね・・・」
青子に引っ張られながらため息混じりに呟く七夜に
「それはある意味最高のお年玉ですね」
鮮花がちゃっかりと青子が掴んでいる反対側の腕を掴み特設テントへと向かう。
「む!?狡いぞ鮮花。そのポジションは譲れんぞ!」
そう言って式が鮮花の方へと走る。
「西暦何年何時何分何秒に決めたのですか?!」
「1999年7月29日21時16分49秒にだ」
「あの・・・式・・・?」
ポツンと取り残された幹也をよそに一行はテントへと向かった。