午前の授業が終わった。

今日は購買に行かないとなぁ・・・

食堂は僕が行くとみんな体が弱いからって僕を特別扱いするからあまり行きたくない。

ブロックタイプの栄養補助食品でも良いかなぁ・・・

そんな事を考えながら教室を出ると、

「遠野さん」

声を掛けられた。

 

 

 

 

 

 

PANIC

 

 

 

 

 

「?」

朝泣きながら逃げたお姉さんだ。

「保健室には行きましたか?」

「え?あ、いえ・・・」

「じゃあもう大丈夫なんですか?」

「あ、はい。もう大丈夫です」

「良かった・・・気分が悪くてパニックになっていたみたいだったので心配したんですよ」

「・・・・・・」

どうしておどろいた顔をしているんだろう。

「あの、心配してくれたんですか?」

「?」

そりゃあ、目の前であんな奇行を見ちゃったら僕じゃなくても心配すると思う。

「だってあんなに錯乱していたら、誰だって心配すると思いますよ?」

「あう・・・・・・あのことは忘れてください」

お姉さんは顔を真っ赤にして恥ずかしそうにそう言った。

「まあ、僕は都合の悪い事は忘れる主義なのですぐに忘れると思います」

苦笑しながらそう言うと、

「!!」

お姉さんはさっき以上に顔を真っ赤にして俯いてしまった。

「───やっぱり熱、あるんじゃないですか?」

でなきゃよほど赤面症なんだと思う。

「ッ・・・・・少し、休んできます」

お姉さんはそう言ってフラフラと去っていった。

何しにわざわざ僕の所まで来たんだろう。

良く分からない。

僕は急いで購買へと向かった。

 

 

「遠野くん」

購買でブロックタイプの栄養補助食品とカフェオレを買おうとしたら呼び止められた。

「?」

「あ、やっぱりそんなもの買おうとしてる」

「さっちんの予想大当たりだよ」

声の主は弓塚さん達、クラスメイトの女子三人がそこにいた。

「これは栄養補助なんだからちゃんとした物食べないと」

「そうだよ。もしお弁当忘れたんだったらわたし達がお弁当分けるか、お金貸するのに」

「えっと、お金はあるよ。僕、そんなに沢山は食べられないからこれでも良いかなって」

「「「駄目」」」

三人に突っ込みを入れられ、

「没収」

「あ!」

栄養補助食品を奪われたかと思うと

「はい、お弁当」

「あ・・・」

小さいお弁当を渡され、

「えっと、代金は330円だよね」

「あ、あう・・・」

代金を先に払われてしまった。

そして

「さ、行くよ〜」

「あ、わたしが荷物持つから」

「うーっ、うーっ」

両サイドから捕まれてズルズルと教室へと引きずられていった。

 

 

「もー、そんなにむくれないでよ」

「遠野くんのことを心配しての行動なんだから」

「ご、ごめんね遠野くん・・・」

気が付けば教室で食事をしていた。

「別にむくれてはいないよ」

そう言いながらお弁当を食べる。

む、やっぱりお弁当ならお茶が良かったかも。

そう思いながらカフェオレに手を伸ばすと、

「はい、交換〜」

手が届く前にお茶と交換されてしまった。

「あ、ありがとう」

「どういたしまして」

「勝手にお弁当を渡して何だけど、本当にそれだけで大丈夫なの?」

「うん。これくらいでお腹一杯になるよ」

「低燃費・・・良いなぁ」

「あ、お金」

そう言えばと僕がお財布を取り出したら

「あ、あのっ、別にわたしが無理矢理買ったんだから受け取るわけにはいかないよ」

弓塚さんはお金を受け取ってくれなかった。

「でも・・・」

「遠野はこういった所はキチンとしているんだから。それに遠野が困ってるぞ」

その科白に弓塚さんは小さく呻き、小さくため息を吐いた後にようやくお金を受け取ってくれた。

───弓塚さんって、とっても世話好きなんだな・・・

そんな弓塚さんにただただ感心した。