夕ご飯は何だか、とんでもなく豪華なものだった。

「持てる技術を全て出し切ってみました!」

琥珀さん、満面の笑みで言ってるけど・・・

「えっと、こんなに一杯食べれない・・・です」

絶対パーティー用だよ。これ・・・

 

 

 

 

 

 

PANIC

 

 

 

 

 

「それもそうですね・・・・」

ご免なさい琥珀さん。でも、ほんっとに無理です。

さっきとは一変して凄くガッカリした顔をしている琥珀さん。

これ、捨てるとしたら凄く勿体ないし・・・

「でも、捨てるのは勿体ないよ・・・あ、僕明日のお弁当に持っていくよ」

「そんな!」

「だめ?」

「「う゛っ」」

秋葉は、1700のダメージを受けた

琥珀は、999のダメージを受けた

「志貴さま。その問いかけは大変危険です」

「え?そっかな・・・うーん」

何が危険なのか良く分からないけど、翡翠ちゃんの目がもの凄く突っ込みを許さない目だったので突っ込まなかった。

「志貴さまがお望みなら否定する者はいません」

「兄さんがそれで良いというのなら」

「明日は重箱をご用意いたしますね」

「うん!ありがとう琥珀さん。学校のみんなで食べるよ」

「それではどうぞお召し上がり下さい」

そう言って琥珀さんがスッと後ろに下がった。

翡翠ちゃんは既に扉の所で待機してるし・・・

「────え?」

「兄さん?」

「琥珀さん達は一緒に食べないの?」

「私達は後ほど「琥珀。今日からは全員で食べる事にします」へ!?」

「今言った通りよ。貴方達も今日からはここで一緒に食事をするのよ」

「しかし・・・」

「琥珀さん。僕、琥珀さんや翡翠ちゃんと一緒にご飯食べたいよ」

「では一緒に食べちゃいます♪」

「変わり身はやっ!」

「姉さん・・・志貴さまの隣を陣取るのは万死に値しますよ・・・」

「ひっ!?」

「琥珀は私の側に着きなさい」

「はぅぅぅ・・・・」

「翡翠ちゃんは僕の隣ね」

「志貴さま。そこまでしていただかなくても結構です。わたしはこちらに・・・」

そう言って翡翠ちゃんは少し離れた席に着いた。

もしかして、避けられてる?

「避けているのではなく、わたしは例えどのような時であっても主に対して従僕たる身分をわきまえたいのです。肩を並べるような事は」

「だからといってそこまで・・・」

秋葉も少し呆れたような顔をしていた。

「翡翠ちゃんって呼ぶのも、ダメなのかな・・・」

翡翠って呼んだり翡翠ちゃんって呼んだりしてるけど・・・どっちが良いんだろう。

「・・・・・・・・・・しっ、志貴さまのご自由に」

「「照れてる照れてる」」

────秋葉と琥珀さん、仲が良いなぁ・・・

そんな事を思いながら食事を始める事にした。

 

 

「少し・・・キツイ」

「そんなに食べていないように見えましたが?」

「そうなのかな・・・僕、少食みたいだから」

食後のお茶をのんびりと飲みながら秋葉とお喋りをする。

「兄さん。遠野を出てからのことを聞きたいのですが」

「?特に大したことはないよ?」

「そうなのですか?」

「うん」

「でも兄さんは・・・・」

「僕が女の子になってもイジメはなかったし・・・むしろ、優しくなった・・かな」

「そうですか」

秋葉はホッとしたような顔をしていた。

「ところで兄さん」

「ん?」

「その、有間の方は」

「文臣さんも啓子さんも優しかったよ」

「そ、そうですか・・・・」

思い切り顔を引きつらせながら秋葉は目を逸らした。

「文臣さんが啓子さんを止めていたから」

「とめっ!?止めていたんですか!?」

「え?そんなに驚く事?」

「いっ、いえ!・・・止められる人が・・・いたなんて」

「最近は文臣さんから色々教わった都古ちゃんが文臣さんがいない時は啓子さんを止めてたよ」

「琥珀、もう一度有間文臣の調査を!」

「無理です。6回調査して6回とも無理でしたから」

調査って、何?

よく分からないけど、啓子さんってそんなに凄いの?

「文臣さんは謎に満ちた方なんですよ。有間夫妻って言っていますが、実際は結婚していませんし」

僕の疑問を察したのか琥珀さんがお茶を入れながら僕の耳元で教えてくれた。

「え?結婚、してない?」

じゃあ、都古ちゃんは誰の子なんだろう・・・

そんな疑問はとりあえず封じておく事にした。