中学校では色々あった・・・

三年生になって僕の周囲はより一層騒がしくなった。

理由は僕を物珍しそうに見る人が増えたからだった。

何か見せ物になったようでとてもイヤな気持ちだったけど我慢していた。

そしたら数日としないうちに5人単位で怪我のため学校を休むという怪事件が起きた。

そして出てきた人達は僕を物珍しそうに見なくなった。

先生やお姉ちゃん達が卒業式に来たのはビックリしたけど・・・・・・

―――まぁいろいろあったけど平和な中学校生活・・・・・・だったと思う。

そして高校生活が始まった――――――

 

 

 

 

 

PANIC

 

 

 

 

 

「嫌われてるのかなぁ・・・僕」

「何かあったのか?」

「何か・・・中学校の時よりも遠巻きに見られている気がする・・・・・・」

僕は机に突っ伏し、ちょっと愚痴る。

「まぁまぁ・・・俺と結ばれる運命だから危なっ!?

またいつものようにどこからともなく飛んできた。

それは有彦の頬を掠め、凄い音をたてて壁にめり込んだ。

「し、指弾ッ!?」

有彦の顔がかなり青い。

僕は一度周囲を見回した後、壁を見る。

そこには9割ほど壁にめり込んだ一円玉があった。

当たっていたら有彦以外は死ぬかも知れない。

逆を言えば有彦なら死なない。

お笑いキャラだから。

しかしそんなことを分かっている人間は少ない。そして中学校から一緒のクラスにいない限りこの狙撃は無理。

と言うことは───

僕はクラスを見回す。

中学校からのクラスメイトは──────

半数近くがそうだった。

今更気付いた自分の間抜けぶりに思わず泣きそうになってしまった。

そして中学校の頃からこんな事あったわけだから仲間内の犯行だと思う。

───でもそんなコトする人知らないし、周囲の有彦に対する殺気に紛れることのできる程度の殺気で有彦を瀕死状態まで持っていける技能を持つ人って・・・

そこら辺のエージェントやシークレットサービスより強いことは間違いないと思う。

しかし、最近有彦の危機回避能力も比例するように常人の域を超えていた為、滅多な攻撃は喰らわなくなっている。

まぁ、同じクラスで僕を守ってくれている?人がいるなんて・・・多分とても頼もしい。

でも未だに疑問なのが・・・

どうしてみんな有彦に殺意を持つんだろう。嫌われているにしては尋常じゃない・・・・・・謎だ。

僕はへっぴり腰で周囲を伺う有彦を後ろから蹴り飛ばす。

するといつものようにクラスのみんなが有彦を囲んで円陣を形成し、通常ならば死に至るようなリンチを繰り広げる。

「フハハハハ!これしきの攻げオブウッ!ノーッ!!凶器は反そガハッ!!

──────有彦は今日も楽しそうにみんなと戯れてました。

 

 

学校から帰ると何やら家の中から啓子さんの怒号が聞こえてきた。

「ああん?テメェの息子?はっ、テメェの息子は死んだだろうが!あ?うちには母一人娘二人の三人・・・夫一人の四人家族じゃボケェッ!!」

──────なんか、すっごく怖かったのでそのまま家に入らずにお姉ちゃんの所に向かった。

 

 

僕がいつものように扉をくぐるとお姉ちゃんの姿はなく、先生が暇そうに古そうな本を読んでいた。

「あら、志貴・・・悪いわね、姉さんは事務所よ」

本をパタンと閉じ、先生は僕を手招きする。

「やっぱり・・・事務所は何となく怖いからここに来たんだけど・・・」

僕は鞄を玄関口に置いて先生の元に行く。

「私がいること分かってたの?」

先生は自分の隣の席をポンポンと叩き、僕を座らせると僕の頭を撫でる。

「最近先生がいなかったからもしかしたらいるかなぁ・・・って何となく」

「んもぅ、志貴ったら益々可愛らしくなっちゃって!」

わざわざ僕の顔が胸に埋まるようにギュッと僕を抱き締める先生。

「むぅっ・・・・・・先生・・・苦し・・・」

いつもの事ながら僕は苦しくて逃げようと藻掻く。

「んっっ・・・志貴・・・可愛い・・・」

「ひっ!?あうっ・・・」

そしていつものように僕が藻掻いている間に僕のお尻を触る先生。

かなりセクハラだと思う。

「ふぅ・・・ずっと志貴に触ってなかったから禁断症状起こしてたわ。さっきも飛びつきたいのを必死に堪えていたのよ?」

満足してくれたのかしばらくして僕を解放してくれた。

僕は肺に新鮮な空気を送り込み、フウッと一息つく。

「それって変ですよ・・・・・・」

「そぉ?私も姉さんも確実に重度の志貴中毒よ」

「・・・・・・何か、凄く怖いんですけど・・・」

「それに姉さんに事務所にいるメンバー全員志貴中毒」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・勘弁してください」

本気で泣きそうになってしまった。

「あ、そう言えば志貴、君の周囲に凄腕の護衛でもいるの?」

「さぁ・・・そう言えばそんな噂をかなり前に聞きましたけど・・・何かあったんですか?」

「イヤ、某見習いが禁断症状を起こして志貴を拉致ろうと人を出したらしいんだ」

―――何か暴走率高いなぁ・・・・・・

なんて少し現実から逃げたことを考えてみる。

「そしたら楽しいことに全員返り討ち。更にやられた奴等の証言から志貴と同じ学校の制服を着けた女の子だという話しだ」

―――えーっと、つまりは・・・

「まぁ、僕に危害がないから良しという方向で・・・」

何故だろう・・・もの凄く、一人の人物像が浮かび上がってきた・・・

「志貴が気にしないと言うなら私もどうこうしないけど・・・心配した?」

「ふぇ?」

「ああもうっ!志貴のその無防備さと首を傾げる角度がジャストなのよ!!」

ガバッ

「わああああっっ!!」

先生に押し倒されて僕は本日二度目のセクハラを思いっきり受けてしまった。