ゆっくりと───
ゆっくりと目を開けた。
体が少しだるくて起きたくなかったけど僕は体を起こした。
僕はベッドに寝ていた。
辺りを見回しても誰もいない。
「おねえ・・・ちゃん?」
僕はベッドから降りて扉を開けた。
するとそこには───
PANIC
「お姉ちゃんッ!?」
そこには白い布を顔に書け、ソファーに横たわっているお姉ちゃんが居た。
僕は慌ててお姉ちゃんを揺すった。
「───ああ、目が覚めたか・・・」
お姉ちゃんは疲れたような声で僕に応えながら顔にかけていた塗れタオルを取ると僕の顔をジッと見た。
「良かった・・・少し後遺症はあるが元気のようだな」
お姉ちゃんは力無く笑うと僕の頬を優しく撫でた。
「後遺症?」
───そういえばお姉ちゃんは僕に何をしたんだろう・・・
「ああ。目を見てみろ」
そう言いながらお姉ちゃんは小さな手鏡を僕に渡してくれた。
「・・・!!!???」
鏡に映る姿を見た僕は言葉を失った。
そこに映っていた僕の瞳は真っ赤だっから・・・
「・・・・・・ウサギになっちゃった」
自分の赤くなってしまった瞳を見て思わず口から出た。
「―――ああ、やっぱり可愛すぎるにゃぁ・・・この子をずっと手元に置いておきたいにゃぁ・・・」
お姉ちゃんを見ると顔を真っ赤にして目を潤ませてこちらを見ている。
―――疲れているのかな?
「・・・・・・お姉ちゃん?」
「!?」
ビックリした顔で僕を見るお姉ちゃん。やっぱり疲れているのかも知れない。
「大丈夫?」
「ああ・・・大丈夫だ・・・」
「本当に?」
「ああ、本当だ」
「・・・・・・・・・」
僕は無言でジッとお姉ちゃんを見る。
「・・・・・・本当だ」
お姉ちゃんは少し目をそらした。
だから僕はお姉ちゃんの両頬に手を添えて顔を固定してジッと見つめる。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・ほ、本当に大丈夫だ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・スマン。本当は疲れている」
お姉ちゃんは僕に抱きついてため息を吐いた。
「無理しちゃ駄目だよ?お姉ちゃん。ゆっくり休まないと」
僕は寝室までお姉ちゃんの手を引っ張っていく。
「ちょっ、志貴?」
「後で一緒にご飯をつくろ?だか・・・」
『だから休んだ方が良いよ』と言おうとしてお姉ちゃんに軽く唇にキスされて言葉を止められた。
「―――ああ、少し休んで調子を取り戻すことにする。二人で食事を作る約束だったな」
微笑みながらお姉ちゃんはベッドにはいると僕の頭を撫でてくれた。
「優しいな、志貴は」
「だってお姉ちゃん好きだもん」
「ありがとう、志貴・・・私も志貴が好きだ」
お姉ちゃんはニッコリと笑うと眼鏡を外し、目を閉じた。
「お休みなさい、お姉ちゃん」
僕はお姉ちゃんの頬にキスしてから音をたてないように部屋からでた。