「っ・・・ぷあ〜」
鼻血を吸い出した志貴は上唇に付いたアルクェイドの血をペロリと舐める。
「はい、これで大丈夫」
「ぁ・・・・・・・・・・・・」
アルクェイドは今まで一度も経験したことのない驚きで動けない。
「アルクおねーちゃん?」
直視───
アルクェイドは志貴を直視してしまったのだ。
「───そんなに見つめられると・・・照れちゃうよ」
顔を赤らめて視線を逸らす志貴に、
アルクェイドは殺された。
「志貴〜〜〜〜〜もう可愛すぎ!!」
志貴をギュッと抱きしめ、頬擦りしまくる
「もぉ〜アルクおねーちゃんったら」
志貴は顔を赤らめながらアルクェイドの頭を撫でる。
「───アレ?志貴、少し熱いよ?」
「うん、何だか体がポカポカするぅ」
のぼせたようなぽーっとした顔でそう言ってユラユラと頭を振る。
「なんだかボーっとしてて気持ちいい〜」
そう言いながら眼鏡を外してアルクェイドをジッと見た。
「ちょっと志貴!大じょ──────ええっ!?」
「?」
コクリと首を傾げた志貴の瞳は浄眼の青い瞳ではなく、ワインのような赤い瞳になっていた。
「まさか───」
アルクェイドは志貴の行動を思い出し、血の気が引いていった。
「志貴!もしかしてわたしの血を飲んだの!?」
「うんっ病院でお父さんも飲んでたと思うよ〜」
「いや、そうじゃなくて・・・」
突っ込もうとしたアルクェイドに志貴は首を傾げ、
「僕のお目目がどうかしたの?」
「えっと・・・わたしの血を飲んだから私の支配力が強くなっちゃったの。だから志貴の目が真っ赤になっちゃった・・・」
アルクェイドは申し訳なさそうにそう言ったが、
「じゃあアルクお姉ちゃんとおそろいなんだ〜」
志貴は楽しそうにそう言った。
そしてその台詞にアルクェイドはオーバーヒートした。
「はふぅ〜・・・・・・」
コテンと横に倒れたまま志貴を見つめる。
「志貴〜〜可愛すぎるよぉ・・・・・萌え萌えだよぉ〜〜犯罪的だよぉ・・・」
「僕は可愛くないもん。可愛いのは琥珀ちゃんや翡翠ちゃんだもん」
口を尖らして拗ねる志貴にアルクェイドは悶え転がりながら志貴を見つめ続ける。
「アルクお姉ちゃん・・・変だよ?」
志貴の一言でアルクェイドは動きを止め、スッと立ち上がった。
「志貴・・・」
「えぅぅ・・・怒ったの?」
急に真剣な表情をしたアルクェイドに志貴はビクビクと怯える。
「わたしが志貴を怒るわけないじゃない。志貴〜一緒に寝よっ」
ガバッと志貴を抱き上げるとアルクェイドはベッドまで志貴を運んだ。
「志貴と眠ったら幸せ気分だもん」
満面の笑みを浮かべながらアルクェイドはそっとベッドの上に志貴をおろした。
「もぅ・・・アルクお姉ちゃんはいつも勝手なんだから」
志貴はそう言いながらもベッドの上をコロコロと転がる。
「さ!お昼寝しよう!」
アルクェイドは気合いを入れるとベッドに潜り込んだ。