一息で袈裟斬りにされ、満足とはいかないが満更でもない死を遂げることが出来た。

消えゆく前にそう思っていた。

落ち行く感覚がし、意識が混濁し、地に呑まれ、いよいよ久しい大いなる円還の中へと解け往かんとしていた矢先、

「!?」

何かに呼ばれた。

そして我の意識は現世へと引き上げられた。

 

 

 

 

 

巡り来る不幸の中で(大嘘予告)

 

 

 

 

 

「ん?・・・・・ぬぉぉぉぉぉぉっっ!?」

我が記憶の中でこれ以上驚いた時はなかっただろう。

目覚めると怪しげな場所に両手両足縛られ、全く身動きがとれなくなっていると言う事自体初体験なのだから。

しかもこの束縛しているものはどのような法具かは知らないが破る事どころか動かす事も出来ない代物だった。

「あらあら・・・起きてしまいましたか」

一人の女が我を見下ろすように立っていた。

 

そしてその日から我の奴隷生活が待っていた・・・・・・

ある日はいっそ殺して欲しいと思うほどの薬物を投与され、のたうちまわり、

またある日は、兵器としても通用しそうな異物(その女曰く食べ物)を山ほど喰わされ、生死の境を彷徨う。

聖杯戦争でもこんな悲惨な目にはあった事はない。

何故生きているのかとても不思議に思うほどの酷い目にあわされ続けていた。

それが暫く続き、我の潜在意識にその女に対する恐怖が植え付けられた頃、

「ある程度は耐性が付いてきたみたいなので明日からはここではなく別のところに移しますね」

女がそんな事を言った。

その時既に我はこの女から逃げたり逆らったりする事は出来なくなっていた。

「へぇ・・・この方が」

「はい♪翡翠ちゃんのお料理を処理してくださるように調教しました」

「調教ねぇ・・・しかし翡翠のアレを耐える事が出来たと?」

「ええ、毎回完食させました。それに護衛も兼ねておりますので離れに住まわせておけばある程度は防波堤になると思いますよ?」

「そうね・・・メカ翡翠だけでは守りにくくなっている事も事実ですし・・・良いでしょう。ただし、琥珀。貴女の責任でやりなさい」

「了解しました。さあ、貴方の住まう場所に案内しますね」

そう言って女は我に退室を促した。

 

我は小屋のような所に案内され、そこに住むように言われた。

小屋のような所ではあるが、昨日まで居た所とは雲泥の差であり、通常生活に必要な物は大体揃っていた。

───王たる我がこれしきの事で心から喜んだのは無論秘密だ。

至福に満ちた昼が終わりを告げ、夜が来た。

その日の夜は珍しくあの兵器のような自称食べ物ではなく真っ当な食事だった。

我はそれを心の底から有り難く戴き、そしてのんびりとくつろぐ。

と、食器を取りに来ていた女がこう告げた。

「夜中に女の人が塀を跳び越えて入ってくるので入ってきた人達をやっちゃってくださいね」

───何故か、言い知れない不安とどうしようもなく嫌な予感がした。

 

 

───続きません(ぇ