目が覚めると誰も居なかった。

お父様も母様も居ない。

でも外で何かザワザワしているような気配がして、

うるさくって、

僕はお外に出た。

 

 

 

 

 

ありきたりな姫劇(おおうそ予告)

 

 

 

 

 

暫く歩くと奥の方でたくさんの人が何かしているような音がした。

楽しそうな音。

僕はそのにぎやかな音が気になってそこに向かった。

そこにはきっとみんな居る。

そう思って僕は裸足のまま歩いていった。

そしてそこにたどり着いたとき、

「姫!ここは危険です!」

庭師のお爺ちゃんが僕を抱きかかえて来た道を戻った。

―――なんで?

   みんな楽しそうだったよ?

僕だけ仲間はずれなの?

みんな、すごく汗かいてたけど、楽しそうに動いてたよ?

分からない。

僕はお爺ちゃんに抱きかかえられたままお家に戻ってきた。

 

「き、貴様は?!」

「あれ?」

目の前には数日前に森の中で会った二人のおじちゃんが立っていた。

「その子を渡してもらおうか・・・」

「あれ?おじちゃん・・・こんばんは」

「はい、こんばんは。えっと、賜姫ちゃんだったかな?」

「うん。おじちゃん達は・・・どうしてここに来たの?」

「姫っ!!」

お爺ちゃんが僕の前に立ちふさがろうとした。

「お爺ちゃん。僕話し中」

瞬間的にお爺ちゃんの手を掴み、手前に引きながら後ろから足を払って回転しながら後ろに飛ばした。

「のおぉぉぉっ?!」

あ、ちょっと遠心力掛かっちゃった・・・

お爺ちゃんがとんでいったのをおじちゃん達はポカンとした顔で見ていた。

「えっと・・・賜姫、ちゃん?」

「───僕、眠っていたのに・・・大騒ぎしているのはおじちゃん達?」

せっかく気持ちよく眠っていたのに・・・

「や、それは・・・」

おじちゃん達が僅かに退く。

「寝た子を起こしたな・・・」

「う、うるさい軋間!───あ〜賜姫ちゃん。おじさん達は君を迎えにきたんだ」

「?」

ちょっと首を傾げてみる。

・・・・・・良く、分からない。

分からないけど・・・

「僕がおじちゃんについていったらこのうるさいのは収まる?」

「もちろんだよ。それどころか賜姫ちゃんに快適な生活を保証するよ」

快適な生活って何だろう・・・

「きんぎょくとか竹水羊かんとかもある?」

「勿論。欲しいときに言ってくれればすぐに用意するよおじさんはお金持ちだからね」

「ふ〜ん・・・」

お父様もお母様も静かなのが好きだし・・・

大人だから僕がしばらくいなくても平気だよね。

「うん。いいよ───そう言えば、おじちゃん達のお名前は?」

「遠野と軋間って言うんだよ賜姫ちゃん。来てくれるんだね?」

僕は頷いておじちゃん達についていくことにした。

 

───ちゃんと置き手紙もして。

 

『遠野と軋間のおじちゃん達のお家に行って来ます』

 

 

 

 

 

そして僕はその日から遠野のお家に住む事になった。

 

 

遠野のお家には秋葉ちゃんと四季君がいた。

二人とも変な子で、秋葉ちゃんは僕に抱きついて頬ずりするし、四季君は初めてあったときに、

「結婚しよう!」

なんて言って遠野のおじちゃんと軋間のおじちゃん達に殴られていた。

翡翠ちゃんと琥珀ちゃんも変な子だった。

翡翠ちゃんは気配を消して僕の寝床に入ってくるし、琥珀ちゃんはお家の中から僕を見ていた。

琥珀ちゃんはいつも窓に『しーちゃんラヴ』って書いてはクスクス笑っていた。

───とっても変な子達が一杯だった。

 

でも、ある日、

奇声をあげて抱きついてくる秋葉ちゃんを止めようと軋間さん仕込みの撲殺術で止めに入った四季君の間に入って・・・

胸を触られてしまった。

 

とてもびっくりした。

 

あまりにもびっくりしすぎて、

 

心臓が止まっちゃった。

 

一瞬心臓が止まって少し気を失っただけなのに遠野のおじちゃん達は凄く心配して僕を病院に入院させた。

───まぁ、『変なラクガキが見える』って言ったら更に心配されてしまったんだけど・・・

何も異常がないのに僕は入院した。

でも、病院は退屈で、

僕は病院を抜け出した。

 

そして、お姉ちゃんと出会ったんだ。