彼女は魔術師ではない。
せめて知識だけでも―――と、魔術書を読み漁っていた。
彼女は孤独だった。
名家のプライドのためか他の者達を見下し、人を疑うことしか知らなかった。
胡散臭いFate劇場(CM版)
「僕のために働けるんだ。文句を言うはずがない。そうだろ?衛宮くん」
「―――」
士郎は、ただ沈黙を貫き通し、己の仕事に従事した・・・
「僕のことが気になるからそんなコトするんだよね?衛宮士郎君。それをカモフラージュするために他の奴等の手伝いをしているんでしょ?」
尚も言葉を重ねようとする彼女に対し、士郎はキッパリと言い放つ。
「―――別に。お前が誰だろうと関係ない。困っていたから手伝った。それだけだ」
士郎は興味ないといった顔で再び仕事へと向かう。
最初のうちは、それで良かった。
しかし、見返りを求めない士郎の行為を理解出来ずにいた彼女の感情は理性の堤防を食い破る。
やがて理性の抑えがきかなくなった彼女はその感情を怒りに変える。
だがそれが何に対する怒りなのか分からずに、戸惑う。
「どうして・・・どうして他の奴等みたいにいかないんだ!?」
抑えのきかなくなったその感情は士郎に対して露骨な嫌がらせという行動で表れ始めた。
士郎はそれを気にした様子もなく、己のすべき事を行う。
突き放す事もなく、士郎は彼女のする事を受け入れ続けた。
そして―――街の一部を焦土と化したあの事件より10年の歳月を経て、再び戦争が起きる。
望まぬまま巻き込まれる者。
望み、自ら戦の中に入る者。
黒い意思と白い意思が混じり合う。
だが、それは果たしてどちらが善だと言えるのだろうか・・・
「やるからには・・・俺は―――俺の正義を貫く!」
己の信念を貫かんとする者。
「願うべきは、願わくば―――」
己の求めるモノを手に入れんとする者。
「絶対に・・・取り戻す!」
失ったモノを取り戻そうとする者。
「・・・・・・」
ただ、ただ命令に従い駒として動き続ける者。
「実に好みだ・・・」
そしてストーカー神父・・・
様々な思惑が混ざり合う中、戦争という名の儀式は進む。
果たされるべきモノを果たさず、立てられていた筋書から逸脱し、
混迷と混乱。攪乱と迷走を続けながら確信へと進む。
そして結末は―――
「――――――お前が誰であろうが、俺はお前を友達だと思っている・・・それじゃあ、駄目か?」
「駄目」
「駄目なのか?!」
―――誰かが知っている(かも知れない)