「兄さんッ!今の話聞いていましたか!?」

元旦の朝っぱらから俺は秋葉にたたき起こされ、挨拶もそこそこに調教を受けていた。

「ン?ああ・・・だからそれは俺が部屋から出ないか屋敷にいなければ良いんじゃ・・・」

「兄さんは遠野の長男です!」

「今更だぞ秋葉・・・みんな俺が七夜だって知っていることだし」

「なら兄さんは私の婚約者でこの先遠野を継ぎます!」

「はぁ?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・秋葉。寝言は寝て言え。冗談は胸だけにしてくれ」

「ふっ!」

←→→P+K

「ごふっ!」

なにやら凄まじい衝撃を受けて俺はその場に蹲った。

「私の顔も一度まで・・・言う度に死にますよ?兄さん」

だが俺も兄として言わねばならない・・・

「秋葉・・・その胸は遺伝ではないらしいぞ」

ビキッッ!!

おおっ、秋葉の顔が般若みたいになった・・・

「御免なさいと言っても何度も殺してあげる」

「いや、それじゃどのみち死ぬだろ・・・」

俺の突っ込みも虚しく秋葉は猛烈なスピードで俺に殴りかかってきた。

しかし俺と秋葉の間に大きな影が割って入ってきた。

「!?」

秋葉は驚いて止まろうとするが勢いを完全に殺せずにそれに鉄拳を叩き込んだ。

「グブッ・・・・・・相変わらず良い拳をお持ちで・・・」

俺と秋葉の間に割り込んできた大きな影は久我峰さんだった。

「久我峰様がお着きです」

翡翠がわざとらしく久我峰さんの到着を告げてくれた。

「見れば解るわ・・・で、なぜ貴方がわざわざ受けるようなことをしたのかしら?」

久我峰さんはホッホッホッと笑うとダメージがなかったかのように巨体ながら軽いフットワークをしていた。

「いやぁ今年は陵辱する方からされる方に回ろうかと思いましてね・・・右の頬を撃たれたら狂喜乱舞しながら左の頬を差し出すのですよ。と言うわけで・・・」

久我峰さんの目がキラリと光った。

「メイド姉妹の姉から挨拶回りに逝ってくるとしましょう!」

恐らく本人は爽やかスマイルを振りまいているつもりなのかニンマリと笑うと調理場へと走り去っていった。

「――――――秋葉・・・」

「―――言わないで下さい・・・何だか今年は最悪のスタートになりそうです・・・」

その言葉を肯定するように調理場の方からもの凄い音と悲鳴が聞こえた。

 

―――どうやら今年も波瀾万丈な一年が確約されたようだ―――