このお話はIFで構成されています。
『もし志貴が秋葉に強制的に浅女に入れられたら』という架空設定の元で書いておりますのでご了承下さい。
「治る見込みが無いのならば兄さんは私と一緒に女学院へ通って貰います」
「え・・・学校の友達・・・・・・」
「ッ・・・・・・と、遠野家の者ならばもっとそれに相応しい学舎で学ぶべきですっ!」
「秋葉ぁ・・・秋葉の学校は女子校で僕は男の子だよぉ・・・戸籍でもそうなっているし・・・第一男が入る事なんて出来るわけがないよ」
「そのことは話しを通してありますし医師団の診断書等も取り寄せて提出済みです」
秋葉は僕の言うことを先読みしていたのか勝ち誇ったように言うとパチンと指を鳴らした。
「はいは〜いこちらにご用意してありますよ〜」
琥珀さんが素敵な速さで僕達の前に現われた。
その手には秋葉の制服と同じやつがあった。
「まさか・・・僕がそれ着るの!?」
「勿論です」
「ささ、早く着替えてください。何だったらわたしが着替えを・・・」
「・・・・・・姉さん」
「ひっ!?翡翠ちゃんっ・・・」
「それは私の役目です」
翡翠ちゃん・・・どうしてそんなに息が荒いんだろう・・・
僕は仕方なく自室に戻って着替えをした。
こうして僕は試しに一週間ほど秋葉の学校に行くことになった。
「へぇ・・・彼女がお前の兄貴か・・・・・・」
「わぁ・・・美人さんだぁ」
浅上女学院に着いた時、秋葉の友達と思われる二人が迎えに出てくれた。
「―――一応、男なんですけど・・・」
「冗談だろ?どこをどう見たって女性だ」
「男の子で女の子ですかぁ〜おにーさんでおねーさんなんですね〜」
露骨に顔をしかめる背の小さな子と、ぽやっとしているのに何か爆弾発言しそうな子。
秋葉のお友達って個性的だなぁ・・・
「羽居は兎も角、蒼香・・・」
「な、何だ?」
「兄さんを苛めないでくれないかしら?」
「い、いや、苛めてはいないぞ!?」
「兄さんはあくまでも男です!私はその体のことを心配してここに仮にでも入学させたのです!!」
「それはちょっとちが・・・ヒイイイッッ!?」
蒼香さんがニヤリと笑って秋葉を見た瞬間にズザザッと後退った。
目に見えるくらいの殺気を纏いサディスティックな笑みを浮かべて構えている秋葉を見たから。
「あ〜あ・・・秋葉ちゃんが本気で切れちゃった」
「秋葉って本気で切れるとああなるんですか?」
「うん。ちょっと前に三年生のおねーさん達から陰湿な嫌がらせされた時、ああなってたから。あ、おにーさんの部屋に案内してあげるかね〜」
「う、うん・・・おねがいします」
僕は逃げ回る蒼香さんの武運を祈りながら羽居さんの後について寮の中に入った。