「・・・驚いた」
レストランの中はガランとしていて、中央のテーブルには椅子が4脚。
そして二つは既に埋まっていた。
「そのためにわざわざ連れてきたんだもの。ねぇ」
先生は悪戯っぽく笑い、俺の手を逆に引いた。
「そうね。ブルーと共同戦線はって正解だったわ」
埋まっている席にはアルクェイドとレンが座っていたのだ。
ナイト・ないと?
「私も志貴と一緒に過ごしたかったし、お姫さんも志貴と一緒にいたかった。そして二人ともギスギスした環境下で志貴と居たくはなかった・・・」
「つまり元々屋敷にいるつもりはなかった、と」
堅苦しい料理かと心配していたけど初めに支配人らしき人が「テーブルマナーなど関係なく食べて欲しい」
との『無礼講』発言をしてくれたので、俺的には肩肘張って食事をせずに済んだ。
「そ。向こうで監視を受けながら志貴と居るくらいならお姫様達と一緒にディナーした方が良いと判断したのよ」
先生はそう言いながらサラダを食べる。
「・・・じゃあ屋敷は?」
「今頃デマ情報を受けて不機嫌ながら食事しているはずよ」
「・・・え?」
「ま、気にしない気にしない。それよりもその雰囲気と食事を楽しまなきゃ」
「そうね。じい・・・オーナー、何か持ってきて」
「アルクェイド、今何か言いかけなかった?」
「言い間違いよ」
「お待たせいたしました」
凄いタイミングでオーナーが料理を運んできた。
───何だか少し嫌な予感がした。
食事も終わり、談笑しながらのんびりとした時間を過ごす。
「久しぶりにゆったりとした食後だなぁ・・・」
「あら、志貴はいつも堅苦しい生活をしていたの?」
「そうじゃないですけど・・・」
「志貴は妹のお小言ばかり聞いているもんね」
「違うって・・・」
「志貴〜私の誕生日のプレゼントは?」
ワインを飲みながらアルクェイドがプレゼントを強請ってきた。
「教えない。つーかもうお前の部屋に置いてあるぞ」
俺は勝ち誇った顔でそう言うと
「え?」
アルクェイドはキョトンとした顔をした。
と、思ったら
「じゃあわたし先に帰るから!!」
そう言ってもの凄い速さで出ていった。
「・・・・・・流石アルクェイド。思ったらすぐ動く」
「異常なまでの行動力ね」
呆れる俺と先生。そして
「・・・・・・♪」
レンは独り満面の笑みでケーキを食べていた。