呆れた。

オモチャを持って暴れているオジイサンとお姉ちゃん。

しかもパズルが解けなくて暴れているんだから呆れるのも仕方ないと思う。

「――――――お邪魔、だったかな」

おとーさんも少し呆れた顔でそう呟いた。

「衛宮さん。お願いだ・・・何とかして正気に戻してくだせぇ」

「無理」

「そんな即答で?!」

何か、おとーさん達が掛け合い漫才しているから僕はやる事がない。

早く鍵をもらって帰りたいなぁ・・・

僕はボーっと立っていた。

その時、

「うおっ?!誰だ貴様!!」

「・・・・今頃気付かれた挙げ句に顔忘れられているよ・・・」

少し落ち込むおとーさん。そして、

「済まねぇ衛宮さん。ホント済まねぇ・・・」

謝り倒すその人におとーさんははははと苦笑する。

うん。笑うしかないと思う。

―――あれ?

オジイサンとお姉ちゃんがジッとこっちを見てる。

両手にパズルを持って僕をもの凄い表情で見てる。

「ぁぅぅ・・・・」

怖くはないけど、怖い。

と、お姉ちゃんが動いた。

「ゴルディオスの結び目を解ける勇者は君だぁぁっ!!」

「・・・・」

指を指されてしまった。

「これさえ解くことが出来れば藤村組は手に入れたも同然じゃ!」

オジイサンも頷いてそう言った。

――――――いや、僕そんなよく分からない権利は要らない・・・・

そんな権利要らないからカギを下さい。

「私を、私を家に帰して下さい」

「おとーさん。僕の心を棒読みで言わないで・・・」

「大丈夫。僕が見込んだ君だから簡単に解けるよ」

そう言ってニッと笑う。

―――この類は得意だから別に良いけど・・・

僕はキューブを受け取り、状態を確認する。

あと少しで出来そうだったんだけどな・・・

カチャカチャカチャカチャ

手早く色を組み立てていく。

カチャカチャカチャカチャ

並べた色を更に組み立てて、

カチャカチャカチャカチャ

全ての色を片面毎に分けた。

「はいどうぞ」

「「「「・・・・・・・・・・・」」」」

部屋にいたみんなが驚いた顔で僕を見る。

「・・・・・・じゃっ、じゃあこれは!?」

お姉ちゃんがオジイサンの持っていたものを奪って僕に渡す。

絡まっている輪っかの絵を解くのかな?

パタパタパタパタ

む、これは難しいかな?

パタパタパタパタ

ここをこうして―――

パタパタパタパタ

こうして・・・・こう

パタパタ・・・・

「?・・・綺麗に繋がっちゃった」

「「「「・・・・・・・・・」」」」

うーん、難しいな

パタパタパタパタ

でも、コツは掴めた

パタパタパタパタ

裏がこうだから

パタパタパタパタ

捻ることもできるから

パタパタパタパタ

これ―――は、こう

パタパタパタパタ

「できた」

「「「「・・・・・・・・・」」」」

・・・・・・どうしてそんな驚いた顔するのかな?

「えっと、初めてなんだよね、これ」

お姉ちゃんが恐る恐るといった感じで聞いてきた。

「うん」

「うっ・・・・・・」

お姉ちゃんが一歩、二歩と後ろに下がる。

「こんな可愛いちびっ子に負けるなんて〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

「世の中不思議が満載じゃな・・・・こんなちっこくて可愛い子がここまで賢いとは・・・」

オジイサンもうんうんと頷く。

「可愛いって・・・・僕は男だよ」

「「「えっ!?」」」

オジイサンとお姉ちゃん、そしておとーさんの隣にいたオジサンが一斉に驚いた。

「信じられん・・・・」

「どこからどう見ても女の子じゃないの・・・・」

「・・・まぁ、ちびっ子は男の子か女の子か分からない時もありやすから」

自分に言い聞かせているようにも聞こえるなぁ・・・

「───後で言わなきゃいけないけど、まぁ、良いかな」

何故かお父さんは苦笑しながら何か独り言を呟いた。