「今日からここが愛の巣だ」

おじさんはそう言って大きな屋敷を指し示した。

まだ着くまで少し距離はあったけど、時代劇に出てきそうなお屋敷だった。

すごいと思った。けど、

「愛の巣って・・・何か違う気がする」

僕は僕なりに一応突っ込んだ。

「気にするな。そうだな・・・僕のことはお兄さんか切嗣さんって呼んでくれ」

「おとーさんじゃ駄目なの?」

僕を養子にもらってくれたんだからおとーさんだと思ったんだけど・・・

「それもグッと来るんだけどね・・・今呼ばれて更にグッと来た。よし、三つのうち気分次第で呼んで欲しい」

―――本気でこの人大丈夫だろうか・・・

ものすごく心配になった。

そんなことを言っている間にお屋敷の玄関前に着いた。

暫くその大きなお屋敷の前に立っていたけど、おとーさんは門を開けない。

何か考え事をしているみたいでうんうん唸っていた。

そして、

「───さて、どうやって家に入ろう」

「え?」

何を言ったんだろう・・・今、トンデモナイ事を言った気がする。

すごく、イヤな予感がした。

「・・・ねぇ、カギ、無くしたの?」

「うん。だから最近まで管理していた人の所に行かないといけないなぁって」

「・・・・・・」

何というか、なんだかとんでも無いことをサラリと言っている気がした。

「まぁこうなったら仕方ないよ。さ、その人の所に行こう!」

おとーさんは僕の手を引っ張ってまた歩き出した。

 

 

「・・・・・・ここ?」

「うん。そうだよ」

僕が連れて行かれた先はさっきのお屋敷みたいな場所でだけど、少し怖そうな人達がたくさんいる所だった。

でも、おとーさんは平気な顔で玄関に向かって歩き出した。

「衛宮さん!」

すると、話をしていた特に怖そうな人が僕達を見て驚いた顔をして走ってきた。

他の人達もおとーさんの方を向いて驚いたような顔をした。

「やぁ、組長さんはいるかい?」

おとーさんはいつも通りのかんじでその人に聞いた。

「へい。奥で姉さんとルービックマジックをやっております」

「まぁたレアなオモチャを・・・やりたくなってくるなぁ」

その人とおとーさんは仲良さそうにお話をしていた。

「そちらの子は?」

「ああ、僕の幼妻の士郎って言うんだ」

───幼妻って何だろう。

僕はその言葉が何なのか分からないけど、使い方は間違っていると確信していた。

「おとーさん。その言葉、良く分からないけど違うと思うよ」

僕はちゃんと突っ込みを入れる。

「衛宮さん、賢い子ですね」

「うん。賢くって可愛いから大好きなのさ」

良く分からない会話をするおとーさん達の後ろを歩いてお屋敷の中に入った。

そして通された先には、

「何故綺麗に輪っかができんのじゃ〜〜〜!!」

「こんなシール全部張り替えてやる〜〜〜!!」

凄い広い和室の真ん中で二人の人がオモチャを振り回して暴れていた。