それはとんでもない災害だった。

炎が至るところから上がり僕のお家も半壊していた。

お父さんもお母さんも僕を助けて死んでしまった。

僕は泣きながら必死に走った。

焼け爛れた道や建物の中を必死で走る。

向こうの方ではまだ爆発が起きていた。

そんな中僕は立ち止まって辺りを見る。

凄い悲惨な光景だった。

苦しんでいる人、人、人、人──────

一目見ただけでもう助からないと分かる人達。

それでもその人達は必死に生き延びようとしていた。

僕はそんな人達を何とかしたくて僕は逃げるのをやめてその人達のもとに駆け寄った。

「おじさん、大丈夫?」

「・・・・・・・・・満足」

僕を舐め回すように僕を見て、胸の辺りをチラチラと見た後、おじさんはガクリと倒れ、そのまま死んでしまった。

「・・・・・・え?」

何が、満足なんだろうか・・・

僕はフラフラと立ち上がってほかの呻いている人の元に行った。

「あの・・・」

「最期の最期に・・・神に感謝」

若いお姉さんは血まみれにもかかわらず満面の笑みでそう言って息を引き取った。

「えっと・・・・・・」

分からない。

僕が無力だから?

僕では助けられないの?

そう思いながら僕は再び歩き始めた。

 

熱い。

裸足なので足の裏がとても熱い。

でも立ち止まっている暇はない。

僕はあっちこっちにぶつかりながらも必死にあるく。

火のない所へと──────

でも辺りを見回すといつの間にか火の手が僕の周りを囲んでいた。

「もう、駄目なんだ・・・・・・」

僕は全身の力が抜け、その場に座り込んだ。

もう助からない。

その事実に僕は耐えきれなくなって押さえきれなくなって泣いた。

僕には泣くことしかできない。

無力。

なんて無力なんだろう。

泣くことしかできない。

僕、男の子なのに・・・

少しずつ炎の壁が迫ってくる。

僕はジッと炎を見つめる。

どうせ死んじゃうんなら火の中に飛び込んで向こう側にでれるか試してみようかな・・・

そんなことを考えていた。

その時、

「伏せてください!」

どこからかそんな声が聞こえた。

僕は反射的にその言葉通り地面に伏せた。

地面は熱くて火傷しそうだったけどその声の人の声を信じて我慢した。

そしてすぐに、

ゴウッッ

上からもの凄い風が地面に叩き付けられた。

僕はその風の圧す力に負けて地面にベッタリと張り付く。

その時地面に頭を打ってしまって僕の意識はそこで途絶えた。