注意

 

これは電波系馬鹿小説です。

企画小説ですのが、構想から書き上げるまで127分の代物なので質は――保証できません。

そして気が向いたら更新す―――企画モノなので続きません。

 

 

 

 

 

BURST!

 

 

 

 

 

正月は途轍もなく面倒だ。

世話になっている有間の家に行くのは当然だったと思うが、先生や橙子の所に行くつもりはない。

一応世話になっているような気がするが・・・・

一生かかっても返せない恩を受けたのは確かだが、その分一生涯掛かっても遭わないような迷惑を被っているのも確かだ。

プラスマイナスゼロじゃね?

むしろあの時何故遭ってしまったのかと思ったことが何回あったか・・・・・・・

────この件については考えないようにしよう。鬱になってしまう。

さて、問題なのがこの手元になる分厚い封筒達なのだが・・・・

何故だろう。義理とはいえ妹からお年玉を貰ってしまった。

有間の家に行ったときにも受け取れないと何度言っても強制的に渡してくるので断れなかったが、秋葉の時は良く分からないまま受け取ってしまった。

返しに行こうとは思うが、えらく分厚い。

恐らく帯封二つ分くらいの厚さはあるだろう。

琥珀が「秋葉さまは志貴さんに何かあげるという行為がしたいだけなんですよ」とか言っていたが、恐らくこれは琥珀の入れ知恵だろう。

時間が経てば経つ程返し辛くなる。

ここはとっとと返した方が良いだろう。

俺はすぐに部屋を出て応接間へと向かう。

「志貴さん?」

と、ロビーに行く前に琥珀と出会った。

「秋葉はどこだ?」

「秋葉さまでしたら応接室でお茶を飲んでおられましたよ」

「そうか」

「その封筒は・・・・返されるのですか?」

「ああ。秋葉からお年玉を貰うなんて馬鹿げているからな」

「もったいない気もしますが・・・・志貴さんがご自身で決めたことですから何も言いません。でも、早く秋葉さまに返した方が方がいいですよ」

「何かあるのか?」

「これからご親戚のみなさまがお見えになりますので」

「・・・・それは拙いな。早く返してここから出ないと」

「え?志貴さんも「断る」返答早すぎですよ・・・・」

俺の即答に琥珀は袖で顔を覆い泣く振りをした。

「斬殺空間が見たいのなら別に構わんが、もし遠野一族が殺されたとなると問題だろうが」

「う・・・・それはそれでわたしとしては構わないのですが、志貴さんが大変ですね」

「俺も構わんが、琥珀と翡翠に問題が及びかねない」

「う゛・・・・・・確かに、後々面倒が起きますね」

ため息を吐く琥珀をそのままに応接間へと向かった。

 

 

「入るぞ」

「兄さん?」

秋葉は和服を着、お茶を飲んでいた。

「これを返しに来た」

俺はそう言って封筒をテーブルの上に置く。

「何故ですか?」

「義理とはいえ兄が妹からお年玉なんてのは変だろう」

「遠野の当主である私から兄さんへのお年玉と言うことでは」

「それなら七夜の人間である俺は尚更受け取るわけには行かない」

ピシャリと言い放つ俺に秋葉はムッとした表情を見せた。

「確かに兄にお年玉というのは変な話ですが、兄さんに対してこんな時以外金銭を授与できる機会がないので使わせて貰ったまでです」

「金は要らん」

「えっ?」

秋葉の動きが止まり、見る見るうちに顔が真っ赤になっていく。

「そ、そんな・・・兄さんが私を求めるなんて、いえ、でも私はもう既に準備は出来ています。むしろカモン!って感じで・・・ああ!しかも和服!何て官能的なシチュエーションなんですか!」

スイッチが入ったか。

「・・・・・・・・・・・・・・・翡翠」

「畏まりました」

翡翠はソッと秋葉の背後に回り込むと、

「フッ」

ガッガンッッ

両手を組んで勢い良く秋葉の頭を強打した。

その勢いで秋葉はテーブルに頭を強打したが、これはこれで良いだろう。

このくらいで壊れないことは嫌と言う程分かっている。

「秋葉さま」

「────ありがとう、翡翠。でもちょっと今のは痛かったわ」

秋葉は額を押さえながら上体を起こす。

「こうでもしなければ秋葉さまは直りませんから」

翡翠も翡翠で慣れたものだ。

「言うようになったわね」

「恐れ入ります」

流石翡翠。あの大馬鹿吸血鬼の一撃を正面きって受け止めるだけはある。

「兄さん。つべこべ言わずに受け取ってください」

「話が戻った挙げ句、直球だな。受け取らないぞ」

「兄さんとの関係を金銭で買うと言っているわけではないのです!私の気持ちとして受け取って欲しいと」

「衣・食・住を賄って貰っているだけで充分だ。その上金銭まで貰うのは俺自身が許せなくなる」

「兄さん・・・・」

「失礼します。お嬢様、軋間様がお見えになりました」

しまった・・・・逃げる前に来たか。

「俺はとっとと退散するぞ」

「お待ち下さいな。志貴さんにも用があるそうですから」

「軋間がか?」

「・・・・失礼する」

軋間が応接室に入ってきた。

「・・・・・」

俺は一歩後ろに下がって軋間と距離を取る。

軋間は真っ直ぐ秋葉の前に立つと何かを差し出した。

「え?これは・・・・」

秋葉は困惑顔でそれを受け取る。

そして軋間が俺の方を向き、真っ直ぐ俺の前に来る。

「志貴」

「・・・あけましておめでとう。と、言うべきか?」

「・・・・・そうだな」

軋間は頷き、俺にもそれを差し出した。

お年玉袋を。

「・・・・・・・・」

理解に苦しむ。

「どうであれ正月だ。親戚から年玉を貰うのは当然だろう」

「だが俺は」

「書類上は遠野だ」

ぐっ・・・手続きに時間が掛かっているせいで確かにまだ遠野だ。

そう言われると現在は反論できない。

貰って都合の悪いものでもなければ貰って不自然というわけでもない。

「分かった。受け取ろう」

俺は年玉をポケットにしまうと軋間は頷いて応接室を出ていった。

「軋間様、喜んでおられましたね」

琥珀の科白に思いっきり顔を顰めた。

「────あれがか?」

「軋間様は子供好きですがほとんどの方が怯えてしまうのでこういった行事は好まないんですよ」

「・・・・確かに、滅多に見ないわね」

「秋葉さまにも本当は毎年渡したかったようでしたが、槙久様が全てカットしていたようで」

「何故だ?」

「秋葉さまが怯えるから、と・・・・」

・・・・・・秋葉に対しては子煩悩だったからな。アイツは。

だんだん頭が痛くなってきた。

「────これ以上遠野側の人間と合っていたら退魔衝動の前に何かが崩れそうだ。出かけてくる」

俺はそう言って遠野の屋敷を出た。

 

 

 

「志貴〜〜〜〜はい、お年玉」

「往来で渡すモンじゃないだろ!何故お前が俺にそんなものを渡す必要がある!?しかも金塊か!」

「だって、シエルもシオンも貰ったよ?」

「あの司教は都合の良いときだけ・・・・」

「志貴発見!」

「ブルー!?」

「先生。正月くらいは蒼崎の家で大人しくしていて下さい」

「だからこそ志貴を連れに来たんじゃない」

「拉致決定か!?」

「む、志貴はわたしとお正月遊びするんだもん」

「─────どもみち俺と遊ぶの決定か・・・・偶には一人にさせてくれ・・・・」

俺の本気のぼやきは完全に無視され、年の初めから往来で人の領域を越えた羽根突きが始まった。

俺は今年も振り回されるのかと思うと、先は暗い。