「クリスマスか・・・・・そんな時期だってのは分かっていたけど、今日がそうだってのは忘れていたな」

俺はそう呟きながら坂道を下る。

「あの馬鹿吸血鬼の誕生日ってのも怪しいしな・・・よし、今日は完全スルーだ」

昨日の昼は蒼崎のクリスマスパーティー、夜は遠野のクリスマスパーティー。

二回も祝い事をしたんだ。今日ぐらい平穏な一日のまま終わりたい。

俺はキリスト教徒じゃないんだから騒ぐ必要もないんだが・・・

そう思っていると、

「し〜〜き〜〜〜〜〜」

遠くから俺を呼ぶ声と共に何かが突進してk────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

注意

 

これは電波系馬鹿小説です。

構想から書き上げまでの総合時間86分小説ですので質は―――保証できません。

そして特別編なので続きません

 

 

 

 

 

BURST!

 

 

 

 

 

轟音と共に突進してきていたソレとソレを吹き飛ばしたアレ等が吹き飛んだ。

「・・・・・・・」

えっと、何があったのか現状を把握するのが面倒くさいが、把握しなければ逃げられないだろう。

まず、吹き飛んだのは暴走しやすい馬鹿吸血鬼で吹き飛ばしたのは第七司教と穴蔵の魔術師。

更にその二人を吹き飛ばしたのは破壊の魔女とその姉。

最悪のパターンだ。

昨日あんなに酒を飲んだのにもう復活しているのかあの二人は。

何年も俺をネタに遊んでいるんだからもう飽きても良い頃じゃないのか?

つーか町中でそんな人外なモノを見せつけて良いのか?

特に魔術とかは隠匿するモノじゃないのか?

「あー・・・・またやってるよ」

「どんな仕組みかは知らんが・・・よく無事じゃのぉ」

・・・・・・何なんだ、この町の人の普通な反応は。

「ゲット」

「掴まった!?」

町の人達の反応に気をとられている間に先生に掴まってしまった。

「しかも酒臭い!!」

「当たり前じゃない。二時間前まで飲んでいたんだから」

「昨日の朝十時から今日の午後二時までぶっ通しで酒を飲んでいたとか?」

何て化け物達だ。

「あの後志貴が逃げたから二人でやけ酒してたのよ。んで、この時間なら大丈夫かなって志貴をゲットしに来たって訳」

「ゲットついでに第七司教とアトラスの魔術師を吹っ飛ばすのが先生の挨拶なのか・・・」

どうしよう。ここを切り抜けても三人の報復が怖いんだが。

あの三人は先生達に喧嘩をふっかけずに俺に来る。

絶対だ。

あの大馬鹿吸血鬼を吹き飛ばしたのは先生達に吹き飛ばされた奴等なのに、だ。

「だって、みんな志貴と私達の楽しみを邪魔する奴等だもん。消えてトーゼン」

「ロクでもない酔い方してるぞ!?」

「あら、全然素面よ?」

「なら余計に悪い!」

「私も酔ってないわ」

「せめて眼鏡掛けている橙子は酔ってて欲しかった・・・」

「・・・・次の体はそのように設定するから許してくれないか?」

「眼鏡を外すな」

「志貴が酷い・・・」

酷いのは二人の人間性だ。

心底そう突っ込みたい。

「ともかく!二人とも他を当たってくれ。俺はこれから有間の家でするごく普通のクリスマスパーティーに呼ばれているんだ」

「「・・・・・・・・・・・」」

二人が顔を見合わせ、解らないといった顔をする。

「式も黒桐も潰したぞ」

「後は二人を脱がせて一つのベッドに寝かせるだけなんだけど・・・」

「最悪の連中だ・・・・・そんな事したら式がキレて殺しに掛かるぞ」

言って気付いた。

橙子なら記憶を弄って既成事実を行った記憶を埋め込みかねない。

「志貴ぃ〜構ってよ〜」

「だだをこねるな!胸を擦りつけるな!」

「・・・・わたしは、流石にそこまでは出来ないな・・・」

「頼みますから橙子さんだけでも多少まともでいて下さい」

「多少、か・・・」

無茶苦茶落ち込んでる橙子さん。

本当はこの二人、本気で酔ってないか!?

「付き合ってられないな」

先生のハグから逃げ、そう告げると有間の家に向かって歩k

グイッ

服を捕まれた。

いい加減にウンザリしてきたが、ここでキレても意味がない。

とりあえず放して貰おう

「・・・・・・放してください」

「いっちゃ、やだ」

先生が拗ねたような声でそう言って俯いた。

拗ねたような声、ではなく、本気で拗ねてるし。

─────ドコノ、モエキャラデスカ?

一瞬浮かんだ科白をシャットアウトし、先生と向き合う。

「育ての親である有間夫妻からのお呼ばれですから行かなければ失礼なんです」

「でも、いっちゃやだ・・・」

どこまで幼児退行してるんだ!?

演技だとしてもここまで寒い演技をさせている俺が周りから見たら悪者だろう。ここで妥協点を見つけなければ今度は暴れかねない。

「────分かりました。有間の家のパーティーが終わり次第事務所に伺います」

「ホント!?」

先生の顔がパァッと明るくなった。

待て、本気で幼児退行してないか!?

「姉さん、志貴が来てくれるって!」

「そう、良かったわね」

ヤバイ。えらく仲良し姉妹になってるぞ。

酒の力って恐ろしいな。

「とにかく、後で事務所に行きますから事務所で大人しくしていて下さい。良いですか?」

「はーい」

「青子は責任もって私が事務所に送るわ」

・・・・・絶対橙子も酔ってるな。心の中でそう呟きながら俺はその場を後にした。

 

 

 

有間での普通なクリスマスパーティーを終え、少し和んだ気持ちになったが、これから起きるであろう惨事を想像し、一気にブルーになりながら事務所へ向かう。

「はぁ・・・・」

ため息と共にドアを開け、事務所にはいる。と、

そこには誰もいなかった。

「・・・・・・」

いや、気配はする。

俺はそのまま事務所に入り奥へと進む。

奥には一応ベッドも置かれていたはずだ。

どこかに潜んでいて、突然襲われるかも知れないと言う緊張感の中、俺は神経を集中させて気配を探る。

やはり奥の方から気配がする。

・・・・わざわざ地雷を踏みに行く必要もないが、一応顔を見せたという事実が無いと後が怖い。

「入るぞ」

そう言って奥の部屋へと入っていった。

そこには確かに二人はいた。

あと二人もいたが・・・・

あとの二人とは式と幹也。

二人揃って地べたで折り重なるように寝ていた。

そして問題の二人は・・・・・

仲良く同じベッドで眠っていた。

「仲が良いのか悪いのか・・・・」

二人とも穏やかな顔で眠っている。

クリスマスの奇跡ってヤツか?

邪魔するのも悪いし、起こすなんて無粋な真似をしたくもない。

むしろラッキーだ。

俺はソッと足音を立てずに下がり、部屋を出る。

そして事務所のテーブルに置き手紙をし、ビルを後にした。

良し、これで平和n────

ドガァァン

轟音と共にさっきまでいたビルが倒壊する。

「志貴はどこよ!?」

「何だ!?何が起きた!?」

「わわわわわわわわ・・・・」

「お姫さん・・・・私を怒らせたいらしいわね・・・・・」

「逃げないと・・・」

俺は気配を消して全力でその場から離れなければ・・・

「七夜くん、迎えに来ました」

「志貴、貴方はここを突破できない」

完全武装状態の第七司教と穴蔵の魔術師に行き先を封じられた。

────どうやら今からがクリスマスの本番らしい。

俺はため息を吐き、道を塞いでいる二人目掛けて駆けた。