いつもより豪勢な夕食を終え、部屋に戻ろうとしていた俺を秋葉が呼び止めた。
「兄さん。明日は───クリスマスの予定の方は・・・」
「普段通りだ」
特にする事も用事もない。
だからそう答えたのだが───
「でしたら!クリスマスパーティーを催しましょう!」
「勝手にしろ。俺は参加しない」
俺はそう言い捨てて食堂を後にした。
注意
これは電波系馬鹿小説です。
いつもより電波周波数が違いますので質は―――保証できません。
そして上下2話構成を予定しておりますが───年内にUPします。
BURST!
冗談じゃない。去年の惨劇を忘れたというのか?俺はもう絶対にクリスマスイベントには係わらないぞ。
心の中でその決意を反芻しながら部屋に戻ると、そこには吸血姫が居た。
「何だ?」
「志貴、明日わたしの誕生日なんだけど」
「へぇ・・・で?」
「明日一緒に「断る」ええっ!?」
「ほぼ不死の貴様の生誕を祝って何になる。何百回もして楽しいか?」
アルクェイドは俯く。
「・・・・わたし、祝われた事なんてないもん」
「───そうか。ならこれからも祝わない事だ」
「どうして?」
「良い想い出が多い程嫌な思い出が引き立つ。シエルも不死ではなくなった以上50年後、100年後に共に祝う事は出来ない」
「・・・・・だから、嫌なの?」
「あと、面倒」
「そっちが本音ね!?」
「両方だ」
「え?」
「今年祝えば来年も再来年も祝って欲しくなる。それに付き合うのが面倒だ」
「うわぁぁぁぁんっ!」
泣きながら窓から飛び出していきやがった・・・
「さて・・・明日は何処か安全なところに避難しないとな」
「では乾さまの所はいかがでしょうか」
「有彦の所か・・・奴が秋葉に密告しないと言う保証はない────メイド、お前か」
「申し訳ありません」
「いや、確かにそれも考えておこう・・・しかし、秋葉は他にもパーティーか何かあるだろう」
「全て断ってあるそうです」
「・・・拙いだろ、それは」
「はい。かなり」
「ま、俺には関係ないが・・・俺は明日から山に籠もる」
「畏まりました。しかし、具体的な場所については」
「どうした?」
「志貴さま、エーテライトが」
「何?しまった!何時の間に!?」
エーテライトは俺から自動的に外れた。
「姉さんの手引かと思われます・・・わたしが責任を持って仕留めておきます」
メイドはそう言うと部屋から出ていった。
さて、本気で逃げる場所を考えないとな・・・
山に籠もるとしても、正直山小屋のあるところ以外は勘弁して欲しい。
そして明日は朝から逃げよう。
七夜の里に行くのも良いが・・・一度有間の家に行くかな。
俺は明日の予定をいくつか用意し、床についた。
現在午前4時。
いつもよりかなり早く目を覚まして脱出の用意を始める。
俺が目を覚ましたのを察知したのかメイドが部屋にやってきた。
「志貴さま。脱出なされるのなら今です」
「分かった。奴等の行動は食い止めて置いてくれ」
「畏まりました」
メイドは一礼するとドアを開けて俺を先導する。
いつもながらこのメイドの歩法は恐ろしい。
アレだけ重いものをいたるところに隠し持っているのに音一つ立てずに歩けるのだから。
門扉の前まで来るとメイドは横に一歩ずれ、俺の方を向くと一礼した。
「多分明後日には戻る」
「畏まりました。いってらっしゃいませ、志貴さま」
メイドに見送られて俺は遠野の屋敷を出た。
が、さて────
この時間、何処で何をすればいい?
この時間でも時間を潰すのに良い場所は・・・
1.公園
2.アルクェイドのマンション
3.伽藍の堂
3は行けば100%何か起きる。
従って却下だ。
むしろ奴等が動き出す前に逃げたいくらいだ。
去年の惨劇はトラウマだ。
公園・・・は寒い挙げ句、下手すると公僕に職質されかねない。
むう、吸血姫の部屋しかないのか・・・・
仕方ないので吸血姫のマンションへと向かう事にした。
暫く世話になるのだから少しは土産を持っていってやらねばならんだろうと言う事で、途中コンビニが開いていたので適当に物を買う。
食べ物と飲み物を買って・・・よくわからんが500円以上買ったのでクジが引けるらしい。
で、結果・・・一等のパールネックレスをもらった。
店員はかなり泣きそうな顔をしていたが、まぁ些細な事だ。
しかし、俺がコレをもらってどうしろと言うのだろうか・・・
ドアフォンを鳴らす。
と、すぐにアルクェイドが出た。
「アレ?志貴」
「暫く匿ってもらいにきた。それとこれは土産だ」
俺はそう言って買い物袋をアルクェイドに渡し、室内に入った。