注意
これは電波系馬鹿小説です。
66分小説ですので質は―――保証できません。
そして気が向いたら更新する―――かも知れません。
BURST!
――――暫く気を失っていたようだ。
麻酔針でも打たれていたのか、今は体が軽い。
「・・・・・・・・・・・・・・・って」
朱鷺恵さんが横で眠っていた。
「熟睡している・・・・よな?」
つーか絶対目を覚ますな。
俺はベッドから下りてそっと部屋から出る。
「―――――――――じいさん」
ドアを開けてすぐのところにこの家の主が座っていた。
壁を向いて。体育座りで。
「・・・・・スマン。アレには逆らえんのじゃ」
「・・・・分かっている」
暴走率と電波受信率が常人の10倍で、怪しげな武術から針の奥義まで習得した朱鷺恵さんだ。
勝てと言うのが無茶な話だ。
恐らく俺の知っている連中と互角に渡り合えるだろう。
冗談抜きで。
――――――そう思うと洒落にならない恐怖がこみ上げてきた。
「早く行け。怪しげな夢を見ている今なら多少の物音を立てても大丈夫じゃ」
「分かった。死ぬなよ」
「何も見なかったんじゃ・・・何も見ておらん、何も見ておらん・・・・」
ブツブツ呟きながら自室に入っていくじいさん。
大分精神的にキているようだ。
────あれはあと5年保つかな・・・・
そんなことを思いながら俺はソッと時南医院を抜け出した。
「────もうこれ以上の不幸はないだろ」
有間宅へと足を急がせながらため息を吐く。
途中、警官に職質を受けかけたが、どうせ知った顔だ。
俺を見た瞬間、頭を下げて走り去ってしまった。
───俺、そこまで酷いことはしていないがな・・・
ちょっと追って小突こうかと思ったのは秘密だ。
「しかし・・・恐ろしく人気がないな」
時間が時間と言うこともあるだろうが、街はしんと静まりかえり、人気が全くない。
時南医院から出てから人間と言えばさっき逃げた警邏中の警官くらいだ。
タクシーも通らない。
滅んでしまった遺跡の中を歩いているかのよう────
ヒュッッ
何かが空を切り、俺の居た所に突き刺さる。
横に一歩ずれ、初撃をやり過ごそうとしただけだったのだが、相手はそれ以上の攻撃はしてこなかった。
「へぇ・・・剣か」
柄を掴み、地面から引き抜く。
それは何の飾りもない少し細めの剣だった。
斬るよりも突く。あるいは飛具や投具として使うような代物か。
重さと切れ味を確認する。
「誰かは知らないが、もし一般人に見られたら迷惑だ。これはここに置いておくぞ」
俺はそう言ってその剣を自販機の影に置いた。
相手は様子見で投じたのだろう。
俺もそれで相手のタイプを判断できた。
互いに情報交換したという所だろう。
「まあ、いい」
そう呟いて俺は家路を急いだ。
有間の家に戻り、窓から自室に直接進入する。
その方が俺は気楽だし、有間の人達にこれ以上迷惑をかけずに済む。
「・・・・・・って」
俺のベッドに何故か都古が眠っていた。
「マジかよ・・・」
流石に同衾は遠慮したい。
仕方ない。
部屋の隅で縮こまって眠るとしよう。
ため息を吐き、俺は部屋の隅に移動した。