注意

 

これは電波系馬鹿小説です。

66分小説ですので質は―――悪いです。

そして気が向いたら更新する―――かも知れません。

 

 

 

 

 

BURST!

 

 

 

 

 

闇の中、金属同士のぶち当たる音と火花だけが辺りを賑やかにしていた。

「っ!」

雲に隠れていた月が賑やかな音に興味を示したのか地上を照らす。

立っていたのは一人の女性と一人の男性。

女性は刀を持ち、顔を顰めながら下がる。

男性は短刀を構え、常に立ち位置を変えながら女性を睨む。

互いに息を殺し、相手の次の手を伺う。

千日手状態では埒があかないと判断したのか二人は同時に動いた。

女性は一気に間合いを詰めて逆袈裟に切り上げる。

明確な殺意を乗せた会心の一振り。

それに対し男性は状態を低くし、短刀を下げて下から迫る刃を受け、手首を返して軌道を逸らすと自身は地面に倒れ込む。

まさか倒れ込みながら弾くとは思わなかったのかすぐに返しを行おうとしたが、

ガッッ

男性が素早く反転して女性の足を払うと倒れた女性の上に乗り、素早く手足の自由を奪った。

「俺の勝ちだな」

「・・・まだ、分からんぞ」

動きを封じられているにもかかわらず女性はそう言ってニヤリと笑う。

「―――はぁ」

男性は小さく溜め息を吐くと女性から刀を奪い、後ろに跳ぶ。

「お前にいらん事するとアレが煩いからな」

そう言って刀を地面に突き立てて再び溜め息を吐いた。

「―――分かった。負けだ負け」

女性はそう言うと起きあがり、埃を払った。

 

 

「志貴!」

俺がドアを開けたと同時に橙子が俺に抱き付いてきた。

「っと・・・どうした橙子」

「いや・・・心配、したんだぞ」

心配されても困るのだが・・・悪い気はしないのでいつものように放っておく。

「おいおい・・・俺が式とやり合うのはいつものことだろうが」

過保護にも程があると思う。

「そうだぞ。本気でやり合ってはいるが、お互いトドメまではさすつもりはない」

俺の後ろにいた式が刀を持って呆れたように橙子に言い放った。

「こらこら・・・怖いことは言わない」

橙子の横にいた幹也が苦笑しながら突っ込みを入れる。

―――あ、橙子の機嫌が悪くなってきた。

目に見えて不機嫌になってきたが、俺的には知ったことではないのでそのまま放置しておく。

「そう言えば最近青子を見てないが・・・どうした?」

「お偉いさんからタイマンの呼び出し喰らって時計塔行き」

「・・・だからあの時『想い出をください』とか言って俺に迫ってきたのか・・・」

「何?!どういう事だせつムグッ・・・」

もの凄い剣幕で俺に迫ってきた橙子を式が素早く組み伏せた。

「・・・・・・」

口にはしたくない。が、

あの時は泣けた。

思いっきり涙目でバスタオル一枚の姿で迫ってきたからな・・・

『想い出と言うことは俺とはもう会わないって事だな?』って聞いたらマジ泣きされたしなぁ・・・俺の方が泣きたいって。

「───って、タイマンなら宝石の爺さんか」

絶対に勝てない人リストの上位二位のタイマン勝負・・・見てみたい気もするが両方とも実際本気でやり合う気はないだろうし。

・・・それにしてもあの爺さん、どうして俺のことを知っていたのかが疑問だ。

青子が自慢気に話したんだろうな・・・どうも子供っぽい所があるからなぁ・・・

あの爺さんも爺さんで暇つぶしか知らんがここに来たしな・・・妙に気に入られたってのも勘弁して欲しいところなんだが。

魔術を教えて協会の人間にしようとしていた辺り茶目っ気ありすぎてイヤだぞ。

つーか俺は一人になりたくても周りがそれを許さない。

中学の頃の入山事件(と勝手に呼ばれている)以降、小学生が遊びに行く先を親に言うように俺も橙子や事務所に連中に報告しなければならなくなった。

もう高校生なんだからちったぁ俺を束縛している縄を解けよ。

と、心から叫びたいし、高校に入ってそう言ったことがあるが、

『目を離すと猫のようにどこかに行ってしまって何をしでかすか分からない』

なんてマジで子供に言っているような事を言われてしまった。

ま、20どころか18にもなっていないからそう言われても仕方ないと諦めている。

もう流されるだけ流されてみようかなと思う今日この頃だった。

 

 

「志貴、その・・・夕飯はどうする?」

橙子も多少は落ち着いたのか組み伏せられたまま俺を見る。

夕食の時間。と言うには少し遅いかも知れんが食べていないことを忘れていたな・・・

「そうだな・・・金もあることだし・・・俺が奢るから大帝都にでも行くか?」

俺の台詞に幹也が無茶苦茶浮かれている。

―――また給料貰ってないのか・・・

橙子のわざとらしいずぼらさに少し哀れな気持ちになったがそれはそれで捨て置く事にした。